初のF1ワールドチャンピオン獲得を喜ぶホンダF1の山本雅史マネージング・ディレクターとレッドブルのヘルムート・マルコ、マックス・フェルスタッペン、2021年12月12日F1アブダビGP
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ホンダの母国 F1日本GPでの戴冠を望むレッドブル…フェルスタッペン、シンガポールで2連覇王手も

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マックス・フェルスタッペンは10月2日に決勝を迎えるF1第17戦シンガポールGPで昨年に続く2度目のドライバーズチャンピオンを手にする可能性があるが、レッドブルはホンダの母国レースでの戴冠を望んでいる。

116ポイントという圧倒的な差で世界選手権をリードするフェルスタッペンは、優勝を絶対条件として、ライバルのシャルル・ルクレール(フェラーリ)や僚友セルジオ・ペレスの成績次第で今週末、シーズン5戦を残して早々にタイトルを決める可能性がある。

シンガポールGPでの戴冠条件
フェルスタッペン ルクレール ペレス
優勝+FL 8位以下 4位以下
優勝 9位以下 4位以下 + FL無

一般論で言えば早く決まるに越した事はないものの、大量リードを背景にレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、シンガポールではなくその翌週末に控えるホンダのお膝元、鈴鹿サーキットでの選手権制覇を望んでいることを認めた。

イギリスの「Express」によると、マルコはオーストリアの放送局「ORF」とのインタビューの中で「マーケティング的な観点からは日本GPでタイトルを勝ち取る方が望ましい。我々のエンジンパートナーはホンダだからね」と述べた。

「概して言えば、マックスがワールドチャンピオンになることは想定可能な状況だ。それは単に、いつ獲得するかという問題に過ぎない」

公式には昨年末を以てF1から撤退したものの、ホンダは今も、そして少なくとも2025年末まではレッドブル及びスクーデリア・アルファタウリを舞台裏で支え続けていく。

マリーナベイ市街地コースのパドックを歩くマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年9月29日F1シンガポールGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

マリーナベイ市街地コースのパドックを歩くマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年9月29日F1シンガポールGP

今シーズンのチャンピオンシップ争いは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)を相手に最終戦の最終ラップまでもつれ込む歴史的激戦となった昨年とは状況が大きく異る。

今年導入された新たなテクニカル・レギュレーションの狙いの一つは競争力の平準化だった。それはある側面において確かに成功を収めているものの、タイトル争いに関しては結果的にフェルスタッペンが独走する状況だ。

ただしそれは、レッドブル及びフェルスタッペンが支配的な強さを誇ったからというわけではない。序盤はフェラーリの方が優勢で、レッドブルはチャンピオンシップを追いかける立場にあった。

開幕早々、レッドブルは2度に渡って燃料周りに技術的問題を抱えてリタイヤを喫した。また過剰な車重がクルマの動きを鈍らせ、コーナリングでのパフォーマンスに大きな課題を抱えていた。

実際ポールポジションの数で言えば、フェラーリが10回を記録する一方、レッドブルはその半分の5回に過ぎず、純粋な速さという点ではレッドブルよりもフェラーリの方が僅かに上回っているとも言える。

予選後のパルクフェルメに停まるシャルル・ルクレールとカルロス・サインツのフェラーリF1-75、2022年9月10日F1イタリアGPCourtesy Of Ferrari S.p.A.

予選後のパルクフェルメに停まるシャルル・ルクレールとカルロス・サインツのフェラーリF1-75、2022年9月10日F1イタリアGP

独走の要因についてマルコは、シーズンを通して着実にクルマを進化させ続けてきた事が一因だと認めつつも、ライバルの跳馬が信頼性不足や戦略ミスによって勝てるはずのレースを落とし続けてきた点を指摘した。

「我々は主にフロントエンドの改良に取り組んできた。マックスはフロントの食いつきが良いクルマ、つまり自発的にターンインするクルマを求めていた。リアがどうであるかはマックスにとってはあまり関係のない話だ」とマルコは語る。

「我々がクルマを改善させていった一方でフェラーリは、技術的な欠陥とドライビングエラーを抱えた。その結果、時間の経過とともに快適なリードを築き上げていくことになった」

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