
F1中東2戦の中止判断なぜ先送り? イモラで代替準備進む一方、背景に“巨額マネーを巡る駆け引き”か。迫る「最終期限」
中東情勢により開催が不透明となっている2026年F1第22戦カタールGPと第23戦アブダビGPについて、フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)が金銭的な懸念から中止の判断を遅らせていると、イギリスの日刊紙『The Times』が報じた。
中東戦、開催権料を巡り中止判断先送りか
F1の最高経営責任者(CEO)を務めるステファノ・ドメニカリは以前、中東でのシーズン最終2戦の開催可否について、9月中旬までに判断すると説明していたが、依然として発表は行われていない。カタールGPは11月27~29日、アブダビGPは12月4~6日に予定されている。
F1側が中止を決めた場合、両大会の主催者から高額な開催権料を受け取れなくなる。一方、主催者側が中止を決めれば、その費用は主催者側が負担することになる。同じ中止でも、誰が決定するかによって金銭的な負担が変わることから、判断が遅れているとの見方が出ている。
国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ベン・スレイエム会長は9月上旬、中東出身の立場から、現地の意向を聞かずに結論を急ぐべきではないとの考えを示した。
一方、安全面については、「我々の関係者やスタッフ、ドライバー、チームを危険にさらすことを認めるのか。もちろん、認めない。だが、現地の政府や主催者の話にも耳を傾ける必要がある」と述べた。
イモラ代替開催、10月中旬が「最終期限」
判断が遅れるほど、時間的な観点から代替レースの開催が危ぶまれるが、水面下では着々と準備が進められている。ハースの小松礼雄代表によれば、代替レースの開催に向けてイモラ・サーキットは既に準備を開始している。
バクーで行われた9月24日の第14戦アゼルバイジャンGPの会見で小松代表は、ドメニカリは「10月中旬」をめどにチーム側に判断を伝える意向との認識を示し、イモラも代替開催に備えて準備を進めていると説明した。
また、アウディのF1プロジェクトを統括するマッティア・ビノットは、中東2戦および代替レースの開催可否に関する決断について、10月中旬が「最終期限」になると述べた。これは、仮に最終戦がイモラで行われる場合、シンガポールGP(10月9~11日)後の物流ルートを再調整しなければならないためだ。
イモラが最終戦の舞台を担う場合、低い気温に伴うグリップ不足が懸念されているが、ビノットは「実際には運営と物流の問題の方が大きい」と指摘した。
また小松代表は、シーズン終盤に再びヨーロッパに戻ることになった場合、チーム側としては、通常は9月以降使用しないモーターホームに関わるスタッフの配置なども検討しなければならないと説明した。
開催数が減れば、タイトル争いをめぐる条件も変わってくる。
現段階でドライバーズ選手権をリードするアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、2位に81ポイント差をつけている。残るレースで獲得可能な最大ポイントは233点だが、中止分を代替開催で補えなければ、追う側が差を縮める機会も減る。
F1はすでに、中東戦争の影響でバーレーンおよびサウジアラビアでのグランプリ開催を取りやめている。ただし、バーレーンについては、第16戦として10月2~4日にセパン・インターナショナル・サーキットで代替レースが行われる予定だ。