アルファタウリF1、フェラーリ上級幹部引き抜きか…巨額買収オファー拒否とも
水面下でチーム再編を進めるスクーデリア・アルファタウリは、同じイタリアを本拠とするスクーデリア・フェラーリからローラン・メキース(レーシング・ディレクター)を引き抜く計画のようだ。
RacingNews365はメキースが、角田裕毅とニック・デ・フリース擁するファエンツァのチームに移籍する見通しだと伝えた。どのような肩書・立場での契約になるのかは明らかにされていないものの、引退宣言が話題を呼ぶ「フランツ・トスト代表と肩を並べて職務にあたる」事になるという。
メキースがスクーデリアを去るのではとの噂は以前からイタリア方面で囁かれていた。
マッティア・ビノットの後任として新たにチーム代表に就任したフレデリック・バスールはメキースを引き留めたい意向ながらも、メキースはベネデット・ヴィーニャCEOに不満を抱いており、アルピーヌやリバティ・メディア、FIAから引き抜きのオファーがあったとされる。
マラネッロのチームはつい先月、車両コンセプト責任者を務めていたデビッド・サンチェスをマクラーレンに引き抜かれたばかりであり、メキースの移籍が事実となれば、ビノットを含めた相次ぐキーマンの流出がチームに与える影響が懸念される。
45歳のフランス人エンジニアにとってアルファタウリはF1キャリア初期を過ごした古巣だ。
2001年にアロウズに入社し、4輪最高峰クラスでのキャリアをスタートさせたメキースは、その翌年にレースエンジニアとしてミナルディに移籍。マーク・ウェバーやジャスティン・ウィルソン、ゾルト・バウムガルトナー、クリスチャン・アルバースをサポートした。
チームが2006年にアルファタウリの前身、トロ・ロッソに改称されるとチーフエンジニアに抜擢され、ファクトリーにおける車体製造からレースチームに至るまであらゆる業務を担当。その後、車体パフォーマンス部門の責任者を務めた。
12年に渡るファエンツァでの仕事を経て、セーフティー・ディレクターとして2014年に国際自動車連盟(FIA)に加わると、2017年にF1副レースディレクターに就任。その翌年にスクーデリアに移籍した。
なおレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはその可能性を否定しつつも、成績不振に喘ぐアルファタウリの売却に関する話し合いが行われた事を認めているが、報道によると実際、第三者から幾つかの提案があり、その中には「少なくとも8億ドル(約1,071億円)」という巨額の買収オファーがあったという。
ただ、レッドブル・グループはこれを拒否したと伝えられており、メキーズや商業部門責任者としてのラース・シュテーゲルマンの起用が示唆するように、アルファタウリはこれまで通りレッドブル・グループ傘下の一員として立て直しに取り組んでいくものと見られている。