
揺れる勢力図…マクラーレン、F1バーレーンテストでメルセデス最新PU未搭載か
バーレーンで開催された2026年F1プレシーズンテストは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が後続に0.8秒の大差をつける形で幕を閉じた。だが、その結果を読み解くうえで見逃せない情報が浮上した。
イギリスの公共放送『BBC』によれば、王者マクラーレンは最新仕様のメルセデス製パワーユニット(PU)を使用していなかったという。
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、ルクレールより1段階硬いタイヤで0.869秒差の3番手タイムを記録した。仮にこの報道が事実であれば、バーレーンでのマクラーレンの走りは、PU仕様の差という変数を踏まえて評価する必要がある。
ワークスは最新、カスタマーは旧型
報道によると、供給元のメルセデスが最新スペックを使用していた一方、カスタマーチームであるマクラーレンは旧型スペックを搭載していたという。同じくカスタマーであるウィリアムズやアルピーヌの状況は不明だ。
レギュレーションでは従来通り、ハードウェアだけでなく制御用ソフトウェアも含め、供給先となるすべてのチームに同一仕様のPUを用意することをPUメーカーに義務付けている。そのため、開幕戦オーストラリアGPでは、マクラーレンもワークスのメルセデスと同一仕様を使用することになる。
だが、プレシーズンテストの段階ではこの義務は適用外だ。メルセデスがまずワークスチームで最新仕様を試し、問題がないと確認したうえでカスタマーチームに供給するという手順は、特段不自然なものではない。
最新仕様の狙い、「上積み」はあるのか
Courtesy Of McLaren
ランド・ノリスが乗るマクラーレンMCL40周りで作業に取り組むメカニック、2026年F1プレシーズンテスト(バーレーン・インターナショナル・サーキット)
BBCは、最新仕様への切り替えによって「上積みが見込める」と伝えている。だが、実際にパフォーマンスが向上するかどうかは不明だ。
最新仕様が出力の向上ではなく、信頼性の強化を主目的としたものである可能性もある。あるいは、プレシーズンで話題となっている圧縮比の温間検査を見据えた対策版である可能性も否定できない。
メルセデスは、従来の冷間測定に加えて温間測定が実施された場合でも、自分たちのパフォーマンスに影響はないとの立場を示している。最新スペックがこの新たな検査手順に適合させるための仕様であれば、ラップタイムに直接的なプラスの影響をもたらさない可能性もある。
一方で、旧スペックのPU搭載がドライバーの走りに影響を及ぼしたと受け取れる発言もある。昨年、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)を僅差で破り、悲願のワールドチャンピオンに輝いたランド・ノリス(マクラーレン)は現状について次のように語っている。
「他のチームのレースペースに合わせようとすると、少し無理をしなきゃいけなくて、その分デグラデーションが早まってしまう」
無理をしなければならない理由が、旧型PUの出力不足なのか、それともシャシーのセットアップやバランスの問題なのかは定かでない。だが、仮に出力が足りない状況であれば、それを補おうとしてコーナリングやブレーキングで無理をして、結果としてタイヤに余計な負荷をかける展開は十分に考えられる。
さらにノリスは、タイトル防衛について「もちろん勝ちたい。でも義務感みたいなものは感じていない」としたうえで、「今はもっと戦えるように、そして開幕戦に自信を持って臨むために、クルマをかなり改善しなきゃいけない」と強調した。
倒すべき相手は「フェラーリとメルセデス」
Courtesy Of McLaren
パドックを歩くマクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラ、2026年F1プレシーズンテスト(バーレーン・インターナショナル・サーキット)
一方、マクラーレンのチーム代表を務めるアンドレア・ステラは、テスト最終日を終えた段階で、倒すべき相手は「フェラーリとメルセデス」だと明言し、自陣はレッドブルと「ほぼ互角」との認識を示した。
この評価が旧型PUでの走行を前提としたものなのか、それとも最新仕様の搭載を見込んだうえでの見立てかは判然としない。だが、仮に最新仕様への切り替えで相応のパフォーマンス向上があれば、今シーズンは一層、興味深いものになる可能性がある。
現時点では、メルセデスとフェラーリが優勢と見る向きが多く、そこにマクラーレンとレッドブルが続くとの見方が広がっている。マクラーレンが両陣営の争いに加われば、三つ巴の戦いが現実味を帯びる。