
アストン・ホンダF1、中国期待の17歳 池振睿と育成契約。周冠宇以降の「空白」に光
アストンマーティン・ホンダは2026年4月22日(水)、ドライバー育成プログラムに17歳の中国人ドライバー、池振睿(チー・ジェンルイ)を迎え入れたと発表した。
池振睿は、中国でも屈指の有望株と目される存在だ。周冠宇がザウバーのレギュラーシートを失って以降、次の中国人F1ドライバー誕生への道筋が見えない中で、ワークスチームのアカデミーに名を連ねたことは注目すべき一件といえる。
アカデミー加入に伴い、池振睿はアストンマーティン・ホンダを象徴するグリーンのカラーリングが施されたマシンで、2026年のフォーミュラ・リージョナルを戦う。
イタリアF4を席巻した「ニューマン」
「ニューマン」の愛称で知られる池振睿は、2009年3月28日に中国・温州市で生まれた。5歳でカートを始めると、2019年に渡欧。本場ヨーロッパでの研鑽をスタートさせた。チームによれば、すでにアジアで最も有望な若手の1人として台頭しているドライバーだという。
2024年にF4中東トロフィーでシングルシーターデビューを飾ると、翌2025年に飛躍的な成長を見せた。イタリアF4選手権のモンツァでは優勝とファステストラップを記録し、さらにシーズンを通じて4度の表彰台を獲得した。
加えて同年にはユーロ4選手権、フォーミュラ・リージョナル欧州選手権、さらには第72回マカオGPのFIA FRワールドカップにも出場し、トップレベルのモータースポーツキャリアに臨む準備が整っていることを印象づけた。
アストンマーティン・ホンダが池振睿に目を留めたのは、イタリアのムジェロ・サーキットで実施されたテストがきっかけだった。その後チームは2025年シーズンを通じて彼のパフォーマンスを評価し続けた。欧州と中東のF4カテゴリーで一貫して上位を争う速さとレース運びを示したことが、契約の決め手となった。
アロンソの知見を活かす育成の枠組み
池振睿はアカデミーの一員として、モータースポーツキャリアのあらゆる側面を支える専門育成プログラムを受けることとなる。
プログラムの内容は多岐にわたる。シルバーストンのAMRテクノロジー・キャンパスとサーキットの両方で、経験豊富なチーム関係者から助言を受けるほか、フィジカル面の強化、メディア対応やコミュニケーションのトレーニングを含む個別プログラムが用意される。
注目すべきは、同アカデミーがDPKレーシングとの提携に加え、フェルナンド・アロンソが持つカート界での知見と国際的なネットワークを活用している点だ。2度のF1王者の経験値がアカデミーの運営に直接組み込まれているという事実は、F1を目指す若手にとって大きな意味を持つ。
2026年からホンダ製パワーユニットを搭載し、エイドリアン・ニューウェイを迎え入れたアストンマーティン・ホンダは、10年単位の人材育成においても本格的な体制整備を進めており、池振睿の獲得はその長期戦略の一角を成す布石と位置づけられる。
長期視点を強調するチームと、池振睿の決意
アカデミーの責任者を務めるレーシング・ディレクターのヌーノ・ピントは、池振睿について「我々のアカデミーがまさに探し求めているタイプの才能」と評した。
さらに、ムジェロでのテストで見せた能力とアプローチ、そして2025年シーズンを通じて示された一貫性を高く評価し、「レースにおける最も競争の激しいジュニアカテゴリーの1つであるイタリアF4で、スピードだけでなく高い一貫性も示した」と強調した。
また、今回の契約は「長期的なパートナーシップ」であるとし、AMRテクノロジーキャンパスが持つリソースとチームが築き上げた環境を通じて、池振睿の成長を支えられると確信していると語った。
当の池振睿は今回の加入について、大きな名誉であると同時に、自らをさらに高いレベルへ押し上げる機会だと受け止めている。
「アストンマーティン・アラムコF1チームのファミリーに加わることは、僕にとって大きな名誉だ。責任は重いけど、同時に次のレベルに向かって自分を追い込み続けるための素晴らしい機会であり、モチベーションでもある」
そのうえで池振睿は、名門チームの支えが今後の歩みに自信を与えてくれるとしつつ、この機会に値することを証明し続けなければならないとも語った。
「これからの道のりには努力と献身が必要になるし、僕自身、このチャンスにふさわしいことを証明し続けなければならないと分かっている。持っているすべてを出し切るつもりだし、アストンマーティン・アラムコとこの旅を始めるのが待ちきれない」