インディカー最終戦St.ピーターズバーグ決勝:6度の黄旗…ディクソン6冠、琢磨 過去最高の選手権7位「ファンとチームに心から感謝」
2020年シーズンのインディカー最終第14戦セント・ピーターズバーグの決勝レースが、フロリダ州現地10月25日に行われ、逆転タイトルを目指すジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が劇的勝利を収めたものの、ポイントリーダーのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が3位表彰台を獲得し、通算6度目のチャンピオンに輝いた。
今季初のストリートコースでのレースでは、最後まで陽射しに恵まれなからも時折雨粒が落ちる難しいコンディションで、計6度ものイエローコーションが出る大波乱の展開となり、一時は隊列を先導して優勝本命かと思われたポールシッターのウィル・パワーや、100周のレースの中で61周のリードラップを刻んだアレキサンダー・ロッシの他、サンティノ・フェルッチやマルコ・アンドレッティ、スコット・マクログリンの計5台がリタイヤを喫した。
ジョセフ・ニューガーデン / © Indycar
こうした状況の中、選手権での一騎打ちを繰り広げるニューガーデンは、8番グリッドからスタートして着実にトラブルを避けつつ、チャンスと見るや、これを逃さず上へと突き進み、80周目のコーション明けのリスタートでトップを奪取。その後は、襲いかかってくるパトリシオ・オワードを振り切ってトップチェッカーを受けた。
仮にニューガーデンが優勝したとしても13位フィニッシュでタイトルが決まるディクソンは、冷静に状況を見極めながらも9番グリッドから6ポジションアップの3位でチェッカーを受けた。これにより獲得総ポイントを537に伸ばし、同521ポイントのニューガーデンを抑えて新たな歴史の1ページを刻んだ。
14戦で争われたシーズンでホンダは7勝をマーク。2018年からの3年連続、通算9回目のマニュファクチャラーズ・チャンピオンシップ獲得を成し遂げた。ホンダドライバーがチャンピオンシップを獲得するのは通算17回目。
スコット・ディクソン / © Indycar
「すべてはチームのおかげだ。みんなにはいくら感謝をしても仕切れないよ」とディクソン。
「チームオーナーのチップ・ガナッシ、レースディレクターのマイク・ハルとバリー・ワンザー、そしてホンダ関係者全員に感謝を伝えたい。僕はホンダパワーで走る事に誇りを感じてきた。今シーズンのホンダは掲げた目標を達成し、途方も無い事を成し遂げた」
「家族を含めて、全員に心から感謝している。一つの事、一人の人間の力によって達成されたわけじゃない。これはチームの力だ。オフシーズンにはチーム内に多くの変更があった。来季も同じように変化があると思うが、とにくチームのみんなには本当に感謝している」
佐藤琢磨 / © Indycar
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は13番グリッドからスタートし、一時はトップ6でのフィニッシュも見えていたが、終盤の残り25周というところでのコーション明けの際に、マルコ・アンドレッティがターン5でクラッシュした責任を問われ、最後尾16番手への後退を命じられた。
佐藤琢磨は一件について「ペナルティは納得がいかない」として、裁定に首を傾げたが、最終盤に猛烈に追い上げて10位フィニッシュを飾り、キャリアベストとなる年間ランキング7位で2020年シーズンを終えた。
クルマを降りた佐藤琢磨は「今日は厳しいレースでした」とレースとシーズンを振り返った。
「終盤に僕らは6番手につけており、トップ5でゴールする可能性が見えていましたが、アンドレッティ・オートスポーツのマシン2台とのアクシデントになりました。確かにクルマ同士の接触が少しありましたが、ペナルティーを受けたのは不運にも僕の方だけでした。リスタート時に最後尾まで順位を下げられ、僕のレースは実質的に終わってしまいました」
「それでも、僕らはそこからトップ10まで順位を挽回し、グレアム(レイホール)と一緒にゴールを迎えることができました」
「すばらしいシーズンでした。もう一度皆さんに御礼を言いたいと思います。エンジニアのエディー・ジョーンズ、そしてカーナンバー30のマシンで働いてくれたメカニック達にも感謝の言葉を伝えたいです」
「レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは本当にすばらしい仕事をしてくれました。また2021年もこのチームでともに戦えることを誇りに感じます」
「僕としては7位というキャリア最高のシリーズランキングを手にすることになりましたが、今日のレースではもっと上位でゴールしたかったです。それでも、ファンタスティックなシーズンであったことに変わりはありません。来年も応援よろしくお願いします」
インディカー・シリーズはこの後オフシーズンを迎え、2021年3月7日に開催が予定されているセント・ピーターズバーグでの開幕戦を待つ事になる。
セント・ピーターズバーグ決勝順位結果
Pos. | Start | Driver | Gap |
---|---|---|---|
1 | 8 | ジョセフ・ニューガーデン Team Penske |
–.—- |
2 | 6 | パトリシオ・オワード McLaren SP |
4.1409 |
3 | 11 | スコット・ディクソン Chip Ganassi |
6.1561 |
4 | 7 | セバスチャン・ブルデー 0 |
7.4132 |
5 | 19 | ライアン・ハンター=レイ Andretti |
9.7529 |
6 | 12 | シモン・パジェノー Team Penske |
10.5773 |
7 | 15 | マーカス・エリクソン Chip Ganassi |
11.0696 |
8 | 20 | チャーリー・キンボール A.J. Foyt |
15.8580 |
9 | 17 | グレアム・レイホール RLL Racing |
16.3743 |
10 | 13 | 佐藤琢磨 RLL Racing |
16.7748 |
11 | 3 | コルトン・ハータ Andretti |
24.2149 |
12 | 24 | マックス・チルトン Carlin |
30.4724 |
13 | 16 | アレックス・パロウ Dale Coyne |
43.5791 |
14 | 4 | ジェームズ・ヒンチクリフ Andretti |
1:04.0661 |
15 | 9 | リーナス・ヴィーケイ Ed Carpenter |
2 lap |
16 | 10 | オリバー・アスキュー McLaren SP |
2 lap |
17 | 14 | コナー・デイリー Ed Carpenter |
2 lap |
18 | 22 | フェリックス・ローゼンクビスト Chip Ganassi |
2 lap |
19 | 5 | ジャック・ハーベイ Meyer Shank |
3 lap |
20 | 23 | マルコ・アンドレッティ Andretti |
26 lap |
21 | 2 | アレキサンダー・ロッシ Andretti |
31 lap |
22 | 21 | スコット・マクラフラン Team Penske |
54 lap |
23 | 18 | サンティノ・フェルッチ Dale Coyne |
60 lap |
24 | 1 | ウィル・パワー Team Penske |
65 lap |