660馬力を誇る電動マシンによる新シリーズ「SuperCharge」が2022年に開幕
660馬力を誇るコンパクト電動クロスオーバーを使用した新しい電気自動車レース「スーパーチャージ(SuperCharge)」が2022年に開幕を迎える。初年度はヨーロッパ、アジア、北米で計8ラウンドが開催される予定だ。
「SC01」なるコードネームが与えられたマシンは40Kwhのバッテリーを搭載し、フロントとリアの両方のアクスルを駆動することで計500kwのパワーを発揮する。これは660馬力に相当するパワーで、0-60mphはF1マシン並みの2.5秒が予想されている。充電に関しては、既存インフラとの互換性が担保される。
シャシーに関しては、コスト削減のためにチューブラーフレームのローリングシャシーが標準化される。マシン開発は自動車並びにモータースポーツ工学を専門とするドイツのHolzer Firmengruppe GmbHが担当する。
ローンチコントロールやトラクションコントロール、ブレーキバイワイヤなどのドライバーの補助を目的とする装置は禁止されるが、チームは市販車に似せてボディワークをカスタマイズしたり、バッテリージオメトリーや冷却システムを開発する事ができる。
シリーズは2台体制の8チーム、計16名のドライバーによって争われる。チャンピオンシップはチーム選手権、メーカー選手権、ドライバー選手権の3つのタイトルから構成される。
各ラウンドは15レースからなり、2.5メートルの高さのジャンプや、低フリクションゾーン、ドライとウェットを人工的に再現するウォーターガントリーなどを含む約1kmのサーキットでの6周で争われる。コースには「スーパーループ」と呼ばれるワールドラリークロススタイルのジョーカーラップも用意される。
シリーズ立ち上げには、スチュワートとジャガーF1チームでコマーシャルディレクターを務めた経験を持つロブ・アームストロングやトルベン・オルセン、1989年のル・マン24時間レースで勝利を飾ったザウバーの立役者であるマックス・ウェルティらが名を連ねており、将来的には国際自動車連盟(FIA)管轄下のシリーズに加わる事を目指しているという。
このシリーズは「世界の主要な自動車メーカーとの協議を経て」設立されたものであり、各自動車メーカーのEV車両販売に対する直接的な寄与を重視したものと考えられる。その点において、同じく電動レースであるフォーミュラE選手権やエクストリームEとは立ち位置が異なると言えよう。