体調不良を訴えるドライバーが続出した2023年のF1カタールGPを受け国際自動車連盟（FIA）は、事態の再発防止に向けて対策を講じる事を約束した。これにはチームに向けたガイダンスの発行や気候条件に合わせたカレンダーの変更勧告、車体改良などが含まれる。

2023年10月8日にロサイル・インターナショナル・サーキットで行われたカタールGPはナイトレースにも関わらず30℃を超える気温に見舞われ、コックピット内の温度に影響を与える路面温度は40℃近くにまで上昇した。

連続する高速コーナーによる強烈な横Gはドライバーを容赦なく襲い、事実上の3ストップ戦略が義務付けられた事もあってドライバーは常にプッシュする必要を迫られ、脱水症状によりリタイヤを余儀なくされたり、ステアリングを握りながら「気を失った」と主張する者もあった。

レース中にヘルメットの中で嘔吐したエステバン・オコン（アルピーヌ）は、車内の温度は「80℃位に達していたはず」であるとして、この日のドーハの夜を「地獄」と称し、バルテリ・ボッタス（アルファロメオ）は「拷問」と形容した。

過酷なトレーニングを積むトップドライバー達がこれほどまでに体力的に疲労した原因としては単に気象条件だけでなく、コックピット内への気流が少ないことや、車体後方に搭載されているエンジンからの熱の流入など、マシン自体に関わる技術的な要素も指摘されている。

こうした事態を受け、F1を統括するFIAは次の声明の中で、徹底的な調査のもと、対策を講じると約束した。

「FIAは、2023年のFIAフォーミュラ1カタールグランプリ中の極端な温度と湿度がドライバーの健康に影響を与えたことに懸念をもって留意する。エリートアスリートとは言え、健康や安全を危険にさらす可能性のある条件下でのレースを彼らに期待すべきではない」

「クルマの安全性を確保するのは常に競技者の責任だが、サーキットのインフラやマシンの安全要件のような安全に関する他の事項と同様に、FIAは競技会における許容可能なパラメータを確立し、それを伝えるためにあらゆる合理的な措置を講じる」

「これに向けてFIAは、カタールの状況分析を開始し、今後に向けて極端な気象条件下における状況に関する提言を行う。来年のカタールGPは、気温の低下が予想されるシーズン後半の開催が予定されているが、FIAはこのようなシナリオが繰り返される事を防ぐべく、今すぐ対策を講じたいと考えている」

「パリで開催される次回の医療委員会では様々な対策が議論される予定だ。これには競争者へのガイダンス、コックピット内の空気の流れをより効率的にするための修正に関する研究や、許容可能な気候条件に合わせたカレンダーの変更勧告などが含まれる」

「例えばクロスカントリーイベントなどの極端な気候下における他のシリーズに関する研究をサーキットイベントに応用できるかどうかについての検討も行われる。FIA会長のリーダーシップの下、技術、安全および診療の各部門間の緊密な協力を進め、このプロセスを促進させていく」

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