メキーズが禁断告白「彼には言うなよ…」“フェルスタッペン封じ規則”の誕生秘話と、10年越しの皮肉な再会

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興味深いカミングアウトが飛び出した。レッドブルのチーム代表ローラン・メキーズが、かつて“次なるマックス・フェルスタッペン”の誕生を「二度と起こさない」ためのルール作りに奔走していたことを明かしたのだ。

「彼には言うなよ…」と前置きしつつ、レッドブルの公式ポッドキャスト『Talking Bull』で語った内容は、F1の歴史を知る者なら思わず笑ってしまうほど皮肉に満ちていた。だが同時に、そこには運命的な巡り合わせを感じさせるものがあった。

発端は「17歳、免許なし、F1デビュー」

2014年8月22日のF1ベルギーGPフリー走行を見学に訪れたマックス・フェルスタッペンとヨス・フェルスタッペン、トロロッソのガレージ内にてCourtesy Of Red Bull Content Pool

2014年8月22日のF1ベルギーGPフリー走行を見学に訪れたマックス・フェルスタッペンとヨス・フェルスタッペン、トロロッソのガレージ内にて

今を遡ること10年前、F1界は一人の若者の話題で持ちきりだった。そう、後に4度のF1ワールドチャンピオンとなるフェルスタッペンだ。

彼は2015年、F3からF1へという“超飛び級”で、わずか17歳にしてトロ・ロッソ(現レーシング・ブルズ)からデビュー。普通自動車免許すら持たない年齢で世界最速のシングルシーターをドライブするというその事実は、衝撃と困惑、そして一部の反発を招いた。

「二度と起こすな」とのFIA会長厳命

スクーデリア・トロロッソのローラン・メキーズCourtesy Of Red Bull Content Pool

スクーデリア・トロロッソ時代のローラン・メキーズ

奇しくも時を同じくして、メキーズはセーフティーディレクターとしてトロ・ロッソからFIAに移籍したばかりだった。フェルスタッペンのF1デビュー発表が行われたのは2014年8月。メキーズがFIAに加わったのは、ちょうどその翌月のことだ。

そんな彼に着任早々、当時のFIA会長ジャン・トッドから「最初のお達し」が下る。

メキーズはその時のトッドの言葉を、笑いながらこう振り返る。

「いいか、このマックスとかいう若いのが17歳でライセンスを取った。馬鹿げている。公道で合法的に運転できないのにF1マシンをドライブするなんて、誰にも理解されないだろう」

「だから頼む。君のチームと協議して、ドライバーがスーパーライセンスを取得する仕組みを新しく作り直してくれ。二度とこんなことが起きないように」

ルノー・スポールのジェローム・ストール社長とFIAジャン・トッド会長、2018年F1イタリアGP決勝Courtesy Of Renault

ルノー・スポールのジェローム・ストール社長とFIAジャン・トッド会長、2018年F1イタリアGP決勝

そして生まれた「スーパーライセンス制度」

司会者から「前代未聞だったマックスのライセンス取得を一体どうやって成し遂げたのか?」と問われたメキーズは、自身がFIAに合流したのはフェルスタッペンがスーパーライセンスを取った直後であるとして否定しつつも、冗談交じりにこう語った。

「…実は、逆なんだ。彼は知らないんだ。実は僕が“彼を止めようとしていた側”だったなんてね!」

「とはいえ、マックスが傑出していたがために、今こうして、最低年齢やポイント制度を含む全く新しいスーパーライセンス制度があるんだ」

現在F1ドライバーになるためには「最低年齢18歳」「下位カテゴリで40ポイント獲得」といった厳しい条件を満たす必要があるわけだが、何を隠そうこれは、10年前にメキーズが“フェルスタッペン対策”として作り上げたルールだった。

”マックス封じ規則”を作り上げた男の皮肉

プラクティス中にガレージで会話を交わすマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とローラン・メキーズ(チーム代表)、2025年7月25日(金) F1ベルギーGP FP1(スパ・フランコルシャン)Courtesy Of Red Bull Content Pool

プラクティス中にガレージで会話を交わすマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とローラン・メキーズ(チーム代表)、2025年7月25日(金) F1ベルギーGP FP1(スパ・フランコルシャン)

F1の世界は、時に驚くほど皮肉めいており、同時に奇妙な巡り合わせに満ちている。

メキーズはその後、FIAで副F1レースディレクターまで上り詰めた後、2018年9月にレースディレクターとしてフェラーリに移籍。F1チームの現場に復帰した。

当時のフェルスタッペンについて、メキーズは「ライバルチーム側としては、あまりにも彼は速く、正直、腹が立つほどだったよ!」と振り返る。

その後メキーズは、2024年にレーシング・ブルズの代表に就任。そして今年7月、レッドブルのチーム代表兼CEOとなり、フェルスタッペンの成功を支える中枢としての役割を任された。

10年前、「若すぎる」としてF1から締め出すルールを作った張本人は、ライバル関係を経て、今やその“若すぎた天才”と同じ釜の飯を食う立場にいる。

「実際に一緒に仕事をしてみると、クルマの外でも彼がどれほど非凡なのかが分かる。信じられないかもしれないけど、本当にそうなんだ」とメキーズはフェルスタッペンへの称賛を惜しまない。

表彰台に上がったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、フェラーリのシャルル・ルクレールとローラン・メキーズ、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、2022年7月10日F1オーストリアGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

表彰台に上がったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、フェラーリのシャルル・ルクレールとローラン・メキーズ、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、2022年7月10日F1オーストリアGP決勝レース

「彼には言うなよ…」と念押ししたメキーズだが、すでに全世界に発信済み。この“笑える過去”がフェルスタッペンの耳に届くのは、ハッキリ言って時間の問題だろう。