F1目指す中村紀庵、日本人初のFIA欧州カート選手権王者に輝くも「申し訳ない気持ち」一体なぜ?
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アルピーヌ・アフィリエイト・プログラムに所属する中村紀庵ベルタ(Kean Nakamura Berta)が、7月8~10日にイタリアのフランチャコルタで行われたFIAヨーロッパ・カート選手権のOKシニアクラス最終戦で2位フィニッシュを果たし、逆転のシリーズチャンピオンを獲得した。
中村紀庵は最前列からスタートするも出遅れ、一時は9番手までポジションを落としたが徐々にフィールドを駆け上がっていき8周目に3番手に浮上。この時点ではカート・リパブリックのチームメイトでありメルセデスAMG F1ジュニアのアレックス・パウエルが暫定王者の立場にいた。
だが、2番手を走行していたカート・リパブリックのカスタマー、VDKレーシング所属のエヴァン・ジルテールにチームオーダーが飛び、中村紀庵は残り3周で2位に浮上。パウエルに遅れる事2.467秒の2位でチェッカーを受けた。カート・リパブリックとしては1-2フィニッシュを飾った。
これにより中村紀庵は昨年のFIAカート世界選手権 OK/JUNIORクラスチャンピオンに続き、FIAヨーロッパ・カート選手権のOKシニアクラスにおいても初の日本人チャンピオンに輝く事となった。
「ドライバー同士の接触が多く、本当にタフなレースでした」と中村紀庵はレースを振り返った。
「スタート前から自信はありました。アウト側のレーンだったので、スタートであまり順位を落とさないことが最大の難関だと考えていました」
「アレックス(パウエル)があんなに速いとは思ってもみませんでした。形勢逆転のためには2位でフィニッシュする必要がありました」
「僕の前を走っていたエヴァン・ジルテールを楽に追い抜く事は難しい状況でしたが、チームからの指示があって、彼は僕を前に出してくれました」
「アレックスにとって納得し難い状況だという事は理解しています。彼には申し訳ない気持ちです」
カート・リパブリック及びKRモータースポーツチームの創設者であるディノ・キエーザはチームオーダーについて次のように説明した。
「我々にはタイトルの可能性がある2人のドライバーがいた。こうした状況になる事を予想していなかったため、チームとしてのチャンスを守るために迅速に決断を下さなければならなかった」
「勝利にかける中村の執念が、最後の数周でチームとしての好結果を奪ってしまうような事態は避けたかった」
「パウエルにとっては辛い状況だが、彼は今後、タイトルを獲得するに相応しいより多くの機会を手にする事だろう」
「ヨーロッパ選手権で1-2を達成することはチームとして非常に重要な事なのだ。これはチームとしての戦略だった」
4年以内のF1デビューを目指す中村紀庵は、9月15~18日にイタリアのサルノで行われるFIAカート世界選手権で2年連続のチャンピオンを目指す。