”ゼロポッド”主導の最高技術責任者マイク・エリオット、メルセデスF1離脱

メルセデスのテクニカル・ディレクターを務めるマイク・エリオット、2022年F1イギリスGPCourtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

メルセデスF1チームの最高技術責任者(CTO)を務めるマイク・エリオットが、テクニカル・ディレクター退任から数ヶ月を経てチームを去る事が2023年10月31日(火)、発表された。

エアロダイナミストとして2000年にマクラーレンでF1キャリアをスタートさせたエリオットは、ルノー、ロータスを経て2012年に空力部門の責任者として英国ブラックリーのチームに加わり、V6ハイブリッド・ターボ時代の数々の成功に貢献した。

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

初めて英国ブラックリーのファクトリーを訪れたルイス・ハミルトンとマイク・エリオット、2013年

そして2022年にグランドエフェクトカー時代が到来すると、テクニカル・ディレクターとして”ゼロポッド”と呼ばれる独創的なコンセプトを打ち出したものの競争力不足に直面。今年4月にジェームス・アリソンにその役割を譲った。

チーム代表兼CEOを務めるトト・ウォルフは開幕バーレンGP予選後に、このコンセプトが誤りだったと認めた。

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

2022年F1バルセロナテスト時とバーレーンテスト時のメルセデスW13のサイドポッド比較

メルセデスによると離脱はエリオット自身が決めたことで、「次の挑戦を決める前に、向こう数ヶ月、このスポーツから離れることを決めた」という。発表同日にチームを去った。

自身の決断についてエリオットは、コンストラクターズ選手権8連覇を含めてチームに貢献できた事を「誇りに思う」として、メルセデスの一員になれた事は「キャリアにおける特権」だったと語った。

「過去2シーズンは我々が望んでいたような形でレースに勝つことはできず、様々な形で試練に直面し、如何にしてパフォーマンスを発揮するかについて、その基本的な前提を問い直すことを余儀なくされた」

「ここ6か月間はチームの次の成功サイクルの礎となるような技術戦略の策定を楽しんできた。メルセデスを離れて次のステップに進むには今が適切な時期だと決断した」

「私はこのスポーツで23年間に渡って全力で取り組んできた。まずは一旦立ち止まって状況を見つめ直し、それから次のチャレンジを見つけたい」

「素晴らしい12シーズンを共に過ごした同僚たちに感謝する。彼らのこれからの成功を祈っている」

エリオットについてウォルフは「過去10年に渡るチームの功績を支える柱の一人」であるとして、「彼がチームにもたらしてくれた努力、献身、専門知識に対して感謝したい。今後の活躍を心から祈っている」と付け加えた。

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