動画:最強の刺客 マーロ・エンゲル駆るメルセデスAMG GTブラックシリーズ、独ニュルで量産車最速記録を更新
公道仕様のレースカーとも言うべきメルセデス・ベンツ最強の刺客、超高性能クーペ「AMG GTブラックシリーズ(Mercedes-AMG GT Black Series)」が、ドイツのニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)で6分43秒616(20.6km)、6分48秒047秒(20.832km)のラップタイムを記録。世界最速市販車の称号を手にした。
11月4日午後5時、DTMドイツ・ツーリングカー選手権などで活躍のマーロ・エンゲル駆る720馬力(537kW)のモンスターマシンは、気温7℃、路面10℃のコンディションの中、ランボルギーニ「アヴェンタドール SVJ LP770-4」を1.35秒、ポルシェ「911 GT2 RS」を約4秒上回るラップタイムを記録して、無改造の量産市販車最速記録を塗り替えた。
曰く「路面の一部は完全なドライではなかった」との事。この難コンディションでのタイム更新のために、メルセデスはAMG GTブラックシリーズの調整可能なサスペンションとエアロをフル活用した。
フロントスプリッターはレースポジションに、リアウイングのロアブレードとアッパーブレードはミドルポジションに調整され、アンチロールバーは最も硬い設定へと変更された。更にフロントアクスルとリアアクスルのキャンバーはそれぞれ-3.8度と-3度に設定され、フロントディフューザーのベンチュリー効果を高めるために、調整式コイルオーバーサスペンションを前後それぞれ5mmと3mm落とした。
足元にはミシュランのパイロット・スポーツ・カップ2 R MOを装着。9段階に調整可能なトラクションコントロールは、セクションに応じて6あるいは7に設定された。
世界最速の称号をかけたニュルブルクリンクでの仁義なき戦いに関しては今や、公平性を期するため厳格なルールが定められている。独立した公証人の立会いの下、GTブラックシリーズは量産車という観点で車両とタイヤの検査を受け、ラップタイムはタイミングシステムのスペシャリストである「wige SOLUTIONS」によって計測された。
ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェの全長は20.832kmだが、メーカーは歴史的に20.6kmのレイアウトのタイムを引き合いに出す傾向にあった。
短い方の20.6kmはスタートラインとフィニッシュラインが異なり、T13グランドスタンド前のショートストレート(”北コースからGPサーキットへの合流地点”から、”GPコースから北コースへの合流地点”までの区間) が含まれていない。
そんな中、2019年にサーキット側が公式ラップとして、スタートラインとフィニッシュラインが同一となる232メートル長い方のフルラップを追加した。
晴れてニュルブルクリンク最速のプロダクションカーとなったAMG GTブラックシリーズだが、”公道走行可能なスポーツカー”としての最速記録は、マンタイ・レーシング(Manthey Racing)チューンのポルシェ「911 GT2 RS」が2018年初頭にマークした6分40秒3(20.832kmのフルラップでは6分44秒749)のままだ。