F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンとレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表、2019年ブラジルGPにて
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年間19戦!?…F1、未だ2020年シーズンに楽観的「開幕はヨーロッパで無観客」

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F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンは2020年シーズンのF1世界選手権について、ヨーロッパのいずれかのグランプリが開幕の役割を担う可能性が高いとの見解を示し、新型肺炎による混乱の収束の見通しがつかないにもかかわらず、今季18~19戦開催に自信を示している。

他のモータースポーツ同様にF1カレンダーもまた、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で中止あるいは延期を強いられている。4月8日(水)には6月頭に開催が予定されていたカナダGPの延期が正式発表され、4月上旬という現段階で既に9つのレースがカレンダーから消滅しているが、65歳のイギリス人は同じ日、世界中のF1ファンに楽観的な見通しを示した。

Sky Sportsの番組に出演したロス・ブラウンは「我々の見解としては、開幕はおそらくヨーロッパになる見通しだ。クローズドなイベントになるかもしれない。チームはチャーター機で入国し、我々がそのチームをサーキットへと移送して、その後全員にテストを受けてもらい、誰にもリスクがないことを確認する」と語り、次のように続けた。

「観客なしでレースをする事になるだろう。素晴らしいことではないが、全くレースをしないよりはマシだ。自宅でテレビの前に座ってこのスポーツを観戦している人々が何百万人もいる事を思い出すべきだ。彼らの多くは(ウイルスの影響で)孤立している。このスポーツを存続させ、人々を楽しませることができれば、この危機の中で大きなボーナスになるだろうが、誰一人として危険に晒す事はできない」

F1スポーティング・レギュレーション第5条4項では「世界選手権の競技数は最多21戦、最少8戦とする」と定めており、今シーズンがチャンピオンシップとして認められるためには少なくとも8レースを開催する必要があるが、ロス・ブラウンはシーズン成立を信じて疑わない。

「FIAの規定によれば、世界選手権を開催するには最低でも8レースが必要だ」とロス・ブラウン。「(最悪でも)10月にスタートできれば8レースを達成できる。デッドラインは10月だ。シーズンが来年1月にずれ込む可能性もあり、今はその可能性を探っている。様々なシナリオが考えられるが、いろいろと複雑な問題もある」

「もし7月の初めにスタートできれば19戦をこなす事ができるだろう。流石に、トリプルヘッダーの後に1週間の休みを挟み、その後もトリプルヘッダー、休み…を繰り返すのは厳しい。あらゆるロジスティックスを注視しているが、7月の初めにスタートできれば年間18~19戦を開催できると考えている」

「今シーズンは8戦から19戦間のいずれかになるだろう」

カレンダーの再編は難易度が激しく高いパズルのようなものだ。F1首脳陣と現地プロモーターは、今季カレンダーに可能な限り多くのレースを詰め込むために、初日2回のフリー走行を中止するか土曜に押し込むかして、週末を通常よりも1日少ない2日イベントとして開催する事を検討している。

F1の総収入の大部分は開催権料とテレビ放映権料とスポンサー料で成り立っており、これの7割弱がコンストラクターの賞金として参戦チームへと分配されるため、開催数の確保はF1とチームの生命線となる。

「ロジスティクスのニーズを満たすために、2日間のレースが行われる可能性がある」とブラウンは説明する。「もし延期開催をするとなれば、例えば中国は2日間のレースになると思う。現地へと向かい(レースをして)その後、次のレースのために立ち去るためには、2日間のイベントの方が容易だからだ」