中東危機がモータースポーツを直撃。WECが開幕戦延期を決定、F1やMotoGPにも波紋

  • Published:
  • Googleで優先するソースとして追加する

緊迫化する中東の軍事情勢を受け、FIA世界耐久選手権(WEC)は2026年シーズンの開幕戦「カタール1812km」の延期を決定した決めた。当初は3月28日にルサイル・インターナショナル・サーキットで開催される予定であったが、シーズン後半へと先送りされる。

米国とイスラエルによるイランへの攻撃、そしてイラン側の報復措置により、戦火は中東全域へと広がった。カタールのみならず、バーレーンやサウジアラビアといった主要レース開催地も直撃を受けている。WECはこうした事態を受け、主要カテゴリーの中で最も早くカレンダー変更に踏み切った。

カタール、ドローン攻撃でLNG生産停止に

カタール国防省によると、国内の発電所やエネルギー関連施設がドローン攻撃の標的となった。これを受け、カタールエナジーは液化天然ガス(LNG)の生産停止を決断した。世界最大級のLNG生産拠点への打撃を受け、天然ガスの価格は急騰している。

WECは声明を通して「競技者、スタッフ、そしてファンの安全とセキュリティが最も重要だ」と述べ、延期を正当化した。カタール戦の延期により、当初第2戦として組まれていた4月19日のイタリア・イモラ6時間レースが、実質的な今季開幕戦となる。

ル・マン24時間レースの主催者であり、WECの共同プロモーターも務めるフランス西部自動車クラブ(ACO)の会長ピエール・フィヨンは、今回の判断についてこう語った。

「何よりもまず、この恐ろしい紛争の犠牲者の方々に思いを寄せている。このような局面では、スポーツの利益は明らかに二の次だ」

国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ビン・スライエム会長も、「安全性とウェルビーイングが開催判断を左右する」との方針を改めて示した。2026年シーズン後半への再調整に向け、関係各所と協議を進める構えだ。

F1とMotoGPにも迫る「開催可否」の決断期限

WECの決定は、同じく中東でのレース開催を控える他カテゴリーにも波紋を広げる。カタールではWECの2週間後にMotoGPの開催が予定されている。

一方、F1カタールGPは11月の開催予定だが、4月12日にはバーレーンGP、同19日にはサウジアラビアGPが控えている。いずれも中東情勢の影響を受けかねない日程だ。

すでにバーレーンではF1タイヤテストが中止となった。航空路の閉鎖や周辺国の動向次第では、代替開催地の検討を含め、大掛かりな日程調整へと発展する可能性も否定できない。