
神童アントネッリが直面する“壁”、止まらぬ自信喪失と悪循環―ベルギー予選で連続Q1敗退
2025年F1第13戦ベルギーGPの公式予選が7月26日にスパ・フランコルシャンで行われ、メルセデスの18歳、アンドレア・キミ・アントネッリがQ1敗退となる18番手に沈んだ。
前日のスプリント予選でもSQ1敗退を喫しており、“神童”として華々しくデビューしたルーキーは今、F1の厳しい現実に直面している。
今季序盤、アントネッリはマイアミGPのスプリントでポールポジションを獲得し、デビューから6戦連続でトップ6フィニッシュを達成。次世代を背負う逸材として注目を集めた。
だが直近6戦では、入賞は表彰台に立ったカナダGPのみ。予選ではすべてのラウンドでチームメイトのジョージ・ラッセルに後れを取っている。
ベルギーでは、スプリント予選でのスピンに続き、土曜の公式予選でも課題を克服できなかった。セットアップ変更により「昨日よりは良かった」と手応えを語ったものの、Q2には0.231秒届かなかった。ラッセルは6番手をマークした。
自信喪失の悪循環、その裏に”走り方”
「ヨーロッパラウンドに入ってから、クルマに対する自信を失ってしまって、自分でも一歩後退してしまったように感じてる。今は本当に厳しい状況だ。自信を持って攻めることができていないんだ」とアントネッリは語る。
「昨日は少し無理に攻めすぎてスピンしてしまい、それがさらに自信を損ねる結果になってしまった。自分の走り方のせいで問題が悪化してしまっていて、それによって自信がさらに失われる悪循環に陥ってる」
コンマ数秒、ミリ秒を争うF1の予選は、頭ではなく体が反応する領域で戦う世界だが、アントネッリは「走り方を変えようとし過ぎるあまり、今はかなり不自然なドライビングになっていて、それがすごく難しいんだ」と、戸惑いを滲ませる。
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
担当レースエンジニアのピーター・ボニントンとデータを確認するアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、2025年7月25日F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)
決勝は“ゼロからの再出発”か
また、自身のドライビングスタイルがラッセルとは異なる点にも言及。「僕は全体的にアグレッシブで、コーナーへの進入速度をできるだけ高く保とうとする傾向があるんだけど、それが逆に問題を悪化させている」と分析し、問題解決のためにクルマ側ではスタビリティの向上が必要との見方を示した。
メルセデスはこの状況を踏まえ、日曜のコンディションを見極めた上で、決勝に向けてアントネッリのマシンのセットアップを変更するものと見られる。パルクフェルメ違反でピットレーンスタートとなるが、失うものはなにもない。
F1の舞台で輝かしいキャリアを築いてきたすべてのドライバーが、一度は試練と向き合ってきた。アントネッリにとっては、今がその時なのかもしれない。若き才能は、この逆境をどう乗り越えるだろうか。
2025年F1ベルギーGP予選では、ランド・ノリス(マクラーレン)がポールポジションを獲得。2番手にチームメイトのオスカー・ピアストリが、3番手にシャルル・ルクレール(フェラーリ)が続く結果となった。
決勝レースは日本時間7月27日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周7004mのスパ・フランコルシャンを44周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。