FIA、F1パワーユニット性能格差を防ぐ新規定「ADUO」を2026年に導入─5メーカー時代の競争力均衡へ

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2026年シーズンに向けて、F1は大きな転換期を迎えようとしている。新たなパワーユニット規則の導入に伴い、ホンダが復帰を果たし、アウディとレッドブル・フォードが新規参入することで、パワーユニット(PU)メーカーは現在の4社から5社へと増加する。一方で、ルノーは今季限りで撤退する。

この歴史的な変革期に先立ち、FIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)は、F1第19戦アメリカGPの開幕を前にした10月16日のオンライン会合にて、PU性能で大きく後れを取るメーカーを救済するための新たな規則変更を承認した。

ドイツ・ニュルブルクリンクにはためく国際自動車連盟(FIA)の旗、F1アイフェルGP(2020年10月9日F1アイフェルGPにてCourtesy Of Alfa Romeo Racing

ドイツ・ニュルブルクリンクにはためく国際自動車連盟(FIA)の旗、F1アイフェルGP(2020年10月9日F1アイフェルGPにて

「ADUO」─遅れたメーカーへの支援制度

新たに導入される「追加開発・アップグレード機会(ADUO: Additional Development and Upgrade Opportunities)」は、特定メーカーのPUが競争力で著しく劣った場合に発動される支援制度だ。

2026年シーズン中、FIAは全チームのPU性能を継続的にモニタリングし、第6戦、第12戦、第18戦の後にADUOを適用するメーカーの有無を評価する。全24戦で構成される2026年シーズンを通じて競争力のバランスを保つことが目的だ。

具体的な支援内容は?

ADUOによる支援は、以下のような形が想定されている。

  • PUの仕様変更許可:通常、シーズン開始前に固定されるPU仕様の変更を特例的に認める
  • コストキャップの緩和:開発費用の上限を一時的に引き上げ、改善の機会を与える
  • テストベンチ使用時間の追加:PU開発のための試験時間を追加で割り当てる

さらに、ADUOとは別枠で、「信頼性に関わる深刻な問題によって、コストキャップ下で著しく不利な立場に追い込まれたPUメーカー」に対し、予算面での救済を可能とするコストキャップ緩和規定の導入も正式に決定された。

なぜ今、この規則が必要なのか

ホンダが2021年のF1でレッドブル及びアルファタウリに供給したパワーユニット「RA621H」全体像 (3)Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd

ホンダが2021年のF1でレッドブル及びアルファタウリに供給したパワーユニット「RA621H」全体像

この規則導入の背景には、2026年の大規模なレギュレーション変更がある。新PU規則では電動化がさらに進み、未知の課題が続出し、技術的な難易度が大幅に上昇することが予想される。既存メーカーであっても開発に苦戦する可能性があり、新規参入組はさらに大きなリスクを抱えることになる。

もし特定のメーカーが大きく遅れを取れば、そのPUを使用するチームは競争力を失い、シーズンを通じて苦しい戦いを強いられることになる。こうした事態を防ぎ、すべてのメーカーが一定の競争力を維持できる環境を整えることが、FIAの狙いだ。

PUメーカーに対するコスト上限が存在せず、シーズン中の開発も自由に認められていた時代でさえ、一度遅れを取ったメーカーが巻き返すのは容易ではなかった。実際、現行のV6ハイブリッド時代が幕を開けた2014年に開発面で圧倒的な優位を築いたメルセデスは、その後8年連続でコンストラクターズ選手権を制し続け、F1史に残る黄金期を築いた。

コンコルド協定の最終調整も大詰め

一方、FIAとフォーミュラワン・マネジメント(FOM)との間で交渉が続けられている新コンコルド協定については、最終合意に近づいていることが示唆された。

FIA会長のモハメド・ベン・スライエムは、FOMと「緊密な協力関係」を維持しているとし、それによって「F1は世界的な成長を続け、ますます多くのファンを魅了するだろう。そして、FIAは規制機関としての役割をさらに強化できる未来を実現するだろう」と語った。

「我々の最優先事項は、すべてのシングルシーターシリーズで安全性を向上させ続けること、若手ドライバーの育成を支援すること、そして最終的には我々の愛するスポーツが持続的に成長する姿を見届けることだ」

2026年シーズンは、F1にとって新たな時代の幕開けとなる。この新規則が真の意味で競争力の均衡をもたらし、よりエキサイティングなレースを生み出せるか――注目される。

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