
アロンソ、マイアミGP導入のF1規則修正に懐疑…ヴァルキリーLM走行で際立つ構造問題
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)は、2026年F1第4戦マイアミGPから適用される規則修正について、大きな効果は期待できないとの懐疑的な見方を示した。
バーレーンGPとサウジアラビアGPの中止により、F1は約1カ月の中断期間を経てマイアミで再開する。この間にFIA、フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)、チーム、パワーユニットメーカーは、開幕3戦で浮上した問題への対応として、安全性および予選でのスペクタクル向上を目的とした改正案に合意した。
だが、2026年の新たなレギュレーションを導入当初から批判してきたアロンソは、その調整によって根本的な走り方が変わるとは見ていない。
「正直、最初の3レースで見られた状況が完全に変わることはないと思う」
アロンソはそう語ったうえで、現在のF1が抱える構造的な問題を端的に表現した。
「このパワーユニットとこのレギュレーションでは、コーナーで遅く走る方が常に報われる。そうすれば、より多くのエネルギーを確保できるからね」
規則修正の狙いと、アロンソの懐疑
今回の規則修正では、予選でのエネルギー回生に関する上限が見直され、過剰な回生を目的とした走り方を抑える方向に調整が加えられる。さらに、スーパークリッピング時の回生上限も引き上げられる。
スーパークリッピングとは、ドライバーが全開で走っている最中に、エンジンが生み出すエネルギーの一部を駆動ではなくバッテリーへの回生に回す手法だ。
規則修正の狙いは、特に予選において従来に近い限界まで攻めるスタイルを促し、レースにおける高速域での極端な速度差を抑える点にある。アロンソも、こうした細かな調整が一定の改善につながる可能性までは否定していない。
2度のF1王者が問題視しているのは、クリッピングの秒数や回生上限の数値そのものではない。現在のF1では、コーナーでマシンの限界まで攻めることよりも、その後のストレートや全開区間に向けて電気エネルギーを残す判断が報われる場面がある。
だからこそ、アロンソは修正後の規則を実際に走って確かめる必要があるとしながらも、開幕3戦で見られた傾向が大きく変わることはないとの見通しを示した。
「ここ数週間の報道や今日耳にしたことからすると、仮に鈴鹿に戻って今のルールでレースをした場合、クリッピングが増えるのかどうかは分からない。だからこそ、実際にコースで走ってみて、どんな感じか確かめる必要がある」
ヴァルキリーで再確認した「走る喜び」
アロンソの違和感は、中断期間中に別のレーシングマシンを走らせたことで、より鮮明になったようだ。
2018年と2019年にトヨタでル・マン24時間レースを連覇したアロンソは、ポール・リカール・サーキットでアストンマーティン・ヴァルキリーLMのステアリングを握った。そこで感じたのは、現在のF1とは異なる、ドライバーが最後まで攻め込める感覚だった。
「良かったよ。限界ギリギリまで待ってブレーキを踏めたし、リフト&コーストのようなことをする必要はないし、バックストレートや最高速域のコーナーでは最大速度で走れる」
アロンソはさらに、コーナーでどこまで速く走るかをパワーユニットの都合ではなく、ドライバー自身の判断で決められることが心地よかったと語った。
「コーナーで速く行くのか遅く行くのかを、自分がどれだけ勇敢かで決められる。パワーユニットに指示されずにね。走れてよかった」
この発言は、現在のF1に対するアロンソの批判の核心を示唆するものと言える。
アロンソにとって理想的なレースカーとは、レイトブレーキングが可能で、コーナーを限界ぎりぎりまで攻めることができ、ドライバーの判断と勇気がラップタイムとして報われるマシンだ。
だが現在のF1では、ドライバーの判断は電気エネルギーの残量や、その後の区間でのデプロイメント戦略に強く左右される。回生とエネルギー温存のためにレイトブレーキングは制限され、高速コーナーは給電の場と化している。