
2026年F1リザーブドライバー総覧:機を待つ角田・岩佐・平川、各チームの裏方体制
2026年のFIA-F1世界選手権は、新たなレギュレーションの導入に加え、新規参戦チームを迎える節目のシーズンとなる。歴史的な転換点を前に、各チームのリザーブドライバー体制がほぼ固まった。
かつてオリバー・ベアマンは、2024年のサウジアラビアGPで虫垂炎により欠場したカルロス・サインツの代役としてフェラーリから出走し、7位入賞を果たした。この一戦を機に評価を高めたベアマンは、その後ハースの2025年レギュラーシートを射止めた。こうした例が示す通り、リザーブの座は時にキャリアを大きく動かす契機となる。
リザーブドライバーの役割
リザーブの役割は多くの場合、代役にとどまるものではない。レースへの帯同に加え、シミュレーター作業を通じた新パーツの評価やセットアップ検証を担い、マシン開発を下支えする。若手起用が義務付けられているフリー走行枠でも重要な役割を果たす。
そして病気や負傷、さらには政治的な判断によってレースドライバーが欠場、またはチームを離脱すれば、ベアマンのように一気に脚光を浴びる立場となる。
2026年F1リザーブドライバー一覧
2026年のF1グリッドには、3名の日本人ドライバーが名を連ねる。
5シーズンの経験を持つ角田裕毅は、レッドブル/レーシング・ブルズのリザーブを兼務。開発とシミュレーター作業を通してチームに貢献する。
岩佐歩夢はレーシング・ブルズのリザーブ業務と並行して、スーパーフォーミュラ王者としてタイトル防衛に挑む。
FIA世界耐久選手権(WEC)ハイパーカークラス王者の実績を持つ平川亮は、トヨタとの関係を背景に2026年もハースの公式リザーブを務める。
| チーム | ドライバー |
|---|---|
| マクラーレン | レオナルド・フォルナローリ パトリシオ・オワード |
| メルセデス | フレデリック・ヴェスティ |
| レッドブル・レーシング | 角田裕毅 |
| フェラーリ | アントニオ・ジョビナッツィ |
| レーシング・ブルズ | 角田裕毅 岩佐歩夢 |
| アストンマーティン | ジャック・クロフォード ストフェル・バンドーン |
| アルピーヌ | ポール・アロン クッシュ・マイニ |
| ウィリアムズ | ルーク・ブラウニング |
| ハース | 平川亮 ジャック・ドゥーハン |
| キャデラック | 周冠宇 |
| アウディ | TBC |
マクラーレン
Courtesy Of McLaren
2026年マクラーレン育成ドライバープログラムに選出されたレオナルド・フォルナローリ
レオナルド・フォルナローリは、FIA-F3選手権とFIA-F2選手権で連続タイトルを獲得した逸材で、2025年末にマクラーレンの育成プログラムへ加わったばかりだが、2026年はリザーブに加えテスト兼開発ドライバーも兼任し、シミュレーター作業を通じて自己研鑽に取り組みつつ、マシン開発にも携わる。
2025年のインディカー・シリーズで、アレックス・パロウに続く総合2位の成績を収めたパトリシオ・オワードは、3季連続でリザーブを務める。
メルセデス
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
メルセデスF1チームのジュニアプログラムに所属するフレデリック・ヴェスティ、2023年
メルセデス育成プログラムの一員であり、2023年F2総合2位のフレデリック・ヴェスティが2026年もリザーブを務める。2024年以降はスポーツカーレースに軸足を移し、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズやIMSAに参戦。バルテリ・ボッタスの離脱もあり、今季はチーム唯一のリザーブとしてシミュレーター作業を主導する。
レッドブル
Courtesy Of Red Bull Content Pool
ドライバーズパレードで手を振る角田裕毅(レッドブル)、2025年12月7日(日) F1アブダビGP(ヤス・マリーナ・サーキット)
角田裕毅は、2025年シーズン途中に同チームへ昇格するも期待された結果を残せず、昨シーズン末を以てレースシートを失った。2026年はレッドブルと姉妹チーム、レーシング・ブルズのリザーブとして再起を図る。
正式に複数チームのリザーブを兼務するのは角田のみであり、代役出走の可能性という点では最もチャンスが多い立場にある。
レーシング・ブルズ
Courtesy Of Red Bull Content Pool
ガレージ内でレッドブルRB21のコックピットに乗り込む岩佐歩夢、2025年4月10日(木) F1バーレーンGP(バーレーン・インターナショナル・サーキット)
レーシング・ブルズは角田に加え、岩佐をリザーブとして継続起用する。F2を2季戦った後、昨季はスーパーフォーミュラで王座を獲得。今季は防衛を狙いながらリザーブ業務を担いつつ、レッドブル・レーシングを含めた2チームからのFP1出走が期待される。
フェラーリ
Courtesy Of FIA WEC
総合優勝を喜ぶフェラーリAFコルセ51号車のアントニオ・ジョビナッツィ、2023年6月11日FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間レース
周冠宇のキャデラック移籍により、フェラーリのリザーブは元F1ドライバーのアントニオ・ジョビナッツィのみとなる見通しだ。FIA世界耐久選手権(WEC)のハイパーカープログラムと兼務する。
シャルル・ルクレールまたはルイス・ハミルトンに不測の事態が生じた場合の代役候補となるが、フェラーリは状況次第でハースからベアマンを招集する可能性も考えられる。
ウィリアムズ
Courtesy Of Williams
ウィリアムズ・アカデミーのFIA-F3選手権ドライバー、ルーク・ブラウニング、2024年2月5日(月)
ウィリアムズは、9度の表彰台と1勝を挙げて昨季F2で総合4位につけたルーク・ブラウニングを2026年のリザーブに昇格させた。ブラウニングは、アレックス・アルボンとカルロス・サインツを支えるシミュレーター業務やデータ解析を担いながら、KONDO RACINGからスーパーフォーミュラに初参戦する。
アストンマーティン・ホンダ
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
アストンマーチンAMR25に乗り込む育成ドライバーのジャック・クロフォード、2025年F1メキシコGPメディアデー
長年リザーブを務めたフェリペ・ドルゴヴィッチがフォーミュラEへ転向。後任としてジャック・クロフォードが昇格した。20歳のアメリカ人ドライバーは、DAMSから参戦した2025年F2で総合2位。メキシコとアブダビではFP1出走を経験した。
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
アストンマーチンのガレージに立つリザーブ・ドライバーのストフェル・バンドーン、2024年7月6日F1イギリスGP
ストフェル・バンドーンは4年連続でリザーブを継続。主にAMRテクノロジーキャンパスでのシミュレーター業務を通じ、AMR26の開発とフェルナンド・アロンソ、ランス・ストロールのレース活動を支える。
ハース
Courtesy Of Haas
平川亮(ハースF1リザーブドライバー)、2025年12月4日(木) F1アブダビGPメディアデー(ヤス・マリーナ・サーキット)
平川が2026年も公式リザーブを務める。2025年にはバーレーン、メキシコ、スペイン、アブダビでFP1を担当した。WECハイパーカー王者およびル・マン総合優勝の実績を持つ。マクラーレンやアルピーヌでのリザーブを経て、トヨタとの提携を通じて昨年ハースに加わった。
2025年のF1で開幕6戦に出場するも、フランコ・コラピントにシートを奪われた元アルピーヌのジャック・ドゥーハンは、ハースのリザーブドライバーとしてF1パドックにとどまる。当初見込まれていたスーパーフォーミュラへの参戦は直前で取りやめとなった。
アルピーヌ
Courtesy Of Alpine Racing
2026年仕様のレーシングスーツを着用するポール・アーロン(アルピーヌF1リザーブドライバー)、2026年1月23日
Courtesy Of Alpine Racing
アルピーヌF1チームが運営するアルピーヌ・アカデミーの加入が発表されたクッシュ・マイニ、2023年10月 (2)
アルピーヌはポール・アーロンとクシュ・マイニをリザーブに起用する。マイニは2025年にテスト兼リザーブに昇格したが、公式セッション出走はポストシーズンテスト1回にとどまった。今季はF2参戦4年目を迎える。
キャデラック
Courtesy Of Cadillac
リザーブドライバーの周冠宇、2026年1月16日キャデラックF1シェイクダウン(シルバーストン・サーキット)
周冠宇はフェラーリ製パワーユニットの知見を活かし、シミュレーターやテスト走行を通じてセルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスを支える。
中国人初のF1ドライバーである周は、2024年限りでザウバーのシートを失い、2025年はフェラーリのシミュレーターおよびTPCプログラムに従事した。ボッタスとは元チームメイトであり、チーム代表を務めるグレアム・ロードンは周のマネジメントにも関与してきた。
アウディ
ザウバー体制を引き継ぎ、フルワークス参戦を開始するアウディは、公式リザーブをまだ発表していない。チームは昨季、一部のFP1でポール・アーロンを起用したが、アーロンは依然としてアルピーヌとの契約下にある。