最悪からの挽回劇―角田裕毅の「驚くほどの努力」をチーム全体で支えるとメキーズ代表

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角田裕毅本人が「人生最悪のスタート」と振り返るほどの苦境に見舞われたレースを経て、レッドブルのローラン・メキーズ代表は「これからも一緒に改善を続けていく」と語り、課題を個人の問題とせず、チーム全体で支える姿勢を改めて示した。

2025年F1第18戦シンガポールGP決勝で、角田は壮絶な挽回劇を演じた。オーバーテイクが困難なことで知られるマリーナベイ市街地コース。スタート直後に17番手まで転落する悪夢のような展開から、粘り強い走りでポイント圏目前の12位まで順位を戻した。

カルロス・サインツ(ウィリアムズ)をリードする角田裕毅(レッドブル)、2025年10月5日(日) F1シンガポールGP決勝(マリーナベイ市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

カルロス・サインツ(ウィリアムズ)をリードする角田裕毅(レッドブル)、2025年10月5日(日) F1シンガポールGP決勝(マリーナベイ市街地コース)

悪夢の1周目、17番手転落から始まった戦い

前日の予選でQ2最下位に沈み、厳しいグリッドポジションからのスタートを強いられた角田。決勝ではソフトタイヤでスタートしたものの、直後にフランコ・コラピント(アルピーヌ)に抜かれて14番手に後退。さらに2周目までに17番手まで順位を落とす波乱の幕開けとなった。

それでも角田は粘り強くペースを維持し、着実に順位を取り戻した。最終的に12位でフィニッシュし、ポイント獲得まであと一歩に迫った。

メキーズは角田の走りをこう振り返る。

「ユーキにとっては厳しい一日になった。1周目に大きく順位を落としたが、その後はしっかりと立て直し、順位を取り戻していき、あと一歩でポイント圏内というところまで挽回してくれた」

「驚くほどの努力」支えるチームの姿勢

メキーズはQ2最下位という結果について、「予選は良くなかった」と率直に認めた。ただ同時に、角田の取り組みを高く評価し、課題を個人の問題として切り離さない姿勢を強調した。

「予選は良くなかったが、彼は驚くほど努力を重ねている。これからも彼と一緒に改善を続けていくつもりだ」

困難な状況でも個人を責めず、チームとして寄り添う姿勢――そこには、角田と共に進化を遂げようとするメキーズ率いる新生レッドブルの信念が見て取れる。

ガレージ内でブリーフィングを行うローラン・メキーズ(レッドブル代表)、2025年10月2日(木) F1シンガポールGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

ガレージ内でブリーフィングを行うローラン・メキーズ(レッドブル代表)、2025年10月2日(木) F1シンガポールGP

フェルスタッペンは2位、リスク戦略も優勝届かず

一方、チームメイトのマックス・フェルスタッペンは2位表彰台を確保した。ウェットパッチが残る難しいコンディションの中、スタート時にソフトタイヤを選ぶという「リスク」を取ったが、優勝には届かなかった。

タイヤ戦略についてメキーズは「勝つための最善のチャンスを狙った判断だ」とその意図を説明した。

「マックスは非常に力強いレースを見せ、ジョージに食らいつきつつ、マクラーレン勢を抑える走りを見せた。序盤に早めにピットインした後もマクラーレンの追撃をかわし、2位を守り切るという驚異的な仕事をしてくれた」

表彰台で2位トロフィーを掲げるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2025年10月5日(日) F1シンガポールGP決勝(マリーナベイ市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

表彰台で2位トロフィーを掲げるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2025年10月5日(日) F1シンガポールGP決勝(マリーナベイ市街地コース)

レッドブルにとって、マリーナベイ市街地コースはV6ハイブリッド時代以降、苦手意識を持ってきたサーキットだ。実際、フェルスタッペンをもってしても未だに勝利がない。

そのような舞台でポールポジション争いに絡み、62周を通して今季最強マシンと評されるマクラーレンMCL39を抑え込めたことに、メキーズは手応えを得ている。

「こうして前線を争えたのは、ミルトン・キーンズとサーキット両方で積み重ねてきた努力の証だ。これまで決して得意としてこなかったこの手のコースで競争力を発揮できたことは、他のサーキットでもより良い戦いができるという自信につながるし、確かな進歩を示す結果だ」

マクラーレンの34年ぶり快挙に祝意

このレースはジョージ・ラッセル(メルセデス)が独走優勝を飾り、5.430秒差でフェルスタッペンを下した。ラッセルにとって今季2勝目、キャリア通算5勝目となる勝利だった。

一方で最大の話題は、マクラーレンがコンストラクターズ選手権連覇を達成したことだ。アイルトン・セナが在籍した黄金期、1988年から1991年の4連覇以来、実に34年ぶりの連覇となった。これにより通算タイトル数を10回とし、ウィリアムズの9回を上回って、フェラーリに次ぐ歴代2位の記録を樹立した。

レッドブルもまた、かつてコンストラクターズタイトルを獲得したチームとして、その価値を誰よりも理解している。メキーズはライバルチームの偉業に敬意を表した。

「マクラーレンのコンストラクターズタイトル獲得を祝福したい。タイトルを勝ち取ることがいかに難しいかは、我々もよく知っている。チーム関係者全員に心からの祝福を送りたい」


2025年F1第18戦シンガポールGP決勝レースは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位にランド・ノリス(マクラーレン)が続く結果となった。

サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)を舞台とする次戦アメリカGPは10月17日のフリー走行1で幕を開ける。

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