それなら全員ペナルティ!とノリス、異例の「スポーツマンシップに反する行為」で懲罰…一体何をしたのか?
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ランド・ノリス(マクラーレン)は果敢にオーバーテイクを狙うなど、6月18日(日)のF1第9戦カナダGPで際立った活躍を見せたが、「スポーツマンシップに反する行為」という異例のルール違反によって5秒ペナルティが科されたため、9位チェッカー後に13位に降格となった。
ノリスが違反したのはFIA国際競技規定第12条2項1.l条だ。これは違反・侵害行為について定めたもので「競技における公平性の原則の侵害、スポーツマンシップに反する行為、またはスポーツ倫理に反する方法で競技の結果に影響を与えようとする行為」を禁じている。
この聞き慣れないレアなルールに関して、ノリスは一体何をしたのだろうか?
スチュワードによるとノリスは「ピットストップに際してダブルスタックによるタイムロスを避けるため、セーフティーカー(SC)先導下で減速」したという。
「ダブルスタック」というのは同じチームの2台のクルマが連続してピットストップを行う事を指すもので、SC中にしばしば見られれるアクションだ。
12周目のジョージ・ラッセル(メルセデス)のクラッシュに伴いSCが導入された際、レースエンジニアのウィル・ジョセフはノリスに対して、チームがダブルスタックを計画している事を仄めかした。
するとノリスはターン10~13区間においてチームメイトより「50km/h」近く遅い速度で走行した。これが前を行く僚友オスカー・ピアストリとのギャップを広げるための行為と見なされた。
1台目のマシンとの距離が近い状況でダブルスタックすれば、タイヤ交換が終わるまでピットボックス手前で停止して待たなければならなくなり、その間に後続車両に追い抜かれる恐れが出てくる。
スチュワードによれば、ノリスが速度を落とした結果、後続のシャルル・ルクレール(フェラーリ)やアレックス・アルボン(ウィリアムズ)はノリスに合わせて速度を落とさなければならなくなった。
ダブルスタックの際のこうした行為は珍しいものではない。最近では今年のアゼルバイジャンGPでフェルナンド・アロンソの後方にいたアストンマーチンの僚友ランス・ストロールが減速。ジョージ・ラッセル(メルセデス)がピットレーン進入時にストロールに追い抜きを仕掛けた事があった。
ノリスは英「Sky Sports」とのインタビューの中で、SCラップ中に減速したり加速したりするのは極一般的なものであり「誰もがよくやっている事だ」と主張して「意味がわからない」「困惑してる」と続けた。
「デルタに対して10秒遅れたわけじゃないし、もしデルタの差のせいだとするなら、この3~4年の間に殆ど全員がペナルティを受けるべきだよ!」
FIAは今後、この手の取り締まりを強化するつもりなのだろうか?
6月18日(日)にジル・ビルヌーブ・サーキットで行われた2023年F1第9戦カナダGP決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを果たし、2位にフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、3位表彰台にはルイス・ハミルトン(メルセデス)が続く結果となった。
レッドブル・リンクを舞台とする次戦オーストリアGPは6月30日のフリー走行1で幕を開ける。