レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、F1イタリアGPメディアセッションにて
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車体・エンジン…2020年に”自信満々”のフェルスタッペン「ホンダはブレイクスルーを成し遂げた」

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レッドブルのマックス・フェルスタッペンは決して驕らないまでも、現行規約最後の一年となる2020年シーズンでのタイトル争いに大いに自信を示している。その背景には、「ブレイクスルーを成し遂げた」ホンダへの期待と、来季レギュレーションの安定性が挙げられる。

最終戦を終え、F1サーカスはウィンターブレイクに突入しているが、舞台裏での開発は大一番を迎えつつある。英国ミルトンキーンズのファクトリーで、地元自動車誌のインタビューに応じたフェルスタッペンは、2020年に向けての自信を問われ、次のように語った。

「かなり自信を持ってる。でも当然のことながら、改善しなきゃならない部分がある事は分かっているし、そのために必死で仕事に取り組む必要があるからこそ、僕は今日もこうしてファクトリーに来てるんだ。今日はシミュレーターの日なんだけど、さっきまでは、チームに新しいアイデアを提案できればと思って、色々検討していた」

フェルスタッペンは今年、キャリア最高位となるチャンピオンシップ3位でシーズンを終えたが、史上最年少チャンピオン獲得を目指す野心的なオランダ人ドライバーにとって、それは何も意味をなさない。夢を叶えられるチャンスは後一度切り。来シーズンしか残っていない。

「チャンピオンシップで勝ちたいというのが僕の願いだから、その意味では今年の目標は達成できていないかもしれないけど、諸状況を考えればエキサイティングな素晴らしいシーズンだったと思う。特にシーズン序盤では、一貫してトップ5を確保しながら、何度か素晴らしい勝利を挙げて表彰台にも上がれたし、文句なくハッピーさ」

レッドブル・ホンダRB15とRB14のフロントの比較
RB15とRB14のフロントの比較

来季に向けての自信の根拠の1つはシャシーだろう。2018年型のRB14は高効率なフロントウイングを持ち、前方からの空気を意図通りに後方へと導きつつ、適切な渦を作り出して脇をしっかりと固め、強力なダウンフォースを得ていた。規約が変わらなければ、2019年のレッドブル・ホンダは遥かに強力だったはずだが、実際にはフロントウイングが簡素化され、これがシーズン序盤のレッドブルを大いに苦しめた。

ただ、強豪チームたるもの、転んだままでは終わらない。持ち前の開発力を武器に、年間を通して大規模なアップグレードを投入し続けた結果、シーズン最終盤には真っ向勝負で優勝争いできる程にパフォーマンスを改善させた。来季2020年は今季とは異なりレギュレーションが安定しているため、レッドブル・ホンダは”優勝争い”をスタートラインとして開幕戦に挑む事になる。

ではエンジン側はどうだろうか? フェルスタッペンは来年のホンダに期待するものを問われ「パワーアップだ!」と答えた一方で、今年のホンダは「ブレークスルーを果たした」とも語り、その飛躍ぶりを評価した。

「信頼性が極めて高かったおかげで、今年はホンダ側の問題でリタイヤした事が一度もなかった。今シーズンは、ホンダにとってのブレークスルーだったと思ってる。もう既に何度か優勝もしているし、ホンダ側は満足してるよ。それに、会社全体にとっても大きな後押しになったと思う。彼らは高いモチベーションに溢れている」

「僕らは正しい道を歩んでいると思う。エンジンパワーという観点でメルセデスやルノーと比較した場合、今やホンダはメルセデスに非常に接近してる。当然のことながら、来年は非常に有望さ」

マクラーレン時代にDNFを量産した事が嘘であるかのように、”信頼性”という言葉は今やホンダの強みの1つになりつつある。また、独AMuSの試算によると、ホンダPUはメルセデスPUに対して馬力で1桁以内にまで迫っているとされ、パワー面でもライバルと遜色ない水準に達しつつある。

優勝トロフィーを高々と掲げるメルセデスのルイス・ハミルトン、2019年F1メキシコGPにて
© Daimler AG、優勝トロフィーを高々と掲げるメルセデスのルイス・ハミルトン、2019年F1メキシコGPにて

例え十二分な性能を備えたマシンが手に入ったとしても、対するライバルはF1で6度ワールドチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトンだ。ニコ・ロズベルグが去って以降のハミルトンは、王者に相応しい貫禄と落ち着きを発している。フェルスタッペンはハミルトンを超えられるだろう?

「自分自身の事に関して言えば、これまでの全てのシーズンで、僕は自分が成長したと言い切れる」とフェルスタッペン。「僕はハードルを高く設定し続けたいと思っているし、勝利を飾るにしても、より優れたやり方でそれを成し遂げたいと思ってる。ほとんどの人たちが”これ以上素晴らしい形での勝利なんてあり得ない”と思ったとしても、僕は常にもっと上手くやれたであろう方法を見つけ出そうと努力している」

「父の影響が大きいんだ。彼は”うん、確かに勝ったけど、もっと上手く勝てたはずだ。今回は幾つかミスがあった”って言う人なんだ。いつも僕に本当に厳しく当たる人だった。そのせいだろうね。今は僕が僕自身にそういうスタンスを取ってる。当時は父のそういうやり方に反対だったけど、今では本当に大きな助けになってる」