フェルスタッペン、ペレスに対する敗北が生んだ別次元への昇華
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元々、無敵に見えたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)だが、今季マイアミGP以降はまた一つ次元を駆け上がったように見える。その裏にはバクー市街地コースでの僚友セルジオ・ペレスに対する敗北があった。
第4戦アゼルバイジャンGPまではフェルスタッペンとペレスが2勝ずつを分け合う展開で、第14戦オランダGPを終えた今とは異なり、ペレスはディフェンディング・チャンピオンを相手にタイトルを争っていた。
ところが続くマイアミを機に流れが一変した。フェルスタッペンは9番グリッドからの逆転優勝で今季3勝目を飾ると、以降オランダまでの9戦すべてを制し、2013年のセバスチャン・ベッテルに並ぶ史上最多連勝記録を打ち立てた。
ザントフォールトでのレースを経てフェルスタッペンは多くを明かさなかったものの、バクーでのペレスに対する敗北から幾つかの重要な教訓を得たことを明かした。
「クルマの扱い方やセットアップについて、あのレースから多くを学んだんだ」とフェルスタッペンは語る。
「バクーでは勝てなかったけど、実はステアリングを握りながらクルマの中で色々な事やツールを試してみたんだ。おかげでレース中は少し、一貫性に欠けたけどね」
「そうこうしていたら途中でリズムを掴むことができたんだけど、タイヤを傷めすぎてしてしまった。でも次のレースに向けて、これはかなり面白いと思って、以降はそれを活かしているんだけど、どのコースでも役に立っている」
ストリートコースの雄、ペレスはバクーでのスプリントをファステストラップ付きの逆転で制すると、決勝レースでも再び3番グリッドからの逆転優勝を飾った。
一つの週末に行われた2回のレースで共にチームメイトに敗北したフェルスタッペンは当時「クルマに対する理解を深め、どうすれば速く走らせる事ができるのかを学ぶためにも、時にはこういう週末が必要だと思う」と語っていた。
「この手のストリートサーキットでは時に、それが如実に現れたりするんだ。一般的なコースだと、ダウンフォースや一般的な挙動という点でこういう事が少し隠れてしまう事があるからね」
「だから今日は、前に進む上では良い1日だったのかもしれない」
レッドブルのチーフエンジニアを務めるポール・モナハンは今季のフェルスタッペンについて「全方位的な安心感が最大の強みの一つ」だと説明する。
「例え悪いセッションを過ごしても、次のセッションで立て直してすぐに調子を取り戻してしまう。それにあまりミスをしない。彼の自信の程をよく示している例だと思う」
「自分自身への自信、クルマとチームに対する信念は本当に強いし、素晴らしいチームプレイヤーだと思う。彼がいてくれて我々はラッキーだよ」
イタリアGP以降の残りのレースを全てを制した場合、フェルスタッペンは今年、18連勝を達成することになる。