決勝レースを前に談笑するピエール・ガスリー(アルピーヌ)と角田裕毅(アルファタウリ)、2023年3月5日F1バーレーンGP
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角田裕毅の才能と速さ、懐疑的な評価は見当違いとピエール・ガスリー…オコンとの関係と比較

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ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は、昨年までのアルファタウリ時代のチームメイト、角田裕毅の才能と速さに対する懐疑的な評価は見当違いだと訴えた。

2シーズンに渡って築き上げられた2人のブロマンス(男同士の友情)は所属チームが分かれた今も健在だ。コース上では激しく争うライバル同士だが、ステリングを握っていない時の両者はまるで兄弟のように仲が良い。世界の頂点を目指す野心的なトップアスリートが集うF1パドックでは異例と言って良いだろう。

現在のチームメイト、同郷のエステバン・オコンについてガスリーは、5年ぶりに出演したポッドキャスト「Beyond The Grid」の中で、競争力があり「尊敬」しており、仕事仲間として申し分ないとしつつも、「一緒に過ごす時間は殆どないし、友達とは言わない」として、その関係性は角田裕毅のそれとは「かなり違う」と語った。

「ユーキは本当にユニークな奴なんだ。オースティンでジャッキー・スチュワート卿からフランソワ・セベール(スチュワートを師と仰いだ元F1ドライバー)との関係を聞いだけど、それがすごく感動的でね。僕とユーキとの関係に通じるものがあった。彼との関係は本当に誠実で健全なものだった」

ただ、仲が良いが故に自らを成長させるような十分なプレッシャーを受ける事がなかったのではないか? 逆に友人関係にはないものの、ガスリー本人が「本当に速く、すごく才能のあるドライバー」と称するオコンのようなチームメイトが自身の走りを高めるために必要だったりはしないのか?

そう問われたガスリーは「大切な事だからまず最初に言っておくけど…」と切り出し、次のように続けた。

「ユーキとの間に男同士の仲の良い関係があったと言え、それは彼が持つ才能やスピードに何らの疑いをもたらすものじゃないんだ」

「常日頃から言っている通り、ユーキの速さは十分に評価されていないと僕は思ってる。感情と言葉遣いをコントロールできれば、とんでもない速さを発揮するだろうし、みんなは彼を過小評価している。僕はそう感じている」

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)の自宅で料理をするシェフ姿の角田裕毅(アルファタウリ)、2023年8月 (3)copyright pierregasly@Instagram

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)の自宅で料理をするシェフ姿の角田裕毅(アルファタウリ)、2023年8月 (3)

ガスリーはプロとして最高のパフォーマンスを追い求める事と、プライベートを充実させる事との間に明確な境界線を持っている。ガスリーにとって、仲が良い事とコース上で相手を徹底的に打ち負かそうとする事との間に一切、矛盾はない。

「僕らは楽しく、本当に良い関係を築いた。でもプラクティス、予選、レースで僕は彼を完膚なきまでに打ち負かしたかった。悪い意味じゃなくてね。単に、すべてのセッションで彼を凌駕したかっただけなんだ」とガスリーは語る。

「一番になりたいという欲求、それに向けたチャレンジと競争に勝るものはない。それはリスペクトを欠いたり、限界を超えてやるということじゃなく、あくまでもルールに則ってって事だけど、結局のところ日曜に家に帰って、与えられたクルマで絶対的なベストを尽くしたという満足感を得ることが僕にとっての究極の目標なんだ」

「パドックやコースを離れた所で笑ったり、素敵なディナーの時間を過ごすことで人生は更に楽しいものになる。家を離れている時間が長いから、僕らにとってはレースをしていない時に楽しめる瞬間を見つけることが大切なんだ」

「もちろん僕が一番好きなのは、F1マシンに乗って世界最高の19名のドライバーを相手に戦うことだ。クルマにあるはずの100分の1秒、1000分の1秒を追い求め、彼らを打ち負かす事は絶対的な満足感を与えてくれる」

「でもクルマを離れたところでユーキとそうだったように、チームメイトと一緒にもっと楽しめれば最高だ。でも、そうならなかったら、それはそれでいい。チームと、メカニックやエンジニアと、他のあり方を見つければね」