リンブラッド、”壊すな”の厳命下でルーキー最速 ― 手応えの一方「まだ言い切れない」昇格には慎重姿勢

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レッドブルの若きホープ、アーヴィッド・リンブラッドが再び印象的な走りを見せた。2025年F1第20戦メキシコGPのFP1で、レッドブルRB21を駆り6番手タイムを記録。全9名のルーキーの中で最速タイムを刻んだだけでなく、同じマシンでレギュラー参戦する角田裕毅を0.093秒上回るパフォーマンスを披露した。

ただし、リンブラッドには新型フロアが与えられ、さらに異なる走行プログラムで臨んでおり、単純比較はできない。角田は残り25分の時点でベストラップを記録後、ハードタイヤでロングラン主体のプログラムを継続。一方のリンブラッドは残り10分、燃料が軽い状態かつトラックコンディションが改善した中で自己ベストを更新した。

それでも、限られた経験の中で、かつ一切のミスが許されない状況で堅実な走りを見せたことは評価に値する。

角田裕毅とアーヴィッド・リンブラッドのフロア・サイドポッド下部の比較、2025年10月24日(金) F1メキシコGP FP1(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)copyright Formula1 Data

角田裕毅とアーヴィッド・リンブラッドのフロア・サイドポッド下部の比較、2025年10月24日(金) F1メキシコGP FP1(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)

砂埃舞う高地メキシコ「氷の上を走るような状況だった」

標高2,200メートル超の高地に位置するエルマノス・ロドリゲス・サーキットは、F1カレンダーの中でも特殊なサーキットだ。平地と比べて22%薄い空気がダウンフォースとエンジン出力、タイヤのグリップを奪う。リンブラッドにとっては大きな挑戦となった。

「今日はかなり良かったと思う。ただ、出だしはかなり砂埃が多く、ハードタイヤで走行するのは氷の上を走るような感じで楽じゃなかった」

セッション前にはマックス・フェルスタッペンから「激励の言葉をもらった」というリンブラッド。「できるだけミスを減らそうと意識して、クルマを無傷で戻せた。チームにしっかりフィードバックを伝えることを意識して走った」と振り返る。

チーム代表のローラン・メキーズは、リンブラッドに対して角田とは異なるアプローチを取ったことを明かした。「アーヴィッドには燃料が少ない状態で走らせた。通常のFP1でやるような燃料量を変えるプログラムによって余計な複雑さを与えたくなかった。少し違うプランだった」

リンブラッド自身は「ランプラン自体はユーキとあまり変わらなかった。ソフトタイヤへの交換も同じタイミングで、黄旗が出て少しバタついたから、僕だけもう1本多く走った感じだね」と説明する。

フリー走行1でレッドブルRB21をドライブするアーヴィッド・リンブラッド、2025年10月24日(金) F1メキシコGP(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

フリー走行1でレッドブルRB21をドライブするアーヴィッド・リンブラッド、2025年10月24日(金) F1メキシコGP(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)

「絶対にミスできない」重圧の中で

若きルーキーにとって、今回のFP1走行は通常以上のプレッシャーを伴うものだった。レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコからは「絶対にクルマを壊すな」との厳命を受けていた。

「今日はちょっとばかりナーバスになっていたんだ。特にマックス(フェルスタッペン)がチャンピオン争いをしている状況もあって、絶対にミスできないという重圧があったからね」とリンブラッドは明かす。

フェルスタッペンは現在、マクラーレン勢との激しいタイトル争いの真っただ中にいる。その状況下で、もしリンブラッドがクラッシュを喫していれば、マシンの損傷によってフェルスタッペンがFP2を欠場する事態にもなりかねなかった。さらに、貴重な空力パーツを失うリスクもあった。

「でも、バイザーを下ろして走り出したら、その後は何も問題なかった。クルマは速かったけど、自分としてはもっとやれたという思いが残ってる。チームのデータ収集を助けることが重要だと認識していたから、正しい方向に進めるように意識してフィードバックを返した。その点、自分としてはいい仕事ができたと思う」

F1昇格には慎重姿勢、首脳陣は高評価

プラクティスでの仕事ぶりに対する自己評価とは対象的に、F1昇格については慎重だった。F1にステップアップする準備は整っているか?との質問に対し、リンブラッドはこう答えた。

「僕はかなり早いスピードでカテゴリーを駆け上がってきたから、いきなり厳しい環境に放り込まれて、自分でなんとかするのには慣れてる」

「でも正直、今ここで”準備ができてる”って言い切れるかは分からない。ただ、自分を信じてるし、もしその時が来たなら、何とか道を見つけ出すと思う」

イギリスとスウェーデンの二重国籍を持つ若き18歳。レッドブル・ファミリーが育てる次世代のスター候補は、高地エルマノス・ロドリゲスで次のステップに向けた確かな一歩を刻んだように見える。

実際、メキーズは「彼は本当によくやった。あの状況でマシンに乗るのは難しいのに、すごく良い仕事をしてくれた」と評価する。

マルコもまた、「アーヴィッドにとっては難しい状況だった。“絶対にクルマを壊すな”と言ってあったからね。それでも彼はきっちり走り、ルーキー最速タイムを記録した。技術的なフィードバックも素晴らしかった。本当に満足している」と称賛を惜しまなかった。

フリー走行1に向けてパドックを歩くアーヴィッド・リンブラッド(レッドブル・レーシング)、2025年10月24日(金) F1メキシコGP(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

フリー走行1に向けてパドックを歩くアーヴィッド・リンブラッド(レッドブル・レーシング)、2025年10月24日(金) F1メキシコGP(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)


2025年F1メキシコGPの初日FP2をトップで締め括ったのはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。2番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)を0.153秒差で退けた。3番手にはアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が続く結果となった。

フリー走行3(FP3)は日本時間10月25日(土)26時30分から、公式予選は同日30時より1時間にわたってエルマノス・ロドリゲス・サーキットで開催される。セッションの模様はDAZNおよびフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

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