
マックスF1規則酷評の背景に「悪夢」のレッドブル? ウォルフ分析、一方で「最高のレース」との絶賛も
2026年F1第2戦中国GPの決勝後、パドックでは新レギュレーションに対する互いに相容れない評価が飛び交った。リタイヤを喫したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は「マリオカート」と切り捨て、「こんなものはレースじゃない」と断じた。
一方、フェラーリ移籍後初の表彰台を獲得したルイス・ハミルトンは、「これまでにF1で経験した中で最高のレースだと思う」と絶賛した。同じレースを走った2人の王者は、正反対の言葉を残した。
ウォルフ:酷評の背景にレッドブルRB22
イギリスの専門メディア『Crash』によれば、この見解の溝の一因としてメルセデスのチーム代表トト・ウォルフは、「悪夢」のようなレッドブルのマシンがフェルスタッペンの不満を増幅させている可能性を指摘した。
「マックスは今、悪夢のような状況に置かれているのだと思う。彼の予選オンボード映像を見れば分かることだが、あのマシンはとんでもなく運転しづらい。だが他の多くのチーム(のマシン)はそうではない」
フェルスタッペンが嫌悪している要素の一つが、予選でもリフト&コースト(アクセルオフによる惰性走行)を強いられるエネルギーマネジメントの現状だ。
ウォルフはこの点について、フェルスタッペンのような常に全開で攻めるタイプのドライバーには受け入れがたいと理解を示しながらも、「それはクルマ固有の問題であり、それが問題を増長して見せている部分もあるだろう」と語った。
「マックスもテレビやスクリーンの前で見ていれば、トップ争いは面白いレースだったと言うと思う」
ファンはF1新規則を歓迎、とウォルフ
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.
バルテリ・ボッタス(キャデラック)とポジションを争うフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)、2026年3月15日(日) F1中国GP決勝レース(上海インターナショナル・サーキット)
ウォルフはまた、ドライバーの感覚とファンの反応は必ずしも一致しないとの見方も示した。
「現地での盛り上がりや、オーバーテイクが起きたときの歓声、そしてSNSの反応を見る限り、若いファンを含めてほとんどすべての層が今のスポーツを支持している」
さらに、F1のCEOステファノ・ドメニカリも同様の認識を持っていると付け加えた。
そして「つまり問題は、クルマを走らせる感覚が一部のドライバーにとってあまり気持ちの良いものではないということだ」と総括し、改善の余地があることは認めつつも、現在広がっている批判はファンの評価を反映していないとの考えを示した。
レースを堪能するハミルトンとルクレール
Courtesy Of Ferrari S.p.A.
フェラーリ移籍後初の表彰台となる3位フィニッシュを経て親指を立て笑顔を見せるルイス・ハミルトン、2026年3月15日(日) F1中国GP決勝(上海インターナショナル・サーキット)
「最高のレース」とのハミルトンの評価の根拠は具体的だった。
「追従しやすく、過去数年よりずっと良くなっている。ダウンフォースを大幅に失うような酷い乱気流もないし、お互いの間に紙一枚の隙間しかないような接近戦ができる」とハミルトンは語った。
チームメイトのシャルル・ルクレールも「正直、このクルマでのレースはかなり楽しい」と同調した。
ハミルトンとルクレールは表彰台争いを演じ、フェルスタッペンはリタイヤを強いられた。競争力のあるマシンを持つドライバーがルールを支持する傾向はF1の常であり、それぞれの評価をどう受け取るかは見方によって変わる部分もある。
フェルスタッペンF1批判の潮流
もっとも、フェルスタッペンの批判には一定の文脈がある。
圧倒的な強さでタイトルを連覇していた2023年の段階から、フェルスタッペンは2026年レギュレーションのコンセプトに懸念を示し続けてきた。スプリントレースに対しても、勝利を重ねていた時期から一貫して批判的だった。
中国GP後の発言は、置かれた状況から出た不満なのか。それとも競技の本質に対する問題提起なのか。
ウォルフ自身も「改善点を探ることはできる」と認めているように、現在の形が完成形ではないという認識は共有されている。どこをどう修正すべきかという議論は、シーズンを通して続くことになりそうだ。