
ペレス「レッドブルは後悔している」退団について初告白―角田の前任が語るチーム崩壊の実情、F1復帰への意志
2024年シーズン末限りでF1シートを失ったセルジオ・ペレスが、レッドブル離脱について初めて公に語り、自身との契約を早期解除した決断についてチームは「本当に後悔している」との見解を示した。
2021年から4シーズンにわたってレッドブルに在籍したペレスは、ポッドキャスト『Desde el Paddock』に出演。これまで明かされることのなかった胸の内を語った。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
セルジオ・ペレスとマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2024年10月31日(木) F1サンパウロGP(インテルラゴス・サーキット)
レッドブルは「本当に後悔」凋落の内幕
契約途中での事実上の解雇について、チームから謝罪があったかとの質問に対し、ペレスは「彼らは心の底では本当に後悔している。それは確かな筋から聞いている」としたうえで、「でも、何ができる?先に進むしかない」と述べた。
また、チームには今も友人がいるとしつつ、「こんなことが起きて僕が喜んでいると思う人もいるかもしれないけど、そんなことはない」と胸中を明かした。
2025年にはリアム・ローソンが後任としてレッドブル入りするも、わずか2戦で降格。代わって昇格した角田裕毅も、現時点では目立った結果を残せていない。ペレスは以前から、経験の浅い若手では現在のレッドブルの車体特性に苦しむだろうと警鐘を鳴らしており、その懸念が現実となった格好だ。
とはいえ、レッドブルの不振はドライバーに限らず、チーム全体の競争力低下も深刻だ。2025年シーズンはマックス・フェルスタッペンですら優勝争いに加われないレースが続出し、コンストラクターズランキングでは4位にまで転落している。
ペレスはこの凋落の背景として、最高技術責任者(CTO)エイドリアン・ニューウェイの離脱を機に「多くの問題が始まった」と指摘。これにスポーティングディレクターのジョナサン・ウィートリーのザウバー移籍が続き、「少しずつチームが崩れていった」と語った。
「結局のところ、F1とはそういうものなんだ。彼らはプレッシャーに押されて決断を下したけど、そのプレッシャーは結局、自分たちが作り出したものだった」
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カタロニア・サーキットのピットレーンでレースエンジニアのヒュー・バードと話をするセルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング)、2024年6月21日(金)F1スペインGPプラクティス
転機となった車体改良とサポート体制への不信
ペレスは以前から、2023年のスペインGPで導入されたアップグレードが自身にとっての転機だったと繰り返し主張してきた。
「クルマの開発があの方向に進んだ時、マックスも僕も意見を言った。でも、それでもチームはその道を選んだ。そこからどんどん難しくなっていった」
それでも復調を見せ、2023年にはチームとして初のドライバーズランキング1-2を達成した。だが、2024年には再び成績が低迷し、シーズン終了とともにチームを離れることになった。
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ヘルメットを手にガレージ内を歩くセルジオ・ペレス(レッドブル)、2023年6月3日F1スペインGP FP3
チーム代表のクリスチャン・ホーナーは当時、「彼(ペレス)を支えるためにあらゆることを試みたが、最終的には彼自身が、F1から離れて少し休むのが最善だという結論に達した」と語っていたが、ペレスはこれに異を唱える。
ペレスは、2024年のモナコGPで契約延長にサインした直後から将来に関する憶測報道が飛び交ったとし、チーム側の対応に疑問を呈した。
「僕には今後2年の契約があるってチームが言ってくれれば、それで済んだのに、何も言ってくれなかった」
「毎週毎週、僕の話ばかりだった。そのせいで、僕のガレージ側にはすごく大きなプレッシャーがかかって、エンジニアや他のスタッフにも影響が出た。最終的に、それが大きな代償を生んだ。そして、そういうところに本質的な問題があったと思ってる」
2026年F1復帰への強い意志
現在35歳のペレスは、2026年にF1参戦を予定する新チーム「キャデラックF1」の有力候補として名前が挙がっており、ルノー傘下のアルピーヌとも接触しているとされる。
キャデラックは現在、いずれのシートも未定で、ペレスのほかにバルテリ・ボッタス、ミック・シューマッハ、周冠宇らが候補者リストに名を連ねている。
ペレスはF1復帰を視野に入れ、マネジメント体制を刷新。長年のマネージャーであるジュリアン・ジャコビと袂を分かち、現在はジュニア・カテゴリー時代からの友人で元レーシングドライバーのカリル・ベシール、ルイス・アギーレ、そしてペレス自身が共同でキャリアを管理している。
F1復帰への意欲について尋ねられると、「いいプロジェクトがあれば戻りたい。自分にとって正しいと感じる場所であればね」と前向きな姿勢を示し、「サードドライバーとして世界中を飛び回るつもりはない」と断言。「こんな形でキャリアを終えたくない」と、再起への強い決意を示した。
交渉先のチームについては明言を避けつつも「順調だ」と語り、フォース・インディア時代のように、チームとともに勝てる体制を築いていくような挑戦を望んでいると示唆。成長途上にある”非トップチーム”との取り組みに意欲をのぞかせた。