レッドブル・ホンダF1の誕生は既定路線か?マルコ博士、新チーム発足を強く示唆

インタビューに応じるヘルムート・マルコ博士Courtesy Of Red Bull Content Pool

正式な発表はないものの、レッドブル・ホンダF1チームの発足は既にある程度既定路線化しているようだ。レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、マックス・フェルスタッペンが長期契約にサインした背景として、ホンダのF1エンジン開発拠点”HRDさくら”の名を挙げ、新チーム発足の可能性を強く示唆した。

「アイルトン・セナの再来」とも賞賛される次世代のワールドチャンピオン筆頭候補は、今年10月に2020年末までの長期契約延長に署名。レッドブルに留まり続ける限り2020年までにタイトル獲得の望みはないにも関わらず、何故3年もの長期契約にサインしたのか?このニュースは一部に驚きを以て迎えられた。その裏には「ホンダ」の存在があった。

レッドブルは今年、ルノーエンジンの度重なるトラブルによって許容し難い数のリタイヤを強いられた。特にフェルスタッペンのマシンの信頼性不足は酷く、批判と不満を度々口にしていたため、ルノーとの契約を見限り、メルセデスないしはフェラーリへの移籍を検討しているとの噂が飛び交うほどであった。

レッドブルの母国オーストリアの民間テレビ局ServusTVによれば、マルコは将来「最高の人材とエンジン」が得られると約束した上で、フェルスタッペンに「ホンダF1の拠点」を視察させたのだという。

「2020年までに最高の人材とエンジンを得られる素晴らしいオプションがある事を約束したんだ。彼には我々の今後のプランを伝えてある。我々はホンダの拠点である”さくら”を訪れた。設備は本当に素晴らしい。彼が納得したのはそれが理由だ」

HRDさくらは、2015年のF1復帰に際して栃木県さくら市に新設されたホンダのF1エンジン製造拠点。敷地内には複数の開発棟とともに一周4kmのテストコースが設けられている。投じられた資金は500億円とも言われ、ホンダのF1に対するコミットメントを象徴する施設となっている。フェルスタッペンは契約にサインする前にHRDさくらを訪れ、それによって契約延長の合理性を確信した。

マクラーレンとのパートナーシップを解消したホンダは、来季よりレッドブルの弟チームであるトロ・ロッソにパワーユニット一式を供給する。ファエンツァのチームは来年、まるで何かを匂わせるかのようにレッドブルの名前をチーム名冒頭に掲げ「レッドブル・トロロッソ・ホンダ」を名乗る。

一方のレッドブルはタグホイヤー名義のルノーエンジンを使い続けるが、来年末でルノーとの契約が終了するのはほぼ確実と噂されており、19年シーズン以降はホンダと手を組むのではとの見方が広がっている。メルセデスとフェラーリはレッドブルにエンジン供給する意思がない事を公言しており、レッドブルのエンジン選択肢は限られている。

マルコは、レッドブル所有の設備を提供するなどの形でホンダをサポートすると明言、来年のトロ・ロッソの成功のためにパッケージ開発の面で既にホンダと協業している事を明かしている。来年のトロロッソ・ホンダの競争力次第ではあろうが、今のところレッドブル・ホンダ発足の可能性は極めて高いと言えそうだ。

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了