F1シンガポールGPで史上初の「ヒートハザード」が発令、その意味とは? - 選択迫られるチームとドライバー

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2025年F1第18戦シンガポールGPの開幕を前に、史上初となる「ヒートハザード(高温警告)」が発令された。週末は土日ともに気温30度、湿度70%を超える見通しで、各チームとドライバーは対応を迫られることになる。

ヒートハザードとは?

ヒートハザードはF1における新たな取り組みで、スプリントまたはレース中に気温と湿度を組み合わせた体感指数が31度を超えることが予想される場合、健康被害のリスクを警告し、チーム及びドライバーに対応を義務付ける制度だ。F1競技規則第26条19項に定義されている。

シンガポールでは路面温度が60度を超えることも珍しくなく、湿度が70%を下回ることはほとんどない。レース中にドライバーが失う体重は最大で5kgに及ぶとも言われる。

ヒートハザードが発令されると、イベント終了まで効力が持続し、チーム、ドライバー、医療班は高温多湿下でのリスクを常に考慮して行動しなければならない。

2023年カタールGPでは複数のドライバーが熱中症に陥り、嘔吐や湿疹、意識朦朧といった症状で医療処置を受ける異常事態となった。これを受けてFIAは対応策を検討し、2025年シーズンからヒートハザードを導入した。

冷却ベストか追加バラストか

発令時、ドライバーは冷却ベストを着用するか、代わりにマシンへ0.5kgのバラストを搭載するかを選択しなければならない。これは、冷却ベストを使わないドライバーが重量的な優位を得ないよう調整するための措置だ。

ただし、いずれを選んだ場合でもマシンには冷却システム――ポンプ、冷却液リザーバー、熱交換器――の搭載が義務付けられている。

当初は冷却ベストの義務化が検討されたが、テストを経て「狭いコクピットがさらに窮屈になる」というドライバーの声が多く寄せられ、最終的に選択制へと変更された経緯がある。

冷却ベストの仕組みと役割

複数のチューブを備えるFIA公認冷却ベストを装着するジョージ・ラッセル(メルセデス)、2025年F1バーレーンGPCourtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

複数のチューブを備えるFIA公認冷却ベスト、2025年F1バーレーンGP

FIA公認の冷却ベストは、耐火性アンダーウェアに内蔵されたチューブを通して冷却液を循環させる仕組みだ。マシンに接続された小型ユニットが作動し、ドライバーの体幹温度をコントロールする。

目的はめまい、脱水、極度の疲労といったリスクを軽減すること。従来はレース前のアイスベストや水分補給に頼るしかなかったが、この新システムにより走行中の体温管理が可能になった。

コックピット内の温度が55〜60度に達すると言われるシンガポールGPは、かねてよりカレンダー随一の過酷な一戦とされてきた。今回のシンガポールGPは、冷却ベストの効果とF1の新たな“暑熱対応”の在り方を占う重要な試金石となる。

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