4ドアクーペの電気自動車コンセプト「Audi e-tron GT concept」サイド

アウディ、590馬力を誇る4ドアクーペEV「e-tron GT concept」を発表…3種類のエネルギー回生モードを搭載

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アウディは11月28日、ロサンゼルスモーターショー2018で4ドアクーペの電気自動車コンセプト「Audi e-tron GT concept」を発表した。量産モデルはAudi Sport GmbHが手がけており2年後に登場する予定。

「Audi e-tron GT concept」既に生産開始となっているSUVとスポーツバックに続く3番目のモデル。590馬力(434 kW)の最高出力を誇り、スポーツカーに匹敵するパフォーマンスを発揮する。駆動トルクはクアトロ・フルタイム4WDシステムを介して4輪へと伝達される。

4ドアクーペの電気自動車コンセプト「Audi e-tron GT concept」フロント

風洞実験室から導かれたデザイン

「Audi e-tron GT concept」のボディーサイズは全長4.96m、全幅1.96m、全高1.38m、ホイールベース2.90m。グランツーリスモの典型的な特徴であるフラットでワイドなボディはポルシェの協力を得て開発され、カーボン製ルーフ、アルミニウム製コンポーネント、そして高強度鋼から製造されたサポートエレメントから構成される。

4ドアクーペの電気自動車コンセプト「Audi e-tron GT concept」

4ドアクーペの電気自動車コンセプト「Audi e-tron GT concept」リア

4ドアクーペの電気自動車コンセプト「Audi e-tron GT concept」リア

4ドアクーペの電気自動車コンセプト「Audi e-tron GT concept」サイド

ボディに設定された数多くの機能エレメント、ホイールアーチのエアベント、そしてソリッドなリヤディフューザーは、風洞実験から生み出されたものであり、燃料消費量を削減する優れた空気抵抗係数と低い揚力係数が、このクルマのデザインの視覚的特徴となっている。

前後ホイールアーチ間のシル部は外側に張り出しており、内部にはバッテリーが格納される。ダイナミックなデザインによって空気抵抗を削減しつつ、ブレーキディスクを冷却するためのエアフローを最適化。サイドビューでは285/30サイズのタイヤを装着した22インチホイールが存在感を放つ。

4ドアクーペの電気自動車コンセプト「Audi e-tron GT concept」の俯瞰

ボディのエアフロー調整と大型エアインテークによって、各種アセンブリーやバッテリー、ブレーキが効果的に冷却される。エアフローがボディ全体を包み込むように流れるため、望ましくないスワール(渦流)の発生が抑えられるという。

4ドアクーペの電気自動車コンセプト「Audi e-tron GT concept」のヘッドライト

レーザーハイビームを備えたマトリクスLEDヘッドライトにはアニメーション機能が組み込まれ、水平方向に広がる波をイメージした短いシーケンスによってドライバーを出迎える。ボディカラーには、キネティックダストと呼ばれるチタニウムに似た暖色系のダークカラーを採用。光の角度や動きに応じて、ボディ表面に美しいコントラストを生み出す。ウィンドーフレームとホイールに採用された暖色系の艶消しアルミニウムが、この光の効果がさらに強調する。

人間工学とサステナビリティを体現するインテリア

インテリアは上質な雰囲気が漂うものの決して華美ではなく、トップセクションの大型タッチスクリーンをはじめとする操作系は、人間工学的に最適化されている。フロント及びリヤには、モータースポーツからフィードバックされたスポーツシートが採用され、高速コーナーでも理想的なラテラルサポートを提供する。

4ドアクーペの電気自動車コンセプト「Audi e-tron GT concept」インテリア

インストルメントパネル中央のディスプレイと、センターコンソール上部のタッチスクリーンはブラックパネル調仕上げ。これらの触覚フィードバックを備えたタッチスクリーンは、ドライバーの好みに応じてバーチャルアナログ表示にしたり、航続距離と共にナビゲーションのマップを拡大したり、インフォテインメント機能のメニューを表示させたりと、様々なレイアウトに変化させることが可能となっている。

Audi e-tron GT conceptには、動物由来の素材は使用されておらず、インテリアの素材はすべて植物由来。シート地やトリム地にあしらわれるのは洗練された合成皮革であり、シートクッションやアームレスト、センターコンソールにはリサイクル繊維で作られたファブリックを採用する。ディープパイル起毛のカーペットには使用済み漁網で作られた再生ナイロン(ECONYL)が使用されており、サステナビリティを強調する。

4ドアクーペの電気自動車コンセプト「Audi e-tron GT concept」インテリア

コンパクトなドライブユニットの搭載によって可能となった2つのラゲージコンパートメントは積載能力十分。大型のテールゲートを備えたリヤコンパートメントは最大450ℓの容量を提供。ボンネットの下にも100リットルの収納スペースが用意される。

590馬力、3種類のエネルギー回生モードを搭載

電気自動車としては非常に印象的な590馬力を誇るパワーユニットは、前後アクスルに永久磁石式同期電動モーターを搭載。電動式のquattro4輪駆動システムが、トルクを確実に路面へと伝達する。航続距離を最大化するために最高速度は240km/hに制限されているものの、0-100km/hが約3.5秒、12秒で200km/hに達するパフォーマンスを発揮する。

4ドアクーペの電気自動車コンセプト「Audi e-tron GT concept」フロント側

90kWh以上の容量を備えるリチウムイオンバッテリーは、新しいWLTPモードで400kmを超える航続距離をもたらし、Audi R8に匹敵するほど低い重心を可能とした。これによって優れたコーナリング性能とスポーツカーを彷彿とさせる俊敏性が実現。ドライバーにスポーティなハンドリングを提供する。

2基の電気モーターからなるエネルギー回生システムは3種類の異なる回生モードを搭載。ブレーキと電気油圧的に統合されており、航続距離を最大で30%伸ばすことが可能となっている。その3つとは、シフトパドルのマニュアル操作によって起動するコースティング回生、予測効率アシスト経由で自動的に起動するコースティング回生、そして電気と油圧による減速をスムーズに移行するブレーキ回生である。

0.3G以下の減速時には従来型のブレーキを使用せず電気モーターのエネルギー回生でのみ行う。これは、あらゆる走行シーンにおける減速シナリオの90%以上に相当し、ブレーキの出番は殆どないという。通常のホイールブレーキが作動するのは、ドライバーがブレーキペダルを踏んで0.3Gを超える減速が発生したときにのみ。Audi e-tron GT conceptには、高性能セラミックディスクが装備される。

バッテリーの充電方法は複数用意されており、充電用のケーブルによる接続の他、ワイヤレスによる非接触充電が可能。充電出力が11kWの場合、一晩でフル充電できるという。とは言えAudi e-tron GT conceptは800Vの充電システムに対応しているため、有線による充電の方がはるかに高速。バッテリーを80%まで充電するのに必要な時間はわずか約20分で、これにより320km以上の距離を走行することができる。