相次ぐフェラーリ製PUの故障「信頼性は常に懸念事項」とビノット
パワーユニットの開発凍結と真新しいシャシー。2022年シーズンのチャンピオンシップの鍵を握る要素の一つは信頼性だ。
ドライバー及びコンストラクターの両選手権でタイトルを争うレッドブルとフェラーリは共に信頼性の確保に余念がないが、レッドブルはこれまでに3度に渡って燃料系統のトラブルでリタイヤを余儀なくされ、スペインではDRSの不具合によってオーバーテイクのチャンスを失った。
フェラーリも前戦スペインでシャルル・ルクレールがターボとMGU-Hのトラブルに見舞われポール・トゥ・ウイン叶わずリタイヤを強いられており、第7戦モナコでは初日にアルファロメオとハースの各々1台が立て続けにMGU-Kのトラブルに見舞われた。
バルテリ・ボッタスに関してはスペインでもパワーユニットのトラブルに見舞われており、イモラでのピレリタイヤテストでもフェラーリPUに何らかの不具合が生じたものとみられている。
シャルル・ルクレールが母国ポールから昨年の雪辱を果たそうとしてるだけに決勝での不測の事態が懸念されるところだが、一連のトラブルについてフェラーリのマッティア・ビノット代表は予選を前に「信頼性は常に懸念事項」であり、短期間で完全に解決する事は難しいと説明した。
「問題が生じている時というものは決して素晴らしいものではない。だからこそ我々は心配しているわけで、何が起こったのかを調べているところだ」
「時にはストレートに説明できる事もある。外的要因によるものかもしれないし、例外的要因である可能性もある。それ以外の要因の場合は、本当に心配すべき懸念材料なのかもしれない」
「スペインでは我々がトラブルに見舞われた。レッドブルも3回のリタイアを喫しており、我々も1回ある。そして我々のカスタマーチームも何度か同じような問題に見舞われており、これまでのところ信頼性はチャンピオンシップにおける重要な要素になっている」
「パフォーマンスと信頼性は大きな課題であり、信頼性に関しては懸念がある場合、短時間で解決するのは決して自明のことではない」
「心配し過ぎているわけではないが、クリスチャン(レッドブル代表ホーナー)が私以上に心配している事を願っている」
ボッタスが抱えたトラブルについてアルファロメオのフレデリック・バスール代表は「問題の一部はエンジン側で、これはフェラーリの手中にあり、彼らが対処してくれているので私は心配していない」とした上で「彼らは素早く改善してくれるだろう」と付け加えた。
モナコにおけるルクレールの不運っぷりは呪われていると言っても過言ではないレベルだ。
初めてモンテカルロを駆け抜けた2017年のGP2では、ポールポジションを獲得しながらもピットストップ後にタイヤが緩み、その後サスペンションのトラブルに見舞われリタイヤ。レース2ではノーマン・ナトとクラッシュして再びDNFに終わった。
ザウバーでF1デビューを飾った翌2018年はブレーキトラブルでブレンドン・ハートレーに追突(完走扱い18位)。フェラーリ移籍初年度の2019年はチームの戦略ミスによって予選Q1敗退を喫し、レースではニコ・ヒュルケンベルグをパスしようとして接触。リタイアした。
パンデミックの影響で中止された2020年を経て迎えた昨年は予選Q3でクラッシュを喫しながらポールを手にするも、レコノサンスラップ中にドライブシャフトに問題が発生したため出走叶わずDNSに終わっており、驚くべき事にまだ1度もチェッカーフラッグを受けていない。
全20台のトップに立った予選を終えてルクレールは「僕は迷信なんて信じていない」と述べ、験担ぎのためにレースに向けた手順を変えたりする事なくこれまで通りにグリッドに着くつもりだと語った。
「これまでのところはスムーズな週末になっているし、明日のレースに関しても理論上、最も上のポジションからスタートする事になる」
「だから明日もクリーンなレースができる事を願っている。地元で念願の良いリザルトが持ち帰れると良いんだけど」