割れるF1スプリント評「魔法を奪う」として依然アンチのフェルスタッペン、お気に入りのハミルトンと課題指摘のルクレール
今季3度目の優勝を経てなおマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は「魔法を奪う」として、今も変わらず”アンチ・スプリント派”である事を明らかにした。
3度のF1ワールドチャンピオンは反F1スプリント論者の筆頭で、時には引退をチラつかせるなど、パドックの中で誰よりも辛辣な批判を繰り返してきた。
視聴者の興奮を奪うとフェルスタッペン
初代スプリントウィナー(2021年イギリスGP)のフェルスタッペンは、2023年のF1アメリカGPスプリントでの勝利を経て「最高だよ!大好きさ!」と冗談を口にした上で、「僕の率直な意見が聞きたいなら…」と述べ、次のように続けた。
「予選を終えると、ちょっと途方に暮れてしまうというか、あんまり楽しくないんだよね。全てを賭けて走るようなセッションは週末に1回だけで良い気がするんだ」
「今朝のシュートアウトで僕はトップだったけど、スプリントで大量のポイントが得られるわけじゃないし、それにスプリントをやることで多かれ少なかれ、誰もが明日のレースで何が起きるか分かってしまうわけだから、その意味で少し楽しみが減ってしまうように思う」
「もし今日、レースをやらず、決勝に向けて予選しかやらなければ、レースを前にどうなるかなんて分かりようがないわけで、誰もが興奮してテレビをつけると思うんだ。でも今はちょっとだけ予想がついてしまう」
隣に座っていたルイス・ハミルトン(メルセデス)から「退屈なの?」と声をかけられると「退屈してるわけじゃないけど、もし僕がファンだったらガッカリするだろうなって思ってね」と答えた。
フェルスタッペンは、週末に行われるレースが1回のみであれば、何が起こるか分からないという未知の要素が日曜のレースに向けた視聴者の興奮に繋がると考えているようで、その未知の要素を「魔法」と表現し、それがスプリントの週末では失われてしまうと指摘する。
「もしクレイジーな事が起きなければ、明日の結果が予想できてしまうわけで、つまり、日曜の朝とかに目が覚めた時の魔法が奪われてしまうような気がするんだ」
「テレビをつけて予選の結果が分かったとしても、どのクルマが一番速いのかって事はシーズンの大部分で不明瞭だよね。でも(スプリントをやると)その魔法が奪われてしまうように感じるんだ」
追う側は楽しい、とハミルトン
フェルスタッペンが批判的な見解を持つ一方、2位と3位でフィニッシュしたハミルトンとシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、3年目を迎えたこの試みには良い面もあると主張する。
「追いかける立場としては少し視点が違っていて、僕としては楽しいけどね」とハミルトンは語る。
「自分たちのパッケージから少しずつ、もう少し、そして全てを引き出すための特別なチャンスだと僕は捉えていて、だから好きなんだ」
「個人的にはスプリント・ウィークエンドの特に金曜が好きだな。プラクティスが1回しかなくて、そのまま予選に入るのが本当に気に入っているんだ」
「これまでの経験から学んでもっと良いものにできると思う」
成否はコンパウンドに依存、とルクレール
ルクレールは「良いところもあれば、少し良くないところもある」として、ハミルトンと同じようにプラクティスが初日FP1の60分間のみである点を大いに評価した。
そして個々のイベントのスプリントがスリルと興奮に満ちたものになるかどうかは、タイヤと路面との関係やドライバーのタイヤ選択に依存すると指摘した。
「カタールのスプリントは本当にエキサイティングだったと思う。あの時は2種類のコンパウンドに大きな差があったからね」とルクレールは語る。
「1つは序盤の6、7周でかなり良かったけど、その後、酷いデグラデーションが発生した。もう1つの方は、終盤に向けてかなりのペースを発揮した」
「でもそういう状況でないと今日のようなレースになってしまう。残念ながら今日はカルロス(サインツ)以外の全員がミディアムを選んだレースだった」
「通常のレースウイークだと予選に辿り着くまでにFP1、FP2、FP3と、かなりの周回をこなさなきゃならない。ちょっと多すぎな気がするし、だからこの手の週末が僕はかなり気に入っているんだけど、他にも色々、検討しなきゃならない事があるかもしれないね」