元F1総帥バーニー・エクレストン、脱税を認め執行猶予付き懲役刑…1,200億円支払い
F1の元トップ、バーニー・エクレストンが4億ポンド(約732億円)以上の海外資産に関して英国の税務当局(HMRC)を欺いたと認め、2023年10月12日(木)にロンドンのサザーク刑事法院で懲役17ヶ月、執行猶予2年の有罪判決を言い渡された。
検察によると今月28日に93歳を迎えるエクレストンは、保有している信託財産は娘のデボラ、タマラ、ペトラのためのものが1つあるだけで、他の如何なる信託の委託者でも受託者でもないと主張した。
だがHMRCによると実際には様々な信託の委託者であり受託者で、エクレストンの発言は「虚偽または誤解を招く」ものだった。また、HMRCの最高調査責任者兼不正調査サービス部長のリチャード・ラスは、エクレストンが「HMRCに嘘をついた」と語った。
エクレストンは当初、容疑に対して無罪を主張していた。英「Sky News」によると弁護士は以前の公聴会で心臓専門医の証拠を引用し、訴訟のストレスで死に至る可能性があるとして起訴を阻止しようとしたが、この要求は退けられた。
弁護士によると起訴されたのは、英「ITV」の番組内でエクレストンが、ロシアのウラジミール・プーチン大統領を「一流の人物」と発言して非難が殺到した2022年6月30日の1週間後の事だった。
1ヶ月余り後の裁判を前に3番目の妻、ファビアナ・フロシと共に12日(木)にサザーク刑事法院に出廷して脱税の罪を認めたエクレストンは有罪判決を受けると共に、これに先立ち9日(月)にHMRCとの間で民事上の和解に合意し、1994年から2022年までの18課税年度分に渡る税金、利子、違反金を含む6億5,260万ポンド(約1,194億円)を支払った。
弁護士によるとエクレストンは、起訴されるに至った出来事を「痛烈に後悔している」と言い、「納税を免れることはエクレストン氏の意図するところではなかった。彼は常に、支払うべき税金を支払う意思を持っていた」と言う。
エクレストンは1970年代から2017年まで40年間に渡ってF1を率い、世界的なスポーツに育て上げたが、同年にリバティ・メディアがF1を買収すると最高経営責任者(CEO)の座を失った。昨年5月には、飛行機に搭乗する際に銃を不法携帯していたとしてブラジルで逮捕され、その後、保釈金を支払って釈放された。
米経済誌「Forbes」によるとエクレストンの純資産は約29億ドル(約4,322億5,518万円)に及ぶ。