
ルクレールがすがる「ハミルトン仕様ブレーキ」の正体とは? フェラーリの伝統を覆したF1王者の執念
2026年F1第6戦モナコGPでのクラッシュの原因を、ブレーキであると断じたシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、次戦から「ハミルトン仕様」のブレーキ構成に移行すると明かした。この「ハミルトン仕様」とは何なのか。
ルクレールは、モナコ以前からブレーキに不満を抱えていた。直前のカナダGPでも、週末を通じてブレーキへの不満を漏らしていた。カナダではルイス・ハミルトン(フェラーリ)が2位表彰台に上がった一方、ルクレールはチームメイトから34秒遅れの4位にとどまった。
ルクレールはQ3でクラッシュを喫したモナコGPの予選後、すでに含みのある発言をしていた。「解決策があるのは分かっている。でも、ここモナコでは試したくなかった」と。そして迎えた決勝での再びのクラッシュが、ルクレールの不満を爆発させた。
クラッシュ直後に「あれは絶対に僕の責任じゃない!このブレーキのせいだ!」と無線で感情を爆発させると、当時のブレーキをめぐる状況は「危険と言ってもいいレベルだった」と主張。これに対して、フェラーリにブレーキを供給するブレンボが異例の声明を発表するに至った。
イタリアの専門メディア『AutoRacer』によれば、この「ハミルトン仕様」は、フランスのメーカーであるカーボン・インダストリーズ(CI)製のブレーキディスクで、ハミルトンは第3戦日本GPから密かにディスクをCI製に変更していたという。
伝統を覆したハミルトンの執念
フェラーリと、イタリアのブレーキメーカーであるブレンボは、50年以上にわたる強固なパートナーシップを結んでいる。だが報道によれば、7度のF1王者は、昨シーズンの段階からブレーキサプライヤーの変更をチームに強く働きかけていた。
その理由は品質への不満というより、メルセデス時代に12年間にわたって使用し、慣れ親しんだCI製ディスクのフィーリングに対する強いこだわりにあったされる。だがフェラーリは、長い付き合いと成功の歴史を持つブレンボとのパートナーシップに固執した。
それでもハミルトンは、オフシーズン中もフェラーリに変更を働きかけ、プレシーズンのバーレーンでのテストを経てチームの説得に成功し、鈴鹿サーキットで行われた第3戦日本GPからディスクをCI製に変更したとされる。
なお、報道によればCI製はディスクのみで、キャリパーなど、ほかのブレーキシステムの大部分は引き続きブレンボ製を使用しているという。
ルクレールも次戦から同じブレーキ構成へ
決勝で3戦連続してハミルトンに敗れたルクレールはモナコGPを経て、次戦バルセロナ・カタロニアGPから「ハミルトン仕様」に移行する意向を示した。「唯一、少し希望が持てるのは、すでに解決策があるってことだ」
「ルイスはすでにブレーキに関して違う方向性を取っている。次のレースからは、僕も同じことをするつもりだ」
フェラーリの副チーム代表ジェローム・ダンブロシオは、チームとしてルクレールの問題解決に全力で取り組む姿勢を強調した。
「今後のレースについては、シャルルを100%サポートすることが我々の目標だ」とダンブロシオは語った。
「明日ファクトリーに戻り、何が起きたのかを分析し、最善の対応策を見極めたうえで、我々が最も適切だと判断する方向へ進んでいく」
リタイヤ7台という大波乱の展開となった2026年F1第6戦モナコGPでは、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)がポール・トゥ・ウインを飾り、連勝記録を5に伸ばした。2位にルイス・ハミルトン(フェラーリ)、3位にアイザック・ハジャー(レッドブル)が続く結果となった。
カタロニア・サーキットを舞台とする次戦バルセロナ・カタロニアGPは、6月12日のフリー走行1で幕を開ける。