
F1王者バトン、後輩ベアマンの”角田批判”に「賛否両論」を展開─アメリカGPの接触未遂攻防を分析
2025年F1第19戦アメリカGPの決勝レースで発生したオリバー・ベアマン(ハース)と角田裕毅(レッドブル)の接触未遂をめぐり、両者の主張は真っ向から対立している。
F1で初のフルシーズンを戦う18歳のイギリス人ドライバーは「かなり危険でアンフェアだった」「レースの精神に反する行為だ」と強い言葉で角田を非難。波紋を広げている。
一方で、2009年のF1ワールドチャンピオンであるジェンソン・バトンは冷静な見解を示し、母国の後輩ドライバーの一部主張に同意しつつも、一部については異を唱えた。
7位争いで一触即発──ベアマンが激怒
レース中盤の35周目、7位を争う中で事件は起きた。ベアマンがターン15でイン側に飛び込みを仕掛けた際、角田がブレーキングでラインを塞ぐ形となり、ベアマンのマシンはスピン。接触は避けられたものの2つ順位を落とし、ベアマンは無線で怒りを爆発させた。
ベアマンはレース後、「“レースのあるべき姿”に反している」と強く批判し、F1を目指す若手にとって”悪い手本になる行為”とも断じた。「1台分のスペースすら残さなかった。フェアじゃないし、許されるべきじゃない」と訴え、「もし自分が避けなければ、酷いクラッシュになっていたかもしれない」と語った。
さらに、スプリントレースの1周目にアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)のリアに軽く接触した場面を引き合いに出し、角田が週末を通してリスクの高い動きを繰り返していたと指摘。精神面にも課題があるのではないかと疑問を投げかけた。
一方、角田はこれらの主張を全面的に否定。「ブレーキング中に動いた覚えはありません」「極端に悪いことをしたとは思いません」と反論した。
また、ベアマンが問題視したターン1での動きについても、「それもレースの一部ですよね? クルマはしっかりコントロールできていましたし、ロックもしていません。それに彼は僕のチームメイトでもない。僕はトップ10、いやそれ以上を目指して戦っているだけで、あれは何の問題もないと思います」と真っ向から言い返した。
Ollie goes for a spin! 😵💫
Bearman and Tsunoda get too close for comfort into Turn 15 👀#F1 #USGP pic.twitter.com/SObdG5gSKn
— Formula 1 (@F1) October 19, 2025
バトンの分析1「ターン15はユーキに責任」
イギリスの衛星テレビ局『Sky Sports F1』の解説を務めるバトンは、この一件について番組内で「ターン15についてはユーキに非があったと思う」と見解を示した。
「正直、あの場面でユーキがどこへ行こうとしていたのか、僕には分からなかった。オリー(ベアマン)がイン側に仕掛けてくるかをミラーで確認しながら、まるで芝生の上まで寄っていくような動きに見えた」
「もしステアリングを戻さなければ、完全にコース外に出ていたはずだ。彼は100%間違いなくブレーキングゾーンでオリーの動きに反応していたと思う」
さらにバトンは、角田がターン15で「信じられないほど早くブレーキを踏んでいた」とも指摘。それが後方のマシンに影響を与えたと分析した。
バトンの分析2「ターン1の攻防は見事」
一方でバトンは、ベアマンが批判したターン1での攻防については「正当なレース」であり、むしろベアマンも見習うべきだと示唆。擁護する立場を取った。
「あれは正当なレースだ。スプリントでもメインレースでも、彼はレイトブレーキングで見事なスタートを切って、ポジションを大量に挽回してみせた」
「ドライバーならポジションを取り戻すために、あらゆる手段を尽くすべきだ。オリーとの一件だけは、少しやりすぎだったと思うけどね」
キャリア通算15勝を誇るバトンは、角田のディフェンスには改善の余地があるとしながらも、同時にベアマンもリスク判断の面で未熟さを露呈したと指摘。経験者らしい冷静な分析を展開した。
重圧の中で結果を残した角田
シーズン終盤を迎え、角田は来季のシート争いという重圧の中で戦い続けている。正式決定の時期は流動的になりつつあるものの、レッドブルは次戦メキシコGP後を目処に、来季のドライバーラインナップを確定させる方針を維持している。
そうした状況下でも角田は、グリッドで不利な位置から果敢に攻める姿勢を崩さなかった。意識的にリスクを取りながらもクラッシュなどの致命的なミスを犯さず、スプリントと決勝の双方で着実にポジションを取り戻してみせた。
一件のようにレース中には議論を呼ぶ場面もあったが、ペナルティを受けることなくポイントを獲得し、チームの選手権争いに貢献したことは、彼の精神的な成熟を物語る結果となった。
来季の去就はいまだ不透明だが、角田は直近5戦で3度ポイントを獲得。安定感と自信を取り戻しつつある。次戦メキシコGPでも注目の存在となるだろう。