
FIA、公式スケール使用を禁止 ― 失格リスク増大に揺れるF1チーム…シンガポールGPより新ルール
国際自動車連盟(FIA)は2025年F1第18戦シンガポールGPから、ピットレーン入口に設置された公式スケールを各チームが自由に利用することを禁止した。スケール利用を求めるマシンが集中し、ピットレーンが混雑する事態が発生していたため、それを緩和する狙いがあると見られる。
これまでチームは、公式スケールの値と照らし合わせることで、自前のスケールの整合性を確認できたが、今後はチーム独自のスケールのみを頼りとしなくてはならなくなった。結果、少なからず最低重量の確保において安牌を切るチームが出てくる見通しだ。
わずかな誤差が命取り、過去の失格事例
車両重量違反は深刻な結果を招く。今季の中国GPではシャルル・ルクレールとピエール・ガスリーが失格。昨季のベルギーGPではジョージ・ラッセルが優勝を失った。これらの例からも、わずかな誤差が命取りになることは明らかだ。
FIAは、各グランプリに校正済みの計量スケールを持ち込み、週末を通じての抜き打ち検査や車検で使用し、マシンが常に必要な最低重量規定を満たしているか確認している。
公式スケール禁止に伴う“新たな重圧”
今回の変更によって、チームは公式スケールを利用してマシンの合法性を直接確認することができなくなった。そのため、FIAが提供するキャリブレーション用の分銅を用いて自前のスケールを調整し、FIAスケールと一致する数値を導き出さなければならない。
ただし念入りにキャリブレーションしても、最終的には公式スケールの値こそが全てであり、“確実性”が揺らいだ事実は変わらない。関係者によれば、この変更はチームにとって新たな不確定要素となり、戦略面での負担を増やす恐れがある。
アルピーヌとハースは警戒姿勢
イギリスの専門メディア『The Race』によると、アルピーヌのレーシングディレクター、デイブ・グリーンウッドは「最終的に重要なのはFIAスケールでの数値であり、常に余裕を持たせる必要がある」と語り、今後は重量マージンを増やす方針を示した。
ハースのチーフレースエンジニア、フランチェスコ・ネンチも「FIAのスケールと我々のスケールの間にはキャリブレーションの違いがあり、それを考慮する必要がある。だからおそらく少し余裕を増やすことになるだろう」と同調した。
一方でレッドブルのチーフエンジニア、ポール・モナハンは「私にとっては何も変わらない。『なんてことだ、地球が回転をやめ、磁場が崩壊し、地球の核が固まった』なんて大げさに言う人もいるかもしれないが、やるべきことをやるだけだ」と冷静な姿勢を見せた。