
三本締めに法被姿、ブラッド・ピットが”F1愛”と”日本愛”を披露―F1映画公開を目前に3年ぶり来日
6月27日に日米同時公開を控える映画『F1:The Movie(邦題:F1/エフワン)』の主演俳優ブラッド・ピットが6月25日に来日し、丸の内ピカデリーで行われた舞台挨拶に登壇した。
来日発表からわずか24時間後に実現したこの訪日は、2022年の『ブレット・トレイン』プロモーション以来およそ3年ぶり。日本公開直前のタイミングでの“史上最速”来日は、作品のプロモーションにおける異例の展開として注目を集めた。
わずか3分でチケット完売、国内でも高まる熱狂
舞台挨拶付き上映回は25日・26日の2日間で3回実施され、いずれも販売開始から3分で完売。すでに行われた試写会では、「ハリウッドらしい演出」に対する批判も一部で見られる一方、実写ならではの臨場感や迫力については称賛の声が相次ぎ、国内でも期待は急上昇している。
Courtesy Of WARNER BROS. ENT
ファンと交流する主演俳優のブラッド・ピット、2025年6月25日に丸の内ピカデリーで行われた映画『F1:The Movie(邦題:F1/エフワン)』舞台挨拶にて (2)
登壇したピットは、「今回は“新幹線”を超えるスピードでF1マシンに乗った」とジョークを交えながらも、本作が“リアルなF1体験”を強く意識して制作されたことを強調。「俳優が実際にF1マシンを運転し、実在のレーストラックで撮影するというアイデアはジョセフ・コシンスキー監督によるもの。可能な限り現実の迫力を再現したかった」と語った。
「本当に誇りに思える映画だから、みんなの反応が嬉しい。実際のF1シーズン中に本物のサーキットで俳優が走るというのは前例がない。俳優全員が本当に頑張っていたし、カメラもこの映画のために新たに開発した。映画を観ればそれが分かると思う。楽しんでもらえるのが一番嬉しい」と笑顔を見せた。
リアルを支えた現役F1ドライバーと本物のレース環境
『トップガン マーヴェリック』で高い評価を受けたジョセフ・コシンスキーが監督を務め、製作にはF1世界王者ルイス・ハミルトンが名を連ねる。ハミルトンは技術監修に加え、レース解説で知られるデヴィッド・クロフトやマーティン・ブランドルの起用にも関与するなど、映画の“リアリズム”を徹底的に支えた。
撮影は、オンシーズン中のF1グランプリ週末に実際のサーキットを使用して行われ、俳優自身がマシンを運転するという演出も採用された。ピットは同僚俳優のダムソン・イドリスと共に約2年にわたる訓練を受け、6,000マイル(約9650km)以上を走行したと明かした。
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ブラッド・ピット主演のF1映画『F1/エフワン』のシーン (5)
“敗者”からの再起、物語の核とF1との共通点
ピットが演じるのは、かつてのスターでありながら第一線を退いた元F1ドライバー「ソニー」。最弱チームとともに再起を図るというストーリーは、F1で度々見られる“逆転劇”を物語として昇華させた。
「この映画は、負け犬のソニーが挫折を乗り越え、もう一度チャンスを得て這い上がる物語。多くの人が共感できる内容だと思う」とピットは語り、F1の舞台裏にある複雑なチーム構成についても、「F1には500人以上のスタッフが関与しており、映画作りととてもよく似ている」と語った。
また、日本のF1ファンにとって特に印象深いコメントもあった。ピットは鈴鹿サーキットでの撮影が叶わなかったことに言及し、「プロのドライバーに聞くと、みんな“鈴鹿が一番好き”と言う。機会があれば僕も走ってみたい」と敬意を表し、「この中に、誰か関係者はいない?」と会場に呼びかける場面もあった。
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ブラッド・ピット主演のF1映画『F1/エフワン』のシーン (4)
日本での印象、「三本締め」にも挑戦
日本について問われたピットは、「日本は大好き。郊外にも足を運びたい」と語り、東京以外の地域にも関心を示した。劇場でのファンとの交流も含め、終始リラックスした様子でイベントに臨んだ。
舞台挨拶の最後には、「F1/エフワン ブラピ ぶっちぎれ!」と記された特製の法被を羽織り、満員の観客とともに日本の伝統文化である「三本締め」に挑戦。終了後には当選者との記念撮影やサイン対応も行い、短時間ながらもファンとの濃密な交流を果たした。
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法被姿を披露する主演俳優のブラッド・ピット、2025年6月25日に丸の内ピカデリーで行われた映画『F1:The Movie(邦題:F1/エフワン)』舞台挨拶にて (2)
“映画を超える映画”─いよいよ公開
本作は、F1の公式サポートを受けた前例のない映像作品として、スポーツ映画の新たな地平を目指す。実績あるクリエイターたちが手を組み、俳優が実際にマシンを駆るという極限のリアリズムを志向した本作は、まさに“映画を超える映画”という表現がふさわしい。
6月27日の公開を前に、国内のファンの期待は最高潮に達している。F1と映画の融合がどのような新たな体験を生み出すのか、その答えはスクリーンの先にある。