角田裕毅、逆境覆しての今季初Q3に笑顔…広範に渡るアプグレの効果については”現実的”
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壁との接触により車体にダメージを負い出鼻を挫かれながらも、角田裕毅(アルファタウリ)は4月28日(金)のF1第4戦アゼルバイジャンGP予選で堂々足る走りを見せて8番手と、今季初のQ3進出を以て見事巻き返してみせた。
アルファタウリの2023年型「AT04」は冬の間に期待されていたほどのパフォーマンスがなく、開幕3戦はミッドフィールドの後方を争う状況であったが、それでも角田裕毅は孤軍奮闘。前戦オーストラリアGPで今季初のポイントを持ち帰った。
4週間の休みを経て、入賞の勢いを継続すべく週末最初のセッションに臨んだものの角田裕毅は、開始早々にスピンを喫してターン3のウォールに衝突。タイヤとホイールリムを破損し、修復と調査のために走行時間を失った。
それでも予選Q1で10番手タイムを刻むと、Q2ではメルセデス勢を含むライバルを打ち負かす7番手タイムを記録。今シーズン初のQ3進出を決めた。
新品ソフトを使い切ったためQ3は10番手止まりかと思われたが、中古タイヤながらもランス・ストロール(アストンマーチン)とオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を振り切り、日曜の本戦に向けて8番グリッドを持ち帰った。
セッションを振り返った角田裕毅は開口一番「特にここ3戦、苦労していただけに、チームは本当に良い仕事をしてくれたと思います」と述べ、車体改善のためのアップデートに取り組んできた英国ビスターのスタッフや、クルマの修復に取り組んでくれたメカニックを含むチーム全体の仕事ぶりを褒め称えた。
「直線スピードに弱点を抱える中、クルマの競争力を高めるべくファクトリーの誰もがアップグレードのために懸命に働いてくれていたので、この結果に満足しています」
「メカニックは本当によくやってくれました。チームの事は信頼していますが、彼らなしにこのパフォーマンスはなし得ませんでした。本当に感謝していますし、Q3に進むのは今シーズン初めてなので本当に満足です」
アルファタウリは今週末のバクーに最も意欲的なアップグレードを投じたチームの一つだった。フロントウイングやエンジンカバー、リアウィングやビームウイングなど、多くは課題のドラッグ低減を狙ったもので、中には新型のリア・ブレーキ・ドラム等、クルマのパフォーマンスの底上げを狙ったものもあった。
これほど広範囲にアップグレードを施してきたのはアルファタウリの他に、レッドブルとマクラーレン位のものだった。
新たな開発パーツの効果について角田裕毅は、そもそもバクー市街地コースは過去数年間に渡ってアルファタウリが得意としてきたコースであるとして「現実的に考える必要があります」とする一方、少なくとも直線速度という点では「かなり上手く機能している」「良いステップが踏めた」と思うとして、今後の更なるアップグレードに期待を示した。
インタビューに応える角田裕毅は”満面”ではないにしろ笑顔を見せた。ただそれは「ホッとしました」との発言が感じさせるように、苦戦続きの状況から抜け出しつつあることへの安堵という意味合いが大きいのかもしれない。
なお、チームメイトのニック・デ・フリースはFP1で6番手と印象的な速さを見せるも、予選Q1でクラッシュを喫してノータイム最下位に終わった。
角田裕毅は「FP1で好調だっただけに、ニックにとっては残念な結果になってしまいましたが、彼が無事で良かったです」とコメントした。
2023年F1アゼルバイジャンGP予選ではシャルル・ルクレール(フェラーリ)がポールポジションを獲得。2番手にマックス・フェルスタッペン、3番手にセルジオ・ペレスと、今年初めてレッドブル勢を退けてみせた。
スプリント・シュートアウトは日本時間4月29日(土)17時30分から、スプリントは同22時30分からバクー市街地コースで開催される。セッションの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。