未だ6シートが空く2023年F1契約、角田裕毅を含む去就未定ドライバーの見通しと噂の候補

2022年F1参戦ドライバー集合写真、20222年3月20日F1バーレーンGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がセバスチャン・ベッテルの後任としてアストンマーチンと複数年契約を締結し、来季もF1に残留する事が確定したが、それでもなお2023年のドライバーラインナップの6つのスロットは未定のままだ。

現行ドライバーで来季の契約がないのは角田裕毅(アルファタウリ)、周冠宇(アルファロメオ)、ミック・シューマッハ(ハース)、そしてウィリアムズのアレックス・アルボンとニコラス・ラティフィの5名だ。

チーム ドライバー
アルファロメオ バルテリ・ボッタス(~2024年)
TBC
アルファタウリ ピエール・ガスリー(~2023年)
TBC
アルピーヌ エステバン・オコン(~2024年)
TBC
アストンマーチン ランス・ストロール(~2023年)
フェルナンド・アロンソ(少なくとも2024年まで)
フェラーリ シャルル・ルクレール(~2024年)
カルロス・サインツ(~2024年)
ハース ケビン・マグヌッセン(少なくとも2023年まで)
TBC
マクラーレン ランド・ノリス(~2025年)
ダニエル・リカルド(~2023年)
メルセデス ルイス・ハミルトン(~2023年)
ジョージ・ラッセル(少なくとも2023年まで)
レッドブル マックス・フェルスタッペン(~2028年)
セルジオ・ペレス(~2024年)
ウィリアムズ TBC
TBC

シートが埋まっていないアルファタウリ、アルピーヌ、アルファロメオ、ウィリアムズの各チームの契約状況と去就未定ドライバーの見通し、噂される来季候補者を見ていこう。

アルファタウリ

Courtesy Of Red Bull Content Pool

マイアミ・インターナショナル・オートドロームのパドックを歩きながらピースするアルファタウリの角田裕毅とピエール・ガスリー、2022年5月6日F1マイアミGP

ピエール・ガスリーは2023年までチームに残留する事が決定しているが、角田裕毅の去就に関する発表はまだない。

角田裕毅に関してチーム代表のフランツ・トストは3年目に値するとする一方、パフォーマンスが奮わなければ今季限りでの放出の可能性もあると認めている。

AT03の競争力が不安定な事もありリザルトは浮き沈みが激しいが、2年目を迎えた角田裕毅はしばしば、ガスリーにマッチアップする走りを披露している。

辛口コメントは相変わらずだが、レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは一発の速さを持つ角田裕毅を高く評価しており、また、レッドブル・ジュニアに有力な代替候補もないことから、日本人ドライバーの来季残留は濃厚と言えるだろう。

アルピーヌ

Courtesy Of Alpine Racing

アルピーヌのリザーブを務めるオスカー・ピアストリとフェルナンド・アロンソ

2度のF1ワールドチャンピオンが抜けた事で、エステバン・オコンの隣のガレージに空きが出た。FIA-F2選手権とF3を連続で制したオスカー・ピアストリの来季デビューはほぼ確定的だろう。

チーム代表のオトマー・サフナウアーは先月、ピアストリの来季デビューに自信を見せていた。アロンソが去る事が決まった今、ピアストリのために他チームのシートを探す必要はない。

利用可能なベテランドライバーがマーケットに出ているのであればまだしも、ピアストリ以外の名前が候補に挙がったとしたら驚きだ。

続報:ピアストリ、契約でアルピーヌと対立

ハース

Courtesy Of Haas

カタロニア・サーキットのパドックを歩くハースのミック・シューマッハとケビン・マグヌッセン、2022年5月21日F1スペインGP

ケビン・マグヌッセンは複数年契約でF1復帰を果たした。対してミック・シューマッハの契約は今季末を以て満了を迎える。

角田裕毅と同じくF1での2年目を迎えたシューマッハは、サウジアラビアとモナコで2度に渡って大クラッシュを演じ、カナダまで無得点という状況が続いてきた。

だが、イギリスではマックス・フェルスタッペンとのバトルを制して8位入賞を果たし、翌週のオーストリアでは6位入賞を果たすなど、一歩前進した姿を見せた。

その結果、ハース残留の可能性は高まり、またウィリアムズの候補にも取り沙汰されるようになった。メディア露出という点でのチームに対する貢献も見逃せない。

ピエトロ・フィッティパルディはチームからリザーブ以上の何者でもないとみなされている節があり、現時点でシューマッハ以外の目立った候補は挙がっていない。

ウィリアムズ

Courtesy Of Williams

ウィリアムズ・アカデミー・ドライバーを務めるローガン・サージェント、2021年10月22日サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)にて

ウィリアムズは両ドライバー共に来季の契約を結んでいないが、チャンピオンシップ・ポイントの唯一の稼ぎ頭であるアレックス・アルボンとの契約延長は時間の問題に見える。

アルボンが2度の入賞を果たす一方、第13戦ハンガリーGPを終えて未だポイントを獲得できていないニコラス・ラティフィは放出の可能性が高まっている。

以前はラティフィが持ち込む資金の重要性が高かったものの、チームは現在、米国の投資会社「ドリルトン・キャピタル」の所有下にあり、ペイドライバーは必要ない。

ラティフィの後任候補としては長らくピアストリの名が挙がっていたが、アロンソ離脱に伴いアルピーヌでのデビューが濃厚となれば、フォーミュラE王者のニック・デ・フリースやFIA-F2選手権でタイトル争いを繰り広げるジュニアドライバーのローガン・サージェントの可能性が高まるというものだ。

アルファロメオ

Courtesy Of Alfa Romeo Racing

アルファロメオのフレデリック・バスール代表に激励される周冠宇、2022年3月20日F1バーレーンGP

シーズン前半戦を消化して、アルファロメオは既に昨シーズンを上回るポイントを獲得しており飛躍のフェーズにある。

正式発表はまだないが、アルファのジャン・フィリップ・インパラートCEOはハンガリーGPを前に、ザウバー・モータースポーツAGとの現行契約を更新した事を明らかにした。

メルセデスから移籍してきたバルテリ・ボッタスはリーダーとしての役割を担っており、少なくともあと2年はチームに留まる。

1年契約で今季デビューした周冠宇は、初戦のバーレーンとカナダで入賞を果たすなど印象的なパフォーマンスを披露するだけでなく、新人に付き物のミスが極めて少ない点も注目される。

そして何より、エンジニアは周冠宇のフィードバックと成熟度を高く評価しており、ボッタスからの信頼も厚い。

ただ、アルファロメオにはアカデミー所属のF2ドライバー、テオ・プルシェールがいるだけに、周冠宇の来季はまだまだ分からない。

周冠宇にしろプルシェールにしろ、他チームの候補に挙がっているわけではないため、チームの経営陣が性急に決定を下す必要はない。

フレデリック・バスール代表はシーズン後半に向けて2人の若者の成長を見守っていきたいとしており、シート確定はまだ先の事になりそうだ。

角田擁するアルファタウリの意外な候補


契約があってもドラマが起きるのがF1の常であり、ダニエル・リカルドのシートが突如オープンになるというサプライズがあれば、ドライバーズマーケットは大きく揺れ動くことになる。

F1サーカスはこれより3週間のサマーブレイクを迎える。本格的なシリーシーズンの始まりだ。

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