
F1タイトル争いに忍び寄る「タイヤ・ロシアンルーレット」の影、マクラーレンが警戒感…ドライバーにも不安広がる
マクラーレンは、2025年F1第23戦カタールGPで顕在化したタイヤトラブルについて、ドライバーズタイトル争いの行方を左右しかねないと懸念を強めている。
F1と国際自動車連盟(FIA)は週末に先立ち、ロサイル・インターナショナル・サーキットがタイヤに与える高い負荷を考慮し、「1セットあたり最大25周」という周回数制限を設定した。
だが、事態はそれだけでは収まらなかった。初日セッションを経て複数のタイヤに「深い亀裂」が生じていることが確認されたのだ。本大会に向けて新設されたグラベルトラップからコース上に持ち込まれた「一般的なものより鋭い砂利」が原因と見られている。
さらに、昨年大会だけでなく最新のシミュレーションと比較しても初日のラップタイムが大幅に向上していたことから、スプリントに先立ちピレリは予防措置として、タイヤの最低内圧を1psi引き上げるよう通達した。
「運次第」警戒感を強めるブラウン
Courtesy Of McLaren
予選を前にガレージ内で準備をするオスカー・ピアストリ(マクラーレン)と腕を組み見守るザク・ブラウンCEO、2025年11月29日(土) F1カタールGP(ロサイル・インターナショナル・サーキット)
タイトルを争うランキング首位ランド・ノリスと、同2位オスカー・ピアストリを擁するマクラーレンのザク・ブラウンCEOは、19周で争われたスプリントレース後、不可抗力的なリスクに対する警戒感を露わにした。
「少し懸念している。我々のタイヤは問題なかったが、昨夜いくつかのタイヤに亀裂が見つかったようだ」
「以前にもここでタイヤ問題があったため、自分たちではコントロールできない事象がタイトル争いに影響することを懸念している」
ブラウンの懸念はもっともだ。ロサイルはタイヤにとって過酷な条件が揃う特殊なサーキットであり、2021年の初開催以来、毎年トラブルが発生している。昨年もルイス・ハミルトンとカルロス・サインツが34周目に相次いで左フロントタイヤをパンクさせた。
ブラウンは、タイヤトラブルを避けるためにチームができることはほとんどないと見ており、「運次第だと思う。そして、それこそが問題なんだ」と指摘する。
「誰もがコース上や縁石に砂利を持ち込んでいる。全員がクリーンに走れば問題は起きないが、何人かのドライバーがそうするのは目に見えてる」
実際、問題視されている新設グラベルの“鋭利な砂利”がレーシングライン上に多く持ち込まれたことから、予選では回収のためにQ2の開始時刻が遅れた。
「何もしてないのに振動が…」ドライバーたちの不安
”亀裂問題”以外にも懸念材料がある。ピアストリは、スプリントレース中に感じた”通常は発生し得ないバイブレーション”への不安を隠さない。
「ロックアップも何もしていないのに、ただ走っているだけで振動が来るなんて、決して良い兆候じゃないよね」
「安全性という観点では、フロントタイヤが主な問題になると思う。リアのパンクから破滅的なクラッシュに繋がるリスクは低いと思うけど、こういう制限が設けられると、やっぱり少し心配になるよ」
スプリントで2位に入ったジョージ・ラッセル(メルセデス)も、レース終盤に無線でタイヤのバイブレーションを訴えていた。
「レース後のタイヤの摩耗具合を見れば、何らかの情報が得られると思うけど、振動はおそらく、激しいタイヤ摩耗から来ていたんだと思う」
これらのバイブレーションは、ロサイル特有のコースレイアウトによる偏摩耗が原因と見られる。
Courtesy Of McLaren
スプリントに向けてグリッドに運ばれるランド・ノリスのマクラーレンMCL39、2025年11月29日(土) F1カタールGP(ロサイル・インターナショナル・サーキット)
ピレリは「深刻化せず」と見解
ブラウンの懸念とは裏腹に、ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは、”亀裂問題”が決勝レースに深刻な影響を与えるとは考えていない。
「土曜にもトレッド面に亀裂が入ったタイヤが幾つか確認されたが、金曜よりは少なかった。2回のストップが義務づけられる決勝では、この問題はある程度緩和されるはずだ」
タイトル争いの真っ只中にあるマクラーレンにとって、制御不能の“外的要因”は最も避けたいリスクだ。果たして決勝は、純粋な速さの勝負となるのだろうか。
2025年F1カタールGP予選では、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)がスプリント予選に続いてポールポジションを獲得。2番手にランド・ノリス(マクラーレン)、3番手にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続く結果となった。
決勝レースは日本時間11月30日(日)25時にフォーメーションラップが開始され、1周5419mのロサイル・インターナショナル・サーキットを57周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。