フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)は、フォーミュラ1世界選手権(F1)に関する商業権を管理・運営する組織だ。主に放映権、スポンサー契約、グランプリ開催に関する商業契約を統括し、F1を国際的な興行として成立させるためのビジネス面を担っている。
FOMは、F1の商業事業を束ねるFormula One Groupの中核組織であり、同グループはアメリカ合衆国のメディア企業リバディ・メディアの傘下に置かれている。同社は2017年にF1の商業権を取得し、それ以降、FOMを通じてシリーズ全体の商業運営を行っている。
一方、レースの競技および技術規則、ならびにスポーツとしての統治は国際自動車連盟(FIA)が担っている。FOMは競技規則の制定権限を持たないが、放送用国際映像の制作やプロモーションなど、大会運営を支える実務面に関与しており、FIAがスポーツ面、FOMが商業および興行運営面を担う分業体制が現在のF1運営の基本構造となっている。
沿革
商業権管理体制の成立
F1における商業権の集中管理は、1970年代から1980年代にかけて段階的に形成された。当初は各グランプリ主催者が個別に放映権やスポンサー契約を交渉していたが、シリーズ全体の価値向上を目的として、これらを一元化する動きが進んだ。
1980年代には、チーム側団体であるFOCA(Formula One Constructors Association)とFIAとの間で「コンコルド協定」が締結され、F1の商業的枠組みが制度化された。1987年には商業権管理を担う組織としてFormula One Promotions and Administration(FOPA)が設立された。これが後のFOMである。
この商業権体制の確立と拡大を主導した人物が、長年にわたりF1の商業面を率いたバーニー・エクレストンだ。エクレストンの下、当初は草の根モータースポーツに過ぎなかったF1は、テレビ放映権ビジネスを軸に世界的なスポーツ興行へと成長した。なお、前述のFOPAを設立したのもエクレストンだ。
所有権の変遷
2000年代半ばには、投資会社CVCキャピタル・パートナーズがF1の商業権を取得し、企業グループとしての再編が進められた。その後、2017年にリバティ・メディアがFormula One Groupを買収し、現在の所有体制に移行している。
組織と経営体制
FOMはFormula One Groupの経営体制の下で運営されており、シリーズ全体の商業活動を統括する社長兼CEOが置かれている。2021年以降は、元フェラーリF1チーム代表であるステファノ・ドメニカリが同職を務めている。
組織内部は、放映権およびメディア事業、商業パートナーシップ、イベント運営、マーケティングなどの部門で構成されており、F1の興行としての運営を包括的に支えている。
の主な収益源は、放映権料、グランプリ開催権料、スポンサー収入で構成されている。これらの収益は、チームへの分配やシリーズ運営費として活用されている。
主な役割と業務内容
FOMは、F1に関する世界各国のテレビ放映権およびデジタル配信権を管理し、放送局や配信事業者との契約交渉を行っている。これらはF1の主要な収益源の一つとなっている。一方で禁煙は、従来のテレビ放送に加え、公式ストリーミングサービスやデジタルメディアを通じてF1コンテンツの提供を拡大。新規市場や若年層への訴求を図っている。
各国グランプリの開催に際しては、FOMが主催者と商業契約を結び、開催権料やプロモーション条件などを取り決めている。
また、FIAおよび参戦チームとコンコルド協定を締結し、収益分配の枠組みやシリーズ運営の基本条件を定めている。
FIAとの関係とF1商業権の位置づけ
フォーミュラ1世界選手権(F1)は、FIAが統治する国際選手権であり、その名称および選手権としての根本的な権利はFIAに帰属している。一方で、その商業面については、FIAが自ら行使するのではなく、外部組織に委ねる形で運用されてきた。
この関係が制度的に明確化されたのは、1981年に締結された第1次コンコルド協定以降と見られる。同協定によって、FIAはF1世界選手権の統治主体としての地位を確立し、競技規則および技術規則の策定を担う一方、商業的側面については別の枠組みで管理される体制が形成された。
1987年には、FIAの承認の下で商業権管理を担う組織としてFOPAが設立され、後にFOMへと発展した。これにより、FIAを権利保持者としつつ、FOMが商業的実行主体を担うという役割分担が定着していく。
1995年には、FIAとエクレストンが支配していたSLEC社との間で、F1の商業権に関する契約が結ばれた。この契約では、FIAがF1の商業権を保持したまま、その商業的利用を一定期間、独占的にF1側へライセンスすることが定められた。その結果、この分担制は契約上においても明文化されることとなった。
その後、2000年代初頭には、この枠組みを前提とした、より長期の独占ライセンス契約が整備された。一般に「100年契約」と呼ばれることがあるこの契約は、FIAが商業権を保持したまま、極めて長期間にわたり(2110年まで)F1側に独占的な商業利用権を認めたものである。この長期ライセンス体制が形成された当時、FIA会長を務めていたのがマックス・モズレーだ。
現在、F1の放映権を含む商業権は、リバティ・メディア傘下のFormula One GroupおよびFOMによって管理・運営されているが、その法的な基盤は、FIAが権利の源泉を保持し、長期ライセンスを通じて商業利用を認めるという歴史的な契約関係に基づいている。
