
マクラーレン、ル・マン帰還を告げるWECハイパーカーにF1命名思想を採用
マクラーレン・レーシングは4月24日(金)、2027年のFIA世界耐久選手権(WEC)およびル・マン24時間レースに投入する初のLMDhハイパーカーの名称を「McLaren MCL-HY」と命名したことを明らかにした。
マクラーレンにとっては、耐久レース最高峰への復帰を飾る一台となる。1995年のル・マン24時間レースで歴史的なデビュー・ウィンを飾った「McLaren F1 GTR」から実に30年以上を経て、来季よりトップカテゴリーに復帰する。
さらに、サーキット専用車両となる顧客向けのMCL-HY派生モデルを「MCL-HY GTR」と命名したことを発表した。両マシンの全貌は、2026年5月4日に世界初公開される予定だ。
F1と同じ「MCL」、ブランド統一の明確な意思
Courtesy Of McLaren
マクラーレンが2027年のFIA世界耐久選手権(WEC)およびル・マン24時間レースに投入する初のLMDhハイパーカー「McLaren MCL-HY」のロゴ、2026年4月24日
今回の命名が示す最も明快なメッセージは、マクラーレンが自社のモータースポーツ活動全体を一つのブランドとして統一しようとする意思だ。
「MCL-HY」という呼称は、ザク・ブラウンCEO体制下のF1プロジェクトで新たに採用された「MCL」という接頭辞に、ハイパーカーを意味する「HY」を組み合わせたものだ。マクラーレンはこの命名について、モータースポーツの最高峰カテゴリー群を貫くブランド・アイデンティティを強化するものだと説明する。
先日、11歳の英国人カーターであるハリー・ウィリアムズをドライバー育成プログラムに加えた際、マクラーレンは「F1、インディカー、世界耐久選手権へと着実につながる一貫したパイプラインの構築」を目標として掲げた。MCL-HYの命名は、これをマシンレベルで体現するものと言える。
マクラーレン・エンデュランス・レーシングのエグゼクティブ・ディレクターを務めるジェームズ・バークレイは、次のように語る。
「マクラーレンの名前をスポーツカーレースの最高峰に戻すことは、大きなマイルストーンだ。偉大なマクラーレン・レーシングカーの系譜を継ぐ新たなハイパーカーの名称をマクラーレン・レーシングとマクラーレン・オートモーティブで共有できて誇らしい」
バークレイはまた、現在のWECを「スポーツカーレースの黄金時代」と表現し、ハイパーカーカテゴリーは極めて成功しているとの認識を示した。新マシンの名称は、その成功への敬意を示すものだという。
さらに、開発中のMCL-HYは、初のシェイクダウンに先立ち「非常にクールなテストリバリー」の姿で公開されるとも明かした。初のコース走行は、シャシー開発パートナーであるダラーラの本拠地近郊に位置するアウトドローモ・ヴァラーノ・デ・メレガリで5月に実施されるものとみられる。
「GTR」――1995年ル・マン制覇からの系譜
サーキット専用モデルに冠された「MCL-HY GTR」という名称は、マクラーレンの歴史の中でも特別な重みを持つ。
「GTR」という呼称は、1995年のル・マン24時間レースで総合優勝を果たしたMcLaren F1 GTRから始まった。以降、McLaren P1 GTR、McLaren Senna GTRと続く系譜は、妥協なきサーキット専用モデルの象徴となった。
マクラーレン・オートモーティブの最高商務責任者を務めるヘンリック・ヴィルヘルムスマイヤーは、この名称について「マクラーレンを定義する瞬間を意味するもの」だと語る。
MCL-HY GTRの所有者には、マクラーレンのハイパーカーが宿す高揚感に加えて、世界最高峰の耐久レースプログラムの運営と興奮に触れる機会が提供されるという。
黄金時代のWECへ挑むMCL-HY
今回発表されたのは、あくまでマシンとプログラムの名称だ。2027年仕様のMCL-HYは、アウトテクニカ・モトーリとの共同開発による3リッターのV6ツインターボ・エンジンに、規則で義務付けられたボッシュ製ハイブリッド・システムを組み合わせたマシンとなる。
MCL-HYと、そのサーキット専用モデルMCL-HY GTRの全容は、マクラーレン・レーシングとマクラーレン・オートモーティブの緊密な協業を通じて開発されており、5月4日に正式な披露が予定されている。
2027年のWECグリッドは、トヨタ、フェラーリ、ポルシェ、キャデラック、BMWといった現行のハイパーカーメーカーに、マクラーレンとフォードが加わる構図となる。26年ぶりに耐久レースの最高峰へとカムバックするマクラーレンが、どのような存在感を示すのか注目される。