
ラッセル、ポール街道邁進も「何かがおかしい!」悲痛の訴え…“見えない異変”が招いた二重の失速
ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、2025年F1第22戦ラスベガスGP予選で2年連続ポールポジションに手が届くかと思われた。だが、完璧に見えた土曜日は、Q3で突如起きた“異変”によって暗転した。
雨に翻弄されたこの日、ラッセルはFP3でトップタイムを記録し、フルウェットで争われた予選Q1とQ2のいずれも最速を刻んだ。昨年の再現は目前だった。
だが、路面が乾き始め全車がインターミディエイトに履き替えたQ3で、想定外のトラブルが牙をむいた。最終的にラッセルは4番手。その裏には、最終局面で突如として発生したマシントラブルがあった。
突然の異変─コクピットからの悲痛な訴え
トラブルはQ3の最終アタック直前に発生した。ラッセルと担当レースエンジニアのマーカス・ダドリーとの無線からは、コクピット内の混乱と焦りが生々しく伝わってくる。
フロントの異変を訴えるラッセルに対し、ダドリーは「データ上では何も確認できない」と応答する。だが、ラッセルは執拗に訴え続けた。
「何かがおかしい。油圧を確認してくれ。とにかく監視し続けてくれ、何かが起きている」
テレメトリーに異常はなかった。だが、ステアリングを握るラッセルの手は、確かに”何か”がおかしいと感じていた。
「ステアリングに問題が発生したんだ。最後の3周は、まるでパワーステアリングを失ったかのようだった」と、予選後にラッセルは語った。
「コーナーを曲がるのに本当に苦労したよ。原因は分からないけど、Q1とQ2がかなり堅調だっただけに、Q3でまとめきれなかったのは残念だ」
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4番手を記録した予選を経てインタビューに応じるジョージ・ラッセル(メルセデス)、2025年11月21日(金) F1ラスベガスGP(ラスベガス市街地コース)
パワステ不調でタイヤにも悪影響
エンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンによれば、このトラブルは単にハンドリングを悪化させただけでなく、タイヤの温度管理にも致命的な影響を与えた。
「セッションの途中でパワーステアリングに問題が発生し、アシストレベルが不安定になってしまった」とショブリンは説明する。
パワステは単なる操舵補助装置ではない。繊細なステアリング入力でタイヤへの負荷をコントロールし、最適な温度域を生み出すための制御機構でもある。そのアシストが不安定になれば、ドライバーは余分な力を使い、タイヤへ余計な熱を入れてしまう。
さらに悪循環は続いた。本来であれば、路面の改善による恩恵が最も期待できる最終アタックに向け、タイヤ温度を最適な状態に整えるべきだが、マシンへの不信感からラッセルは、本来クールダウンすべき周回でもプッシュを続けた。結果、肝心の最終アタックでタイヤ温度がウインドウを外れてしまった。
「クルマが最後まで持たないかもしれないと恐れたジョージは、最後から2周目のラップでもプッシュし続けてしまった。その結果、最後のアタックを開始する時点でタイヤが熱くなりすぎてしまっていたんだ」とショブリンは明かす。
トラブルがなくてもポールは獲れなかった?
不運に見舞われチャンスを逃したとはいえ、ラッセルは冷静に状況を分析している。
Q1とQ2でのセッションベストは、フルウェットタイヤでの走行によるものだった。路面が乾き始め、インターミディエイトに履き替えたQ3では、クルマのフィーリングが一変していたという。
「ポールを獲れたとは思わない。クルマの感触があまり良くなかったからね」
ラッセルはそう認めつつも、こう言葉を続けた。
「とはいえ、やっぱりイライラするよ」
ポールが視野に入る状況での突発的なトラブル。悔しさを隠しきれるはずもない。
とはいえ、4番グリッドは決して悪いポジションではない。ラスベガスの市街地コースはロングストレートを持ち、DRSを活用したオーバーテイクが可能だ。昨年ラッセル自身がポール・トゥ・ウィンを飾った舞台でもある。
2列目からのスタート。ラッセルは決勝での巻き返しを誓った。
雨に見舞われた2025年F1ラスベガスGP予選では、ランド・ノリス(マクラーレン)がマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を抑えてポールポジションを獲得。3番手にはカルロス・サインツ(ウィリアムズ)が続いた。
決勝レースは日本時間11月22日(日)13時にフォーメーションラップが開始され、1周6,201mのラスベガス市街地コースを50周してチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。