
FIA資金配分が増額、「F1審判の質」向上へ―第9次コンコルド協定が正式署名
F1を取り巻く政治的な綱引きに、ひとつの区切りが付いた。国際自動車連盟(FIA)は12月12日、F1マネジメント(FOM)および全チームと、第9次コンコルド協定に正式署名したと発表した。対象期間は2026年から2030年までとなる。
今回の合意における最大の焦点は、FIAへの資金配分が増額された点だ。これにより、長年の課題とされてきたレース運営体制やスチュワードの質的改善が進む可能性が高まった。
FIA資金配分の不均衡
F1の「憲法」とも称されるコンコルド協定は、1981年に初めて導入された。商業面に関する条件については、現行チームとオーナーのリバティ・メディアとの間ですでに合意が成立していた。
一方で、FIAへの資金拠出を含むガバナンス面の調整が難航し、これが最終合意への障壁となっていた。
FIA会長を務めるモハメド・ベン・スレイエムは、F1が記録的な収益を上げる一方、競技を管理するFIAへの還元が不足していると訴えてきた。近年はコストキャップ導入に伴い、監査業務の負担が急増していた。
スチュワード体制強化への期待
注目すべきは増額された資金の使途だ。FIAが公表した声明では、「レース運営、レースディレクション、スチュワード、および技術的専門性へのさらなる投資が可能になる」とされている。
F1では以前から、裁定の一貫性を高めるため、常設スチュワード制度の導入を求める声があった。だが、財源の確保が難しく、実現には至っていなかった。
今回の合意は、その人的リソース拡充を現実的な選択肢とするものだ。資金面の裏付けを得たことで、裁定体制の見直しが本格化する可能性がある。
ベン・スレイエムは交渉妥結について、次のように述べている。
「この協定によって、レースディレクターやオフィシャル、そして全てのレースを支える何千人ものボランティアを含め、規制、技術、運営能力の近代化を継続できる」
2026年からは車体・パワーユニット共に大規模なレギュレーション変更が予定されている。その転換期を前に、統治を巡る対立が収束した意義は大きい。
F1のステファノ・ドメニカリCEOも「この合意は、F1が世界中で成長し続けるための最良のポジションを確保するものだ」と歓迎の意を示した。
F1側からFIAへの配分増額が決まった今、問われるのは投資の成果だ。2026年以降、より公正で迅速、かつ洗練されたレース運営が実現するかが注目される。