F1シンガポール 決勝直前総覧:タイヤ戦略考と天気、角田昇格の変動後グリッド―パルクフェルメ違反とウィリアムズ失格

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日本時間10月5日(日)21時にスタートを迎える2025年F1第18戦シンガポールGP。ここでは、スターティング・グリッド、予選結果からの変動、そして予想されるタイヤ戦略や気象条件についてまとめる。

グリッドと注目ポイント

前戦に続き、再び失格車両が発生した。カルロス・サインツとアレックス・アルボンが駆るウィリアムズFW47は、DRS開口量の規定違反により予選結果から除外された。ただしスチュワードの裁量により決勝への出走は認められた。

アルボンはピエール・ガスリー(アルピーヌ)とともにパルクフェルメ下でセットアップを変更。ピットレーンからスタートする。サインツは18番グリッドに着く。

注目は1周目─フェルスタッペンの先制攻撃なるか

マリーナベイ市街地コースはオーバーテイクが極めて難しい。したがって、スタート直後にこそ最大のチャンスがある。最前列2番グリッドからスタートするマックス・フェルスタッペンが、ポールポジションのジョージ・ラッセルに仕掛けない理由はどこにもない。

2連勝中のフェルスタッペンにとって、今回のレースは今季初の3連勝をかけた重要な一戦となる。だが、それ以上に注目すべきはマクラーレン勢との直接対決だ。選手権リーダーのオスカー・ピアストリは3番手、ランド・ノリスは5番手からスタートする。

フェルスタッペンがタイトル争いで歴史的大逆転を果たすためには、優勝はもちろんのこと、この2台より確実に前でフィニッシュすることが求められる。

セーフティーカーが“勝敗のサイコロ”

昨年のシンガポールGPは、ある意味で異例づくしのレースだった。最も驚くべきは、一度もセーフティーカー(SC)が導入されなかったことだろう。とはいえ、2008年の初開催以来、計24回のSCが記録されており、無介入は史上初。例外と見るべきだろう。

SCのタイミングひとつで戦略が一変するのがマリーナベイの常――“運命のサイコロ”が勝敗の鍵を握る要素となることは間違いない。

多重クラッシュが発生したスタート直後の様子、2017年シンガポールGPcopyright FORMULA 1

多重クラッシュが発生したスタート直後の様子、2017年シンガポールGP


以下、ウィリアムズ勢失格前の予選結果からの変動も併せて正式スターティンググリッドを記す。

Pos No Driver Team Qualifying
1 63 G.ラッセル メルセデス 1(-)
2 1 M.フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 2(-)
3 81 O.ピアストリ マクラーレン・メルセデス 3(-)
4 12 A.K.アントネッリ メルセデス 4(-)
5 4 L.ノリス マクラーレン・メルセデス 5(-)
6 44 L.ハミルトン フェラーリ 6(-)
7 16 C.ルクレール フェラーリ 7(-)
8 6 I.ハジャー レーシングブルズ・ホンダRBPT 8(-)
9 87 O.ベアマン ハース・フェラーリ 9(-)
10 14 F.アロンソ アストンマーチン・メルセデス 10(-)
11 27 N.ヒュルケンベルグ ザウバー・フェラーリ 11(-)
12 30 L.ローソン レーシングブルズ・ホンダRBPT 14(+2)
13 22 角田裕毅 レッドブル・ホンダRBPT 15(+2)
14 5 G.ボルトレート ザウバー・フェラーリ 16(+2)
15 18 L.ストロール アストンマーチン・メルセデス 17(+2)
16 43 F.コラピント アルピーヌ・ルノー 18(+2)
17 31 E.オコン ハース・フェラーリ 19(+2)
18 55 C.サインツ ウィリアムズ・メルセデス 13(-5)
19 10 P.ガスリー アルピーヌ・ルノー 20(+1)
20 23 A.アルボン ウィリアムズ・メルセデス 12(-8)

レースの模様はDAZNフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。

タイヤ戦略:「ミディアム→ハード」主流予想も

2024年大会では1ストップ戦略が主流となり、そのほとんどが「ミディアム→ハード」を選択。入賞10台のうち、ソフト→ハードを採用したルイス・ハミルトンを除く9台がこの戦略でポイントを獲得した。

2024年F1シンガポールGP決勝レースのドライバー別タイヤ戦略表、2024年9月22日バクー市街地コースCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2024年F1シンガポールGP決勝レースのドライバー別タイヤ戦略表、2024年9月22日バクー市街地コース

ピレリは今季、昨年1ストップが主流だったサーキットに対してより柔らかいレンジを投入する方針を取ってきた。だが、シンガポールに関しては高温多湿によるオーバーヒートリスクを考慮し、昨年と同様に「C3・C4・C5」の組み合わせを継続採用した。

そのため、今年も「ミディアム→ハード」の1ストップが最有力。ピットウィンドウは26〜32周目が最適とされているが、昨年同様、アンダーカットを巡る“戦略的駆け引き”が展開される可能性も高い。

リスク覚悟の「ハード→ミディアム」逆張り作戦

“逆張り戦略”である「ハード→ミディアム」は、昨年こそ不発に終わったものの、その要因はSCが一度も導入されなかったという異例の展開にある。

今回予選失格となったウィリアムズ勢や、逆転入賞を目指す角田裕毅らは、レース中盤以降の混乱、つまりSCや赤旗によるチャンスを見据えてこの戦略を選択する可能性も考えられる。推奨ピットウィンドウは32〜38周目だ。

ただし、序盤にSCが導入された場合、タイヤの温まりが悪いハード勢はリスタートで大きな不利を被るリスクもある。

序盤勝負の「ソフト→ハード」奇襲も

C5ソフトの初期グリップを活かし、オープニングラップでポジションを稼ぐことを狙うチームも出てくるだろう。ピレリのモータースポーツ部門責任者マリオ・イゾラはソフトタイヤについて次のように語る。

「レース序盤または終盤で役割を果たすかもしれない。高いグリップを活かせば、オーバーテイクが難しいこのコースで、スタート時に大きく順位を上げられる可能性がある」

この場合のピットインは20〜26周目が目安。戦略の柔軟性は下がるものの、ミディアムスタート勢に早めのピットを強いることで、チーム全体として戦略的優位を築くことも可能だ。

マリーナベイ市街地コースでファステスト・ラップに挑むダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)、2024年9月22日(日) F1シンガポールGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

マリーナベイ市街地コースでファステスト・ラップに挑むダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)、2024年9月22日(日) F1シンガポールGP決勝レース

2ストップの可能性と“ピットロス短縮”効果

一見非現実的にも思える2ストップ戦略だが、完全に排除することはできない。ピットレーン速度制限の引き上げ(60km/h→80km/h)によって、ピットロスはグリーンフラッグ下で28.5秒→23秒、SC下では15秒→11.5秒程度に低減する。

イゾラは「SCの導入や、クリーンエアーが得られるタイミングがあれば、2ストップもいくらか魅力的な選択肢となるだろう」と指摘している。

気になる天気:レース中の雨は回避

決勝当日のシンガポールは、夕方まではにわか雨の可能性があるものの、レース(現地時間20時スタート)開催時間帯の降水確率は10%未満と見込まれており、天候は概ね安定すると予想されている。

気象条件は予選時とほぼ同様となる見通しで、気温は約30℃前後、路面温度は32〜36℃程度が想定される。

今週末のシンガポールGPは、F1史上初めて「ヒートハザード」が発令されたグランプリとして記録される。すべてのマシンにはドライバー冷却システムの装備が義務付けられるが、冷却ベストの着用は任意となる。

循環チューブを備えた冷却ベストを着用するシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2025年F1シンガポールGPCourtesy Of Ferrari S.p.A.

循環チューブを備えた冷却ベストを着用するシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2025年F1シンガポールGP

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