スタン・ブラウニー(フィットネス系YouTuber)と共にジムでトレーニングを行う角田裕毅(レッドブル)、2025年6月26日(木) F1オーストリアGP(ムルタール/Fit und Funジム)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブルでの角田裕毅を解き放つ”最後のピース”、その正体と確固たる手応え―オーストリアで結実なるか

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「今はこれまでのどのレースよりも自信を持てています」2025年F1第11戦オーストリアGPを目前に控えたレッドブル・リンクで角田裕毅(レッドブル・レーシング)は、そう語った。

理想的な結果を出せていない現状においてもアプローチを変えず、経験の積み重ねによって“最後のピース”である「自信」を築き上げてきた──その確固たる手応えが彼にはある。

11番手で予選Q2敗退を喫した後、ピットレーンを歩く角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年6月14日(土) F1カナダGP(ジル・ビルヌーブ・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

11番手で予選Q2敗退を喫した後、ピットレーンを歩く角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年6月14日(土) F1カナダGP(ジル・ビルヌーブ・サーキット)

レッドブルRB21に関して角田は、今なおクルマの挙動を完全には把握しきれていないと認める。特に予選のような時間的制約が厳しいセッションでは、「クルマの挙動を理解するために、少なくとも半周を使わなければならない状況」と明かし、即座に全力を出せないことへの苦労をにじませた。

ピークパフォーマンスの発揮が遅れるというハンデは予選結果に直結し、ひいてはスターティンググリッド、さらにはレース結果にも負の影響を与える。

「どんな挙動が出るのかが分からないので、最初のラップは少し慎重にいかなければならない状況です。全開で行こうとすると、少しオーバーに行きすぎてしまい、思わぬことが起きてしまうので」

角田裕毅はそう語り、リスク回避のために慎重な姿勢を取らざるを得ない現実を受け入れている。それでも彼は、これまでの週末に対する自身のアプローチに「満足しています」と語り、結果が伴っていない中でも、自らが貫く方向性に確かな信頼を寄せている。

その確信の背景には、角田にとってパフォーマンス改善に必要な要素が明確であるという事実がある。求めているのはドライビングスキルの向上でも、RB21に対するドライビングスタイルの調整でもない。「望むレベルに到達するために必要なのは自信だけなのか?」と問われると、角田は「自信ですね」と即答した。

レッドブル・リンクのパドックを歩く角田裕毅(レッドブル)、2025年6月26日(木) F1オーストリアGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブル・リンクのパドックを歩く角田裕毅(レッドブル)、2025年6月26日(木) F1オーストリアGP

一方でこの課題は、時間によって解決できると角田は考えている。以前所属していたVCARB時代との比較を通して、「こういうのは経験と自信から来るものなので、そのためにまだ少し時間が必要です」と語り、現時点では十分ではないとの認識を示しながらも、解決に向けた確信を滲ませた。

オーストリアGPは、レッドブル・レーシングにとってのホームレースであり、その点において角田にとっても特別な意味を持つ舞台だ。チームの親会社であるレッドブルGmbHの首脳陣が見守る中で、これまで培ってきた経験と積み重ねてきた自信によって結果を残せるかが問われることになる。

「もちろん、まだ自分が望むスピードには届いていないかもしれませんが、少なくとも毎レース、ポジティブな部分は見せられているので、その点には満足しています。あとはすべてを一つにまとめる必要がありますが、毎レースごとに自信が増してきていますし、今はこれまでのどのレースよりも自信を持てています」

「確実に良い方向に進んでいると感じています」

その言葉には、単なる楽観ではなく、明確な課題認識と確かな手応えに裏打ちされた力強さがある。今週末のレッドブルリンクでの走りによって、角田はその「自信」が本物であることを証明できるだろうか。注目が集まる。

スタン・ブラウニー(フィットネス系YouTuber)と共にジムで”力こぶ”を披露する角田裕毅(レッドブル)、2025年6月26日(木) F1オーストリアGP(ムルタール/Fit und Funジム)Courtesy Of Red Bull Content Pool

スタン・ブラウニー(フィットネス系YouTuber)と共にジムで”力こぶ”を披露する角田裕毅(レッドブル)、2025年6月26日(木) F1オーストリアGP(ムルタール/Fit und Funジム)

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