F1ラスベガスGPの勘所―勝敗を左右する足元の変数、“前倒し”が揺るがす週末の行方

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今週末に開催される2025年F1第22戦ラスベガスGPは、今年もネオン輝く夜間の照明下で争われる。だが、昨年から一つ大きな変更点がある。全セッションの開始時刻が2時間早まるのだ。

この変更によって、昨年のような極端な低温に悩まされる場面は幾らか減る見通しだが、それでも砂漠の夜は、路面温度を容赦なく低下させる。

タイヤを適正な作動温度へ素早く押し上げられるかどうかが、予選での一発の速さと決勝のレースペースを左右する要素であることに変わりはない。

ベガスのタイヤ事情と好走のカギ

ピレリは3年連続でC3(ハード)、C4(ミディアム)、C5(ソフト)という柔らかめのレンジを持ち込む。よりソフトなコンパウンドが採用されない背景には、グレイニング(タイヤ表面のささくれ摩耗)発生のリスクがある。

ラスベガス市街地コースでは、2023年の初開催以来グレイニングが顕著に発生してきた。最も柔らかいコンパウンドを投入すれば、タイヤの性能が著しく損なわれる可能性が高い。

一方で、今年のタイヤは改良により摩耗の減少が期待されており、とりわけ昨年、ミディアムで顕著だったデグラデーション(性能低下)は低減するものと見られる。そうなればスティントを引き延ばしたり、逆に、よりアグレッシブなプッシュ走行を採るなど、アプローチの幅が広がることになる。

ただ、それでも予選アタックに向けたプレップラップ(計測開始前の準備周回)の重要性は変わらない。計測開始までに、タイヤを如何に適正温度まで温めるかが、ラップタイムを削る決定的な要因となる。

なお、公道区間を使用するため、週末を通じて路面状態が改善していく「トラックエボリューション」の幅は大きい。昨年はFP1から予選Q3までに約2.7秒、ラップタイムが向上した。予選中も同様で、Q1からQ3にかけては約0.8秒の上昇があった。

ラスベガス市街地コースを周回するニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)、2023年11月17日F1ラスベガスGPフリー走行Courtesy Of Haas

ラスベガス市街地コースを周回するニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)、2023年11月17日F1ラスベガスGPフリー走行

昨年の教訓と今週末の焦点

2024年大会の戦略を振り返ると、興味深い傾向が見える。スタート時、4名を除く全ドライバーがミディアムを選択した。例外はフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)のソフト、そしてセルジオ・ペレス(レッドブル)、バルテリ・ボッタス(ザウバー)、ピットレーンから発進したフランコ・コラピント(ウィリアムズ)のハードだった。

多くのドライバーがハードを2セット温存していたため、主流はミディアムからハード2本へつなぐ2ストップとなった。デグラデーションと摩耗がそこまで進まなかったこともあり、ドライバーたちは慎重にタイヤをマネジメントすることなく、タイヤを限界まで酷使するアグレッシブな走りを見せた。

ただし、第1スティントで使われたミディアムにはグレイニングが生じ、一部のドライバーは予定より早くピットへ向かわざるを得なかった。

2024年F1ラスベガスGP決勝レースのドライバー別タイヤ戦略、2024年11月23日(土)F1ラスベガスGPCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2024年F1ラスベガスGP決勝レースのドライバー別タイヤ戦略、2024年11月23日(土)F1ラスベガスGP

全50周で争われる今年も2ストップが最速戦略となる可能性は高い。ただし、開始時刻の変更によって気温・路面温度がどこまで変化するかは未知数で、戦略の幅は昨年より広がる可能性がある。

なお、現行コースでの初開催となった2023年はマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)が3番手から、昨年はジョージ・ラッセル(メルセデス)がポールポジションから勝利を飾った。

一方で、今季コンストラクターズ選手権を制し、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリがドライバーズタイトルを争うマクラーレンは、ラスベガスが加わった2023年以降、例外なく6位以下に沈んでいる。

ノリスは昨年の苦い経験を踏まえ改善に取り組んできたと語り、「過度にネガティブになるつもりはない」としつつも、「去年は僕らにとって最悪のレースだったし、正直あまり気が進まない」と率直だ。

一方、昨年大会で圧巻の1-2を決めたメルセデスのトト・ウォルフ代表は、2025年のメルセデスが必ずしも予想通りの場面で速さを発揮できていないことを挙げ、昨年の再現には慎重な姿勢を見せている。

表彰台に立つ2位のルイス・ハミルトン(メルセデス)、優勝したジョージ・ラッセル(メルセデス)、3位のカルロス・サインツ(フェラーリ)、2024年11月23日(土) F1ラスベガスGP(ラスベガス市街地コース)Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

表彰台に立つ2位のルイス・ハミルトン(メルセデス)、優勝したジョージ・ラッセル(メルセデス)、3位のカルロス・サインツ(フェラーリ)、2024年11月23日(土) F1ラスベガスGP(ラスベガス市街地コース)

ギャンブルの都ラスベガスで開催されるとはいえ、F1の勝利は運任せでは得られない。データ収集、シミュレーション解析、そして綿密な戦略立案──これらの積み重ねこそが、表彰台への階段を上る唯一の道だ。

今年はスケジュール前倒しという新たな変数が加わる。温度管理、タイヤ選択、ピットのタイミングが絡み合う中で、誰がネオンの下で栄光を手繰り寄せるのか。

2025年F1ラスベガスGPは、日本時間11月21日(金)9時30分からのフリー走行1で幕を開ける。予選と決勝を含めた全セッションはDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

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