リタイヤを経てインタビューに応じるジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)とリアム・ローソン(レーシング・ブルズ)、2025年5月4日(日) F1マイアミGP決勝レース(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)
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ドゥーハンとローソン、1周目リタイアの事故見解―”タスマンの若武者”マイアミで衝突

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2025年F1第6戦マイアミGP決勝のスタート直後、オーストラリアとニュージーランド、タスマン海を挟んだ両国の若手ドライバーが接触。ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)とリアム・ローソン(レーシング・ブルズ)は、ともにリタイアに追い込まれた。

アクシデントが発生したのは1周目のターン1。アウト側から仕掛けたローソンに対し、ドゥーハンはイン側に押し込まれる格好となって縁石に乗り上げ、左フロントがローソンのフロアに接触した。

ドゥーハンのマシンは左前輪がパンクし、ピットへ戻ろうと試みたものの、ターン14付近で停止。これによりバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入された。

一方のローソンも、接触の衝撃でスピンを喫して最後尾まで後退。レースは続行したが、フロアに深刻なダメージを負っていたことが判明し、38周目にピットへ戻り、そのままリタイアした。

ローソン:横からドン、よく分からない

レース後、ドゥーハンとの接触について問われたローソンは「正直、何が起きたのか自分でもよく分からないんだ。スタートはすごく良かった。ターン1に向けて真ん中にスペースが空いていたから、そこを突いた。そしたら横からドンと当てられたんだ」と振り返る。

「リプレイを見ないと何が起きていたのかは分からないけど、あの接触でフロアが壊れてしまって、そのままリタイアすることになった」

「『ああ、今日は長い午後になるな』って覚悟した。あれはいい気分じゃない。雨が降るのを期待して待ってたけど、小雨がパラつく程度で、結局何も起きなかった。でもクルマは壊れていたし、どのみち厳しいレースだったと思う」

なお、この一件についてデレク・ワーウィックを含む4名のスチュワードは、レーシングアクシデントと判断し、詳細な調査を行うことなく不問とした。

ドゥーハン:理性的な姿勢で対応

今回の事故は、フランコ・コラピントへの交代が取り沙汰される中、シート維持が危ぶまれているドゥーハンにとっても大きな痛手となった。それでも彼は主観的な判断を避け、レース状況を俯瞰的に捉えようとする冷静で理性的な姿勢を示した。

「あまり、色々と言いたくない。まだリプレイも見てないからね。でも、意図的なものじゃないと思う。ただ、残念ながら、あそこで挟まれてしまった。理由は分からない。もしかすると、彼の外側にもクルマがいたのかもしれないし、兎に角、映像を見て確認する必要がある」とドゥーハンは振り返る。

「僕にとってはうまくいかなかったし、彼にとってもプラスにはならなかったと思う。だから、気持ちを切り替えて、次のイモラに向かって前を向くしかない」

マイアミでは、予選で初めてチームメイトのピエール・ガスリーを上回るなど、ドゥーハンは一定のパフォーマンスを見せた。だが、スプリント予選ではオペレーションミスにより計測ラップを走れずSQ1で敗退し、スプリント本戦では17台中最下位に終わり、決勝も1周目でのリタイアと、週末を通じて厳しい展開となった。

「今週末は、僕の手の及ばないところで幾つか問題が発生したけど、それでも振り返ってみて、もっと自分にできたことはなかったかを、ちゃんと見直す必要があると思ってる。だから、まずはその反省をしてから、次のレースに向けて気持ちを切り替えていくつもりだ。ということで、また次に向けて頑張るだけさ」とドゥーハンは締めくくった。

マイアミGP終了後には、アルピーヌが次戦エミリア・ロマーニャGPに向けて、ドゥーハンの交代を検討しているとの報道も浮上した。今回のリタイアがその判断に影響を与えたかどうかは明らかではないが、少なくともドゥーハンの立場を一層厳しくする結果となったのは確かだろう。


2025年F1第6戦マイアミGPでは、4番グリッドからスタートしたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が3連勝を飾った。2位はランド・ノリス(マクラーレン)。3位表彰台はジョージ・ラッセル(メルセデス)という結果となった。

イモラ・サーキットを舞台とする次戦エミリア・ロマーニャGPは、5月16日のフリー走行1で幕を開ける。

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