
かつて阻まれた名が帰還。キャデラックF1が初シャシー名を発表、「MAC-26」に込めたアンドレッティへの賛辞
2026年からF1への新規参戦を果たすキャデラックは、記念すべき初のF1シャシーの名称を「MAC-26」に決定したと発表した。この名称は、チームのアンバサダーを務める1978年のF1ワールドチャンピオン、マリオ・アンドレッティに由来する。
「MAC-26」は「Mario Andretti Cadillac 26」の略称であり、チーム創設におけるアンドレッティの功績と、現役時代の伝説的な活躍を称えるものだ。この発表は、2月28日に86歳の誕生日を迎えるアンドレッティへの祝意を込め、シーズン開幕まで1週間というこのタイミングで行われた。
Courtesy Of Penske Entertainment
パドックを移動するマリオ・アンドレッティ(アンドレッティ・グローバル)、2025年5月15日第109回インディ500プラクティス3日目
参戦承認までの経緯とアンドレッティの役割
アンドレッティは、F1参戦構想を推し進めてきた中心人物の一人だ。当初は息子のマイケル・アンドレッティが計画を主導していたものの、2024年1月に一度はF1側から参戦申請を拒絶された。その後、ゼネラルモーターズ(GM)との提携を強化し、キャデラックへとリブランドすることで再申請を行い、最終的に参戦承認へとこぎ着けた経緯がある。
政治的な背景も指摘される中、F1が11番目のチームとしてエントリーを承認する過程で、マイケルはプロジェクトから外れ、「アンドレッティ」の名称も申請から除外された。だが、マリオは取締役会の非執行役員兼アンバサダーとして関与を続けてきた。
今回、シャシー名にその名を刻むことは、かつて参戦を阻まれた「アンドレッティ」という血統が、キャデラックという巨大ブランドとともにF1の歴史に足跡を残すことを意味する。
Courtesy Of Indycar
左からマイケル・アンドレッティ、マリオ・アンドレッティ、マルコ・アンドレッティ
「究極の賛辞」アンドレッティの受け止め
アンドレッティは、この命名について「キャデラックが、私の歩んできた年月を意義あるものと捉え、記録に残す価値があると考えてくれたことは、この上ない賛辞だ」と語った。
さらに「それによって、私がF1と永続的なつながりを持てる機会を得られることを本当に嬉しく思う。レースの歴史における私の役割を認め続けてくれるすべての人々に、心から感謝している」と述べた。
チーム代表を務めるグレアム・ロードンは、アンドレッティについて「F1のレジェンドであり、勝ち方を知り、可能性の限界を押し広げる真のレーサーだ。だがそれ以上に、誰もが自分の道を切り開けると信じる、穏やかな心を持った素晴らしい人物だ」と評した。
「彼の名を冠したキャデラックF1チームのマシンが、ついにグリッドに並ぶ姿を見て、彼が誇りに思ってくれることを願っている」とも語った。
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.
バーレーン・インターナショナル・サーキットを走行するセルジオ・ペレス(キャデラック)、2026年2月13日(金) F1プレシーズンテスト3日目
マリオは、自身のイニシャルを冠したマシンが開幕戦でターン1へ飛び込む瞬間をどのような眼差しで見守るのか。3月8日のオーストラリアGP。そのスタートはF1の歴史のみならず、アメリカンモータースポーツを代表する1978年のF1ワールドチャンピオンの胸の内にも、新たな一章を刻むことになる。