その才能、まだ11歳…マクラーレンがハリー・ウィリアムズと育成契約。見据える「10年先の布石」

  • Published:
  • Googleで優先するソースとして追加する

マクラーレン・レーシングは2026年4月22日(水)、英国人カートドライバーのハリー・ウィリアムズ(Harry Williams)をドライバー育成プログラム「マクラーレン・ドライバー・ディベロップメント・プログラム」に迎え入れたことを発表した。

英国チェシャー州ネザー・アルダリー出身の11歳ウィリアムズとの契約は、F1を頂点とする四輪モータースポーツの世界で加速する育成契約の低年齢化を、改めて象徴する一件といえる。

急速に頭角を現した11歳

ウィリアムズがカートを始めたのは2021年、スーパーワン・シリーズでのことだった。2022年にはカデット部門にステップアップし、ロータックスおよびIAMEの各シリーズにクラブレベルで参戦を開始。同年11月にフュージョン・モータースポーツに加入して以降、国内外の選手権に出場する道が開けた。

2024年には国際カート界へと活動の舞台を広げ、英国IAMEインター・ウォータースイフトカテゴリーでシリーズ10位を獲得。IAMEユーロシリーズのX30ミニでも同様の成績を残した。

2025年は飛躍の年となった。国際カーティングのミニ60シリーズおよびウォータースイフトカテゴリーに参戦し、ブリティッシュ・オープンで王座を獲得。イタリアのウォータースイフトシリーズではOプレート(シリーズ優勝者に贈られる賞)を獲得し、欧州ウォータースイフト選手権では5位に入った。

同シーズン途中にはジュニアクラスへと戦いの場を移し、移籍直後のWSKファイナルカップOKN-Jクラスでいきなり3位表彰台を獲得。2026年はWSKスーパーマスターシリーズのOKジュニアカテゴリーに参戦しており、今後はWSKユーロシリーズ、チャンピオンズ・オブ・ザ・フューチャー・シリーズ、そしてFIAカート選手権の同カテゴリーに出場する予定となっている。

3カテゴリーを見据えた育成構想

ウィリアムズが加わるマクラーレンの育成プログラムは、単なるF1への登竜門ではなく、F1、インディカー、さらに参入を控えるFIA世界耐久選手権(WEC)へとドライバーを導くという包括的な目標を掲げている。

既存の所属メンバーは、クリスチャン・コストーヤ、マッテオ・デ・パロ、レオナルド・フォルナローリ、エラ・ハッキネン、エラ・ロイド、パトリシオ・オワード、グレゴワール・ソーシー、エラ・スティーブンス、ドリース・ファン・ランゲンドンク、リチャード・フェルショアーの10名。ウィリアムズの加入により計11名となる。

メルセデスとレッドブル・レーシングを下してF1連覇を成し遂げ、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリという2人のトップドライバーを擁する現チャンピオンチームが、11歳の英国人カーターに投資する判断の背景には、長期的な人材パイプラインの構築という明確な意図が透けて見える。

王者マクラーレンが描く「10年後」

プログラムを統括するのは、マクラーレン・レーシングの最高事業責任者アレッサンドロ・アルンニ・アルービは、ウィリアムズを「国内・国際の両舞台で強い印象を残してきた素晴らしいカートドライバー」と評し、今後の成長に期待を寄せた。

さらに、「我々の目標は、F1、インディカー、そして世界耐久選手権というレースプログラムへと何年にもわたって着実につながっていく、一貫したパイプラインを構築することだ」とも語り、長期視点での育成契約であることを示唆した。

当のウィリアムズ本人も、所属が決まった喜びと、シングルシーターへの移行を視野に入れた前向きな姿勢を口にした。

「育成で定評のあるマクラーレン・ドライバー・ディベロップメント・プログラムに加入できるなんて、本当にワクワクする。カートでの活動を続けて、将来的にシングルシーターへと進んでいく段階でこのチームに加わることができて、すごく嬉しい」

マクラーレン・レーシングは現在、F1世界選手権にノリスとピアストリを擁して参戦するほか、インディカー・シリーズにはアロー・マクラーレンとしてオワード、ノーラン・シーゲル、クリスチャン・ルンガーの3名で参戦している。また、F1アカデミーには育成プログラムのメンバーであるロイドとスティーブンスが出場中だ。