ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクター、2021年3月12日F1バーレーンテストにて
Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd

ホンダF1、新型パワーユニット順調に機能、計250周で「順調な1日」と田辺TD / F1バーレーンテスト《初日》2021

  • Published:

2021年F1プレシーズン・バーレーンテスト初日が終わり、ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターは「パワーユニットとしては大きな問題もなく順調な一日になった」と1日を振り返った。

強風によって砂嵐が巻き起こるトリッキーなコンディションの中、ホンダにとっての最後のF1公式プレシーズンテストが、開幕の舞台バーレーン・インターナショナル・サーキットで開始された。

バーレーン・インターナショナル・サーキットを走行するレッドブルRB16B、2021年3月12日バーレーンテストにてCourtesy Of Honda Motor Co., Ltd

バーレーン・インターナショナル・サーキットを走行するレッドブルRB16B、2021年3月12日バーレーンテストにて

宿敵メルセデスが信頼性トラブルで走行時間を大きく失う中、ICE(内燃エンジン)、タービン、ERS(エネルギー回生システム)に改良が加えられたホンダ製F1パワーユニット「RA621H」を搭載するレッドブル、アルファタウリ双方は順調に走り込みを重ね、幸先の良いスタートを切った。

現地時間10時、4時間に渡る午前セッションが始まり、レッドブルはマックス・フェルスタッペンに、アルファタウリはピエール・ガスリーに作業を託した。午前のみの担当だったガスリーは空力データの収集とシステムチェックのために精力的に周回を重ね、全体トップとなるトータル74周を走行。更に、暫定トップタイムを刻んだダニエル・リカルド(マクラーレン)に1000分の28秒差の2番手でマシンを降りた。総合8番手タイムとなった。

一方のフェルスタッペンもスムーズにプログラムをこなし、午前で60周を走行してトップから0.042秒差につけると、午後はさらにマイレージを積み重ね、全体で最多の139周まで周回数を伸ばし、C3タイヤでこの日の最速タイムをマークした。

1日を振り返ったフェルスタッペンは、テストにおけるタイムシートに意味はないとしてペースに関する話題を一蹴。肝心なのはマシンの感触が良かった事だと主張した。

午後は砂嵐の影響で路面のグリップが大幅に低下。走行ラインを外すと激しい砂埃が舞う厳しいコンディションとなったが、日没が近づくにつれて少なからず状況は改善に向った。

アルファタウリ・ホンダの角田裕毅とピエール・ガスリー、2021年3月12日バーレーンテストにてCourtesy Of Honda Motor Co., Ltd

アルファタウリ・ホンダの角田裕毅とピエール・ガスリー、2021年3月12日バーレーンテストにて

午後にガスリーからタスキを受け取った角田裕毅は、コンパウンド差を補正するとガスリーに迫る水準のタイムを記録するなど、印象的な走りを披露した。惜しむらくは燃料システムにトラブルが出てしまい、チェッカーフラッグを待たずに走行を切り上げた点だが、それでもチームとしては計111周を走破。貴重なデータを収集した。

2日目土曜日は天候の改善が見込まれており、レッドブルはセルジオ・ペレスが、アルファタウリは午前を角田裕毅が午後をガスリーが担当する。

ホンダF1:テスト初日を終えて

田辺 豊治ホンダF1現場責任者

例年になく短かったオフシーズンを終え、いよいよプレシーズンテストがスタートしました。

Hondaにとって最後となるシーズンに向けて、HRD-Sakura、HRD-UKのすべてのメンバーが一致団結し、戦闘力向上を目指して開発を進めてきました。またレッドブル・レーシング・ホンダ、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダの2つのチームも我々と同様に高いモチベーションで開発を続けてきました。

2021年型車両で初の本格走行となるプレシーズンテストは、今年からレギュレーションの変更によりわずか3日間となっています。Honda F1最終年のスタートであり、また新型のPUを持ち込むなど、今年は例年以上の緊張感をもってテスト初日を迎えました。

今日はレッドブル・レーシングのフェルスタッペン選手が全車の中で最多となる139周、ガスリー選手と角田選手2人が午前午後に分かれて走行を担当したスクーデリア・アルファタウリが合計で111周。Hondaとしては計250周を周回し、PUとしては大きな問題もなく順調な一日になりました。PUの各種データ計測、基本的な機能確認や各モードの最適化と言ったメニューを進めています。

スクーデリア・アルファタウリの午後のセッションを担当したルーキーの角田選手は、あいにく砂嵐による悪いコンディションでしたが、ミスなく堅実に走行を重ねて習熟を進めました。

車体の燃料システムに異常を確認し、調査のために早めに走行を切り上げざるを得なかった ことは残念でしたが、明日以降さらに周回を重ねてくれればと考えています。

残りの2日間で効率よくテストを行い、残された時間を無駄にすることなく初戦に向けて準備をしていきたいと思います。


初日をトップで締め括ったのはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。2番手ランド・ノリス(マクラーレン)を0.215秒差で退けた。3番手には0.472秒遅れでエステバン・オコン(アルピーヌ)が続く結果となった。

バーレーンテスト2日目は日本時間3月13日(土)日本時間16時から午前のセッションが、同21時から午後のセッションがそれぞれ4時間に渡って開催される。テストの模様はDAZNが生配信する。